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革命

 アスタがはたと目を覚ますと、目の前にジャックとフレディがこちらを眺めていた。

「アスタ、気が付いたかい?」

「私……」

 アスタは上体を起こし、辺りを伺うとそこは見慣れない部屋で、どうやらどこかの飛行船の中にいる様だった。

「ここは、イザベラおばさんの飛行船の中だよ」

「といってもイザベラが軍から掻っ攫った奴だけどな」

 そう笑って説明する二人にアスタは、手を額に乗せ記憶を辿った。

「確か私、異世界の遺跡にいて、それから……」

「イザベラおばさん達と協力して脱出したんだよ。アスタ」

 説明するジャックにアスタはうなずいた。

「そうだったのね」

 そして、二人に礼を言った。

「ありがとう。ジャック、フレディ」

 それを聞いた二人は笑顔で応えた。

「それでアスタ、イザベラおばさんとも話したんだけど、当面は、アスタの事を僕達に任せてくれるって言うんだ」

「あぁ、あの人も悪い人じゃなさそうだぜ。今後ともカンパニーとして、付き合って行こうと思うんだ。アスタはどうだ?」

 尋ねる二人にアスタは、微笑んで答えた。

「えぇ、構わないわ」

「よし、そうとなれば事業拡大だ。ジャック」

「キニシスの商品化もあるしね」

 意気揚々と語り合うジャックとフレディをアスタは、いつまでも笑顔で眺め続けた。


「じゃぁイザベラおばさん、さようなら」

 アスタとともに自分達の飛行船に乗り換えたジャックとフレディをイザベラは、見送った。

「気をつけて帰んな」

 三人は、そんなイザベラに手を振り、やがて、飛行船で去って行った。

「それでフレディ、これからどうする?」

 尋ねるジャックにフレディは、開口一番、こう言った。

「北だ。商都レントセアへ行こう」


 商都レントセアでは、ラトニア商会のカルロが、同僚から渡された支社からの需給レポートを丹念に読み込んでいた。

「どうだ?」

 尋ねる同僚にカルロはレポートを読みながら溜息をついた。

「相変わらずだ。戦争が終結したとは言え、賊が蔓延る不安定な現状で超古代文明絡みの鉱石に対する需給はひっ迫している」

「だが、この戦争でこららの主要なメジャー鉱石は軍が権益を握る体制が定着してしまっただろう」

「あぁ。俺達が扱えるのは二束三文の鉱石だけだ」

 カルロは、椅子に深く腰掛けると吐き捨てるように言った。

「このままじゃ、うちはジリ貧だよ」

 突然、部屋の扉が乱暴に開き、白衣を着た鉱石開発部のカーティスが部屋に飛び込んできた。

「どうしたんです博士」

 カルロが尋ねるとカーティスは、鉱石のチップが入ったサンプルを片手にカルロに詰め寄った。

「このキニシスってサンプル、どこで手に入れた?」

「キニシス?。あぁ、それは」

 カルロは、腕を組み記憶をたどった。

「確か、アクアタイトを取り扱ってる子供が持って来た奴だ。さっきも来てましたよ。なんだったかな……そうだ、ジャック&フレディだ!。面白い子達ですよ」

「そんなことはどうでもいい!」

「え?、ちょ、ちょっと待って下さい」

 カルロは、カーティスに首根っこを引っ張られながら、鉱石開発室に連れて来られた。

「これを見ろ」

 差し出された顕微鏡をカルロはいぶかりながらも眺めた。

「カルロ、このキニシスっていうレア鉱石だがな。他の鉱石に添加すると特性が変わるんだ」

「特性が変わる」

 カルロの目が光った。カーティスによるとキニシスは、単体としては価値はないものの、他の二束三文の鉱石と交わることでその特性を強くしたり、新たな特性を生んだり出来るという事だった。

 もしそれが可能なら今まで見向きもされなかった二級品、三級品の鉱石にも値が付くようになる。強度を増したり錆びにくくする構造材料への添加材にしたり、機能性材料として性能を高めたり用途は多岐に渡りえるのだ。

 ーー採掘と精錬のコスト次第で、うまく育てればこれからの鉱石産業社会で非常に重要なアイテムに出来る事になる。鉱石の革命だ……

 カルロの頭の中で算盤が弾かれ、気付いた時には部屋を出てあの二人の少年を追いかけていた。

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