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レントセア

 商都レントセアに無事着いた二人は、船荷のアクアタイトを売り捌く傍ら、例の珍品のサンプルを取り出し、紹介した。

 結晶構造の中に微量のアルジウムを含むこの石は、様々な異世界鉱物が複雑に絡まって生まれた鉱物だ。一部のコレクターの間で出回っているだけの、いわば有用資源の発掘ととも産出される副産物であるこの稀少すぎて経済価値につながらない鉱物を二人は『キニシス』と言う名で市場に送り出そうとしていた。

 二人の母国語で『希望』と言う意味の言葉である。

「確かに面白い」

 ジャックとフレディの相手をするラトニア商会の男は、興味深そうにそのキニシスを手にかざしてルーペで眺めながら尋ねた。

「それで、このキニシスはどの程度のボリュームで採掘可能なんだ?」

「それは、まだ言えない」

「まぁ、いいだろう。うちでも取り扱えるかどうか、検討してみるよ。何かあったらここに連絡してくれ」

 男は、二人に連絡先を書いたメモを渡した。男の名は、カルロと言った。


「俺達の鉱石第一号、キニシスの門出を祝って乾杯だ」

 商談を終えた二人は、高級料理店でアスタを取り囲んで、グラスを傾けあった。ジャックとフレディは、すぐさまアスタに頭を下げた。

「有難う、アスタのお陰だ」

「アスタがあの店を紹介してくれたお陰でおいら達も事業の軌道に乗る手前まできつつある。感謝してる」

 そんな二人にアスタは、どうってことないよと無愛想に答えた。

「それよりジャック、これからどうする?」

「え?、どうするって?」

「帰りも向こうで高値で売れそうなモノを見つけて行こうぜ」

「そうだね。明日にでも……」

 そこまで話しかけた時だった。

 いきなりガチャリとドアが開く音がして、人影がどっと店に流れ込んで来た。

「な、何すんだよ」

 ジャックとフレディは、たちまち取り押さえられ、床で暴れた。

「一体おいら達が何したって言うんだよ」

 訳が分からず喚く二人の前に大柄の女が現れた。イザベラだ。

「くっくっく、超古代文明絡みの鉱物を大量にさばいている子供達って言うのは、お前達かい?。商都という商都に網を張っていて正解だったよ」

 イザベラは、二人を横目に身構えるアスタの前に歩み寄ると恭しく頭を下げた。

「初めまして、お姫様。悪いけどうちらと一緒に来てもらうよ」


「軍にパクられた後は、今度は賊かよ」

 捕らえられたフレディは、賊の飛行船の中でジャックを前にため息をつき、自身の前髪をガシガシ掴んだ。

 二人の飛行船は、今回のアクアタイトの儲けとともに既に賊に取り押さえられている。二人が閉じ込められた部屋でやきもきしていると、不意に固く閉ざされていた扉が開いた。

「お前達、お頭が呼んでいる。出ろ」

 賊の兵が手招きしている。二人は警戒しながらも部屋の外に出て、後について行くと操舵室でアスタが待っていた。

「アスタ!」

「何かされてないか?」

「あぁ、大丈夫だ」

 アスタはうなずき、フレディが操舵室の奥に鎮座するイザベラに噛み付いた。

「おい、俺達の飛行船を返せよ」

「あぁ、あれかい?。構わないよ」

「え?」

 あっさり要求が通り、拍子抜けするジャックとフレディにイザベラがニヤつきながら言った。

「お前達を解放するのがそこのお姫様の要望だからね。そのかわり、こっちにも条件がある」

「条件?」

 怪訝な顔をする二人にイザベラは、言った。

「これから指定する場所に一緒に来てもらう。ちょっと、うちらに付き合ってもらうよ」

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