復活
アスタは、ベルナルドに連れられ、遺跡の最深部までやって来た。
「これは……」
そこでアスタは、初めて悟った。
「あなた達、まさかアレを復活させようと言うの?!」
ベルナルドが笑った。
「ほう、流石はお姫様。物分かりが早くて助かる」
「アレがどんなに危険なモノか分からないの?!。あれはゼノ文明を滅ぼした決定打になった忌まわしいモノなのよ」
さらにベルナルドに食いつこうとしたアスタの背後から手を回したレオンが何かを注入し、その途端、アスタは目の前が真っ暗になりクタクタとレオンに崩れ落ちた。
「我々なら扱える」
レオンは、顔色を変えず気を失ったアスタに答えた。
「例の鉱石を注入しろ!」
ベルナルドが怒鳴り声を上げ、軍の兵が部屋の中央に仕組まれた装置になにやら青く光る鉱石を注入し始めた。
さらに台座に寝かしつけられたアスタの体にその装置から溢れ出す液体が満たされて行き、それに伴い遺跡内部のあらゆる箇所が鳴動し、光を放ち始めた。
それは、遺跡そのものが動き始めたと言ってもいいほどの激しい動きだった。
「何だ何だ!?」
「何が始まったんだ!?」
ジャックとフレディが互いに辺りを見渡した。
「ふん、ベルナルドの奴、おっぱじめやがった様だね。お前達、防備を固めな。それとジャック、フレディ」
イザベラが二人を呼び寄せ言った。
「いいかい、うちらがオトリになってやる。軍の兵を引き付けている間にあの娘を救い出すんだ。あの娘のいる場所は、この先の鉱石融合炉だ」
「分かった。イザベラおばさん」
「行こうジャック」
二人は、イザベラ達と別れ、鉱石融合炉へと走り出した。
………
……
…
ーーここは?
意識と無意識の狭間でアスタの頭の中に流れ込んで来る超古代文明の記憶が走馬灯の様に走った。
ーーそうだ、私はベルナルドにアレの復活を……装置に組み込まれたんだ。
アスタは、おぼろげな意識の中で必死に反発した。
ーーさせない。アレを復活させる訳には……
それは、絶対に許されないことだった。
ーーかつての悲劇を繰り返させないためにも私が……
アスタは、頭に流れ込んで来るイメージに流されまいと必死に抵抗した。
「閣下、逃亡中の賊の一団を見つけました」
「はっはっはっ、イザベラめ。今度こそ息の根を止めてくれるわ。根絶やしにしろ!」
「はっ」
引き下がって行く兵を見届けた後、ベルナルドは鉱石融合炉に繋がれたアスタを取り囲む装置を操作している兵のもとに行きどやしつけた。
「おい、娘との融合はまだか」
「そ、それが、まだ進捗が思う様にいっておりません」
「なんだと」
癇癪を弾けさせるベルナルドにレオンが言った。
「どうやら、姫様が抵抗しているご様子ですな」
ベルナルドは装置に繋がれたアスタを睨んだ。
「かまわん。鉱石水をもっと注入しろ。十二分に働かせるんだ」
「はっ」
やがて、装置がさらに激しく稼働し、中でアスタが身をもがいて苦しみ始めた。
ーー苦しいっ……
アスタは、流れ込んで来る記憶と必死に戦いながらもがき続けた。
ーーダメェっ……ダメェェっ!
流されそうになりながらも食い止め続けたアスタがやがて限界に達し始めた。
ーーこうなったら……
アスタは、決意した。
その途端、アスタの繋がれた装置が光で溢れ返ったと思うや否や、物凄いエネルギーのレーザーが辺りを走り抜け、遺跡全体を破壊し始めた。
「大変です。鉱石融合炉が……」
そう叫ぶ軍の兵の声も途中に鉱石融合炉そのものが吹き飛んでしまった。




