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機械消防官の記録1  作者: 筑豊ナンバー
1/1

機械と伝統

現代、科学の発展でさまざまな仕事が機械化しています。

これは、そんな世界にたいする問いかけです。

あなたはどんな答を出しますか?


2525年、科学力が発達し、あらゆるものが、機械化した。それでも機械化仕切れなかった職業は、いくつか存在した。その中の一つが消防隊である。

 

 消防署でいつもの様に事務の仕事をしていた時、彼は突然現れた。

 「皆、今日から共に働く事になったレスキューロボNHC001だ。」

 「これからよろしくお願いします」

 無表情のまま頭を下げる新人。

  突然の新人に驚きながらも皆拍手で迎えた。001は細く女性に近いすがたをしており銀髪のショウトヘアー、そして美人?だ。これが彼(彼女)と初めて会った記憶である。

 

 深夜2時連絡が入った。内容は一軒家が燃えているというものだった。急いで支度し消防車に乗り込む。向かい側には001が乗っている。大隊長の説明では、彼は人間ではなくロボットらしい。外見は十八才ほどの青年で人間と見分けがつかない。試作段階で送られてきた。実戦のデータを取るためだろう。正直言って迷惑だし侮辱的だ。ロボットに自分達の代わりが勤まるわけがない。そう思っていた。だが彼は、事務の仕事を完璧にこなすし、訓練の必要もない。テストに様々な状況のシミレーションを行ったが彼は、歴代新記録を次々と叩き出す。無愛想なとこいがいは、完璧な奴だが現場での仕事は初めてらしく緊張のせいか微動だりしない。

 「緊張してんのか?ロボットも怖いとかあんのか?」

 緊張をほぐそうと話しかけたが彼は

 「データの確認中なので話しかけないでください」

 と言って遠回しに黙れと言って来た。ムカつく、殴りかかりたい気持ちを押え、集中しようと深呼吸押すると消防車の揺れが止まった。どうやら現場に着いたようだ。

 

 現場は、今にも崩れそうな二階建ての一軒家、訓練道理に動き人名救助も消火活動も順調だと思っていた。

逃げ遅れ人員は子供一人大人二人の三名と聞いていたが、一人女の子が取り残されていると救助した男が言った。どうやら子供の友達が泊まりに来ていたらしい。

急がないともう建物が持ちそうにない。その時001が一人で現場つっこんだ。

大隊長は「何やってんだ止まれ」と叫んでいたが、001は、それを無視し、現場の奥へ入っていく。

クソと吐き捨て大隊長も慌てて現場へ入ろうとしたとき、001が現場から出てきた。

手には、女の子が抱えられていた。取り残された女の子だろう。ホッと安心して大隊長を見ると、大隊長は明らかに激怒してた。顔はガスマスクで隠れ見えないが怒りのオーラが伝わってくる。

001担当の研究員が訪れて来た。001のデータを取りに来たらしい。椅子に座った001の首筋に細長い穴がありそこに電子カードを差し込む、しばらくすると自動でカードが出てきてそのカードを取る。

 「お疲れ様です」

 「ああお疲れ」

 001は、自分の席へ戻り、途中だった事務の仕事にとりかかった。

 「じゃあ私もこれで」

 帰ろうとした研究員を呼び止める。

 「あの、命令違反の件なんですけど」

 「ああ、あれはそうゆうプラログラムを組み込んであるので」

 「何故です?」

 「なぜもなにも001は、しょせんロボットです。人間の命を優先するようにするのが当たり前では?それにその時の状況を聞くと明らかに人間では、間に合わなかったですよね。それなら適切な判断を下したのでしょう。」

 「だが、あれでは001も死んでいた可能性があった。」

 「構いませんよそれに001は、試作品、データがとれれば、処分される。人のために壊れた方が001にとっても本望でしょう。」

 その言葉聞いて頭に血がのぼった。ふざけている。怒りを押さえられない。研究員の胸ぐらをつかみ睨み付ける。だが研究員は、全く動じないこいつらもロボットみたいなものだ。仕事の事しか考えてないやろうが部下を下に見やがって。

 「暴力ですか?我々研究員とは、仲良くした方が特だと思いますけど、それに大変001を大事にしてらっしゃるようですがこの消防署にはいぞくされたのはまたまで、代わりはいくらでもっ」

 「うるせえ、消防官が一番大事にしてんのは、人命だ!その人命の中には、当然部下の命も含まれてんだよ!人間だろうがロボットだろうが関係ねえ!」

 胸ぐらをはなし、睨み付ける。

 「ボスに伝えろ、001を処分する時は、全力で阻止するとな」

 研究員はふっと笑い、消防署を後にした。

 

 「あんなキレた大隊長、初めて見ました。」

 研究員にたいして激怒した大隊長を見て少し驚いていた。確かに外見は、ヤクザのように見える強面で、髪型はオールバック、黒いサングラスを着けて常に眉毛が寄って、シワができている。だが大隊長は頭がよく、誰よりも訓練を積み、現場では、的確な指示を出せる。文武両道な人で誰よりも優しい。

 そんな大隊長が怒るとなるとよっぽどの事なのだろう。

 「あの人は大隊長になる前、多くの仲間を失ったらしいんだ、だから大隊長は仲間の大切さを誰よりも分かってる。あの人が怒るのは人命を粗末に扱う奴だけだろ。」

 なるほど、あの人の話しは少し聞いたことがある。並みの人間なら消防官を止めていただろう。だがあの人はそれでも消防官を続けけた。もう炎によって命を奪わせない、そうゆう意志が強いんだろう。

 頼まれた資料かたずきました。と大隊長へ001が資料を提出した。

 「ああ、ありがとう」

 そうだなと腕時計を見る大隊長。

 「パンでも食いに行くか」

 

 「うめぇ」

 「そうだろ、やっぱ機械が作ったパンとは、ひと味違うだろ?」

 現在消防署から歩いて5分ほどの距離にあるパン屋に来ている。自分はカレーパンを購入、001は、メロンパンを購入、というより大隊長が払ってくれたんだか。大隊長は、フランスパンを買い店にあるテーブルで腰をかけ三人で食べていた。

 「何故ここは手作りなんですか?機械の方が早く、安く作れるのに」

 001には、分からなくてもしょうがないだろう。人口知能を搭載しているとはいえ、彼はシステムにしたがってほとんどの行動を行っている。より効率的に動く事が機械の長所だが、そのせいで001には、人間が理解しきれないのだろう。

 「いいから食ってみろ」

 と大隊長が進め001は、言われるがままにパンを口へ運ぶ。

 「美味しい…!」

 「当たり前だ。そのパンは俺の娘が作った物なんだよ。確かもうすぐ三十代目に慣れそうだとか」

 「へぇー娘さん凄いですね」

 ハハハと甲高く得意気に笑う大隊長。

 「ここはな、歴史があるパン屋で代々味を守って来ているんだよ。機械に任せようとした話しもあるけど結局上手く行かなかったらしくて今まで道理のやり方で味を守ってんだよ」

 なるほど、確かに手作業じゃないと作れそうにない、職人技って奴か。

「最初、消防官を機械にするプロジェクトを聞いたとき正直ピント来なかった。」

 それを聞き001の口が止まる。

 それにきずいた大隊長が言葉を付け加える。

 「つってもお前を否定する訳じゃねぇ、実際どんなロボットかなと会ってみると器用なようで不器用な人間とかわりない面白い奴だった。」

 そうゆうと大隊長は、大きく口を開きフランスパンにかじりついた。

 「お待たせお父さん」

 一人の若い女性が来た。茶髪でショウトヘアー、美人というより、可愛いタイプだ。

 「おう来たか、紹介する。娘の味花だ。」

 「よろしくお願いします。」

 と頭を下げた。こちらも頭を下げると、

 「写真撮ってくれ」

 お娘さんに大隊長が頼んだ。

 「えー新人さんと話したいのに」

 「写真ぐらいすぐ終わるだろ」とカメラを渡した。

 渋々カメラを構え「ハイポーズ」といって三人を写してくれた。カメラを確認した大隊長が嬉しそうに「ありがとう」と娘さんに言った。横からカメラのが面を覗くといい笑顔をした大隊長と自分と不器用ながらも笑顔を作っている001がうつっていた。

 「へぇー写すの上手いですねえ自分に一枚くださいよ。」

 空いた001の向かい側の席に娘さんが腰を下ろした。

 「じゃあ私も話しに混ぜてよ、休憩とれたから」

 それから四人で色々話し、あっという間に時間がたった。

「それじゃそろそろおいとまするか」

 「あっじゃあちょっと待ってて」

 

 大隊長が娘さんに呼び止められたので店の入口前で001と待つことにした。

 「なあ、お前って男と女どっちだ?」

 大した 理由はないただ暇潰しに話そうと思った。001は、どちらかと言うと女性の方に近い。だが胸がない。

 「性別はありませんよ」

 「そうか、ならもっと男みてーにごつくした方が力仕事とか楽じゃね?」

 「いえ、細い方が都合がいいんです。携帯と同じですよ、ここ数年で更に性能が良くなりましたよね。付け加えて軽量されてより良くなった。」

 なるほど確かに細い方が狭いとこに入れるからな。

 「現にこの細さであなたに腕相撲でかちましたからね。」

 「ぐっ、何も言えね。…でも謎が溶けたよ。お前の胸が小さいのってそうゆう理由があったんだないやー便利だな」

 「それ誉めてんるんですか?」

 「そういや、お前の資料見たんだが、赤外線カメラ搭載てマジ?」

 「はい、マジです。」

 そんな無駄話をしていると、店から大隊長が出てきた。

 「ほら、サービスだってよ」

 そう言って茶色い紙袋を渡してきた。中から温もりを感じる。おそらく出来立てのパンが入っているのだろう。

 「いいんすか?!」

 と言いつつも受け取る。

 「ほらお前のぶん」

 と001にも渡そうとすると

 「受け取れません」

 と拒んだ。

 「あのなぁこうゆうのは、受け取らなきゃひつれいなんだぞ、せっかくお前らのために作ったんだから美味しくいただけ」

 そう言って無理やり持たせる。001は、渋々といった感じで袋を持っている。

 「それじゃ戻るか」

 署に向かってあるき出す。

 「001、あん時何で命令を無視して一人で行ったんだ?」

 大隊長の言うあん時とゆうのは、先週の火災のことだろう。

 「あのまま大隊長を待てば間に合わないと判断しました。それに何かあっても私が壊れるだけですから。」

 「あのな001、俺はお前の事を道具と思ったことは一度もない、大事な部下の一人だ。それに俺はお前の事を信じてる。だからお前えも俺達の事を信じてくれ。」

 そのあと少し沈黙した。その沈黙に耐えられず。口を開く。

 「なあ、001って呼びずれえから名前決めねえか?」

 「私に名前ですか?」

 「そうだよ、名前が001じゃあ締まらないだろ?」

 「…」

と窓つている。言われるの初めてなんだろう。こうゆうとこは、人間みたいだ。じゃあどう名前を決めようか、うーんと少し考えるが思い付かない。

 「へー名前かぁ大事なことだし今決めなくてもいいんじゃないか?」

 「そうっすね、期待しとけよ」と001のかたを叩くと

 「はい」とこたえた。

 

 

 朝礼が終わり事務の仕事にとりかからうとしたとき、001が俺の異変にきずいて話しかけてきた。

「そのくまどうしたんですか?」

 001の言う。くまには、みに覚えがあった。

 「ああ、これか?昨日お前の名前考えてたら眠れなくてよぉ」

 考え込んでたら深夜までかかった。

 「そんなに考えなくても…」

 「名前ってのはな、産まれて初めて貰える大事なプレゼントだ。そんな大事なもんを適当に決めるわけにはいかんだろ?」

 「私にはすでに名前が在ります。」

 001が言ってるのは、機械としての番号のことだろう。

 「じゃあお前は001って名前きにいってんのか?」

 「…」

 001は、黙りこんだ。

 「それに名前つけるのに金がかかる訳じゃねえから遠慮すんな。」

 ほら、と名前を書いたノートを渡す。

 「好きなの選べ」

 受け取ったノートを001が開く。ノートには、縦に二本ずらりと名前が並んでいた。

 桜花、亜理子、美夏など、したの方を見ると、○ッキー、熊の○ーさん、○ラえもん、など、見覚えがあるものが並んでいる。

 「後半ふざけましたよね?」

 「そそそそそそんなわけけけないじゃあないかかか!?!?!?!?℃Ω※」

 「動揺しすぎですよ」

 はぁ、とため息をつきノートを再びみる。

 「あの、鬼崎さんが決めてください。」

 「良いのか?」

 正式では、ないとはいえこれから呼ばれる名前を俺にゆだねていいのだろうか?

 「いいんでるよここまで考えてくれたので、最後まで決めてほしいです。」

 あ〰どうしようかなー、と悩み三秒ほど悩み決めた。

 「○ッキー」

 「嫌です」

 「えっでも俺が決めて良いって」

 「したの方は無しで、○○○とか○○○とか言ったら○○○しますよ?」

 ○○○するってなんだ、怖すぎる。まさか○○○を○○○したり、○○○して○○○○○○○○○○○○○○○○○○。やべ、文にならない。まぁ良い真面目に考えるか。

 「命花ってのは、どうだ?」

 考えた名前の中で一番お気に入りの名だ。

 「良いですねどういう意味が有るんですか?」

 「命は、どんな形であれこの世に産まれて来た大切な命、花は、花のようにきれいな道を歩んで欲しいっていみで、命花(めいか)だ。」

 それを聞いたあと嬉しそうに頬笑み、

 「ありがとうございます」

 と言った。少しずつでは、あるが001は、心を持ちはじめてきた気がする。

 それから001のことを命花と呼ぶようになり、自然と広がって皆そう呼ぶようになっていった。

 

 夜中目か覚め、トイレへ向かい戻る途中で明かりが見えた一ヵ所の机を照らしている。命花の机だ。気になり、近付くとペンを片手に作文用紙を見つめている。だが作文用紙は空白のままだ。

 「何やってんだ?」

 「皆さんに感謝の気持ちを伝えたいんですがどう書けばいいか分からなくて」

 「急にどうした?」

何故急にそんなことを加工と思ったんだ?命花の事だから何かしら理由があるとおもうが、  

 「いえ、大した理由は、ありません」

 「そうか?なんかあったら相談に乗るから遠慮すんなよ」

 「本当に大した理由は、ないので気にしないでください。」

 演技が下手だ。何を隠してるか分からないが、隠し事をしているのはすぐにわかった。だが本人が隠そうとしているのなら、あまり言わないでおこう。

 だが命花のペンはさっきから動かない。思い付かないのだろうか?

 「書けねえのか?」

 「…はい」

 「そんなもん『ありがとう』で十分なんだよ。だいじなのは、長さじゃなくて気持ちだ。」

 「そんなものでしょうか…」

 納得が行かないようで首をかしげている。命花は頭が固すぎる。だから分からないのだろう。思い出せばこいつが丸一日休んでるとこを見たことがない。たまには息抜きも大事だろう。

 「それじゃ今度、休暇取れたら一緒に出掛けようぜ」

 「そんな私に休暇なんて」

 「大隊長にたのべばくれるだろ」

 大隊長は、差別は、しない。休暇くらいあの人ならくれるだろ。

 

 思った通り大隊長は、命花に休みをくれた。

 約束道理命花と出かけることになったのだが…、

 「どうしました?時継、なにか問題でも」

 「お前はその服しかないのか?」

 待ち合わせの消防署前に着くと命花の姿があったが、着てきた服装は白い三本線が入った青いジャージだ。センスの欠片もない。

 「はい、そうですけど?」

 なんか可哀想に思えてきた。こいつは、大問題だ。せっかく遠出しようと思ったのに、まぁ良い、まずは服でも買ってやるか、「ほら」とバイクのヘルメットを渡し、自分もヘルメットをかぶる。(エストレヤスペシャルエディション)バイクに股がり、二人のりで走り出した。街に付いたとこれで早速服屋へ向かう。パーカーにワンピース、Tシャツなど色々着せて見たが、バイクで来たこともあり、移動の事を考えると上手く決めれなかった。

 「すいません」定員を呼びバイクでもOKで貧乳でも似合う、という条件意外、まるなげする。俺には良くわからんプロに任せる方が良いだろう。

 「あら、可愛い彼女さんだね」

 と喜んで、了解してくれた。

 二十分後、服が決まったらしく見てみると、青いジーンズに白のパーカーを着た命花の姿があった。

 「似合ってんじゃねえか」

 「ありがとうございます。」

 お世辞なしに良く似合っている。

 「動きやすくて良いですね。」

 気に入ったようなので会計を済ませ、そのままの服装で回ることにした。それから街をあちこち歩き、遊び回った。ゲーセンでは、メダルゲームで命花が大勝し、ボウリングでは、命花が大勝し、ロシアンルーレットでは、命花が大勝し、あれ?方向性が変わったような?、あれ?何で俺、さっきからぼろ負けしてんだ?まぁ良い。旨いもんも色々食べた。牛丼にくれーぷ、ホラー映画を見たが、命花の表情は、全く変わらなかった。そのくせ終わった後、「怖かった」と抜かしてくる。と言っても俺は途中で寝ていたのだが。楽しい時間は、あっという間にに過ぎ夕方になったところで、バイクを走らせ海岸に向かった。

 海岸から命花とお並び夕焼けを眺めた。

 「綺麗だろ?これが見せたかったんだよ」

 「はい、綺麗ですね。」

 しばらく二人で眺めた。

 「なあ命花、俺は告げ口しねぇから、相談してみろよ」

少し安心したのか、こちらを真っ直ぐ見て口を開いた。だが声はでず、口を閉めて目をそらした。やはり言いたくないのだろう。無理やり言わせるのは、命花のためにならない。

 「帰るか」

 「あっそうだ」と懐から手帳をとり出す。今日命花に渡そうと思っていたものだ。

 「これは、消防官になってから書いてきた日記だ。」

 「私は見たも、の聞いたものはすべて記憶できます。私がもつ理由はありません。」

 「こうゆうのは形になったもののがいいんだよ。お守り代わりに持っとけ。」

 無理矢理持たせる。

 「…はい」

 しぶしぶ受取、しまった。命花にヘルメットを投げ渡す。

 「帰るか」

 

 

命花が移動するまで数週間を切った。休憩時間は、できるだけ命花と、共にすごしてまた遊びに行こうと約束した。

 「今度久しぶりに三人でパン食いにいこう」と大隊長に誘われた。時一本の電話がなった。

 内容は三階建ての一軒屋がおえているというものだ。すぐさま現場に向かいたった。逃げ遅れた女性がいるとのこと、現場に入り女性を発見した。女性は、たおれこみゼエゼエと激しく息をしている。一酸化中毒の可能性がある。

 「急ぐぞ」

 辺りを見渡す限り炎だらけで明らかに時間がない。急いで女性を担ぎ、外へ出ようとしたとき後ろから命花が倒れない程度にだが慌てて押してきた。それとほぼ同時に背後から大きな何かが倒れる音がした。振り替えると倒れた柱に足を挟まれたおれこんだ命花の姿があった。助けようと命花にちかずこうとすると、

 「お前は早く戻れ、命花は俺が何とかする」

 確かにそれが正しいかもしれない、人一人それもまともに身動き出来ない怪我人を背負ったままあの柱をうごかすことは、出来ないだろう。だが、それでも命花を置いていくしか出来ないことは悔しい、「はい」としか言いようがなかった。急いで外へ向かう。そとに出た瞬間背後から爆発音と重たいものが崩れ落ちる大きな音がした。振り替えると出入り口が塞がってしまっている。

 

 「大隊長も早く逃げてください。」

 足を挟み動けない自分を気遣い大隊長が残った。建物の崩壊が本格的に始りいつ瓦礫の下敷きになるかわからない状況で大隊長は足を挟んだ柱を持ち上げる。

 「いまだ引け」言われた通り足を引き抜く。

 「動けるか?」

 「はい」

 とは言ったものの足の損傷がひどく立ち上がることさえ出来ない。「無理するな」と方を貸してもらい何とか立ち上がる。大隊長の無線から連絡がはいる。

 『大隊長!無事ですか?!』

 無線をとり「ああなんとか」と答える。

 『最後の出入り口が塞がりました。』

 「了解した。少し待機してくれ」

 絶望的だ。これだけ炎が広がり、建物も限界に近い。さらに出口が塞がった。そんな状況で有りながら大隊長は落ち着いて辺りを見渡している。

 「窓空出るぞ」

 無線をとる大隊長。

 「中央、三階の窓まではしごを伸ばしてくれ」

 『了解』

 窓へちかずき、あける。

 そとをみると一本の梯子が消防車空延びてきている。梯子が窓枠についたとき爆発音が聞こえてきた。いよいよ不味い。

 「先にいけ」と命花を持ち上げ梯子へ移す。急いで梯子を降りる。

 「大隊長も早く!」

 その瞬間窓から炎が吹き出てきた。理解できなかった。今の炎に大隊長が包み込まれ窓口らでてくることわなかった。壁越しでも赤外線カメラなら大隊長の動きを見れるはずだ。消防隊の装備なら炎に耐性があるし温度も上がりにくい。

もしかしたらまだ生きているかもしれない。赤外線でみると大隊長は横たわりもがき苦しんでいる。悲鳴1つあげずに。無線に連絡がはいる。

 『早く降りてこいそのままじゃ危険だ!大隊長の命を無駄にするきか?』

 「まだ大隊長が!」

 『赤外線で見たのか?だったらわかるだろ!大隊長は今から救っても助からない。』

 その通りだった。大隊長の動きは鈍くなってる。もう助かる見込みがない。それでも諦められなかった。自分なんかのために死んでいい人じゃない。あの人はまだ多くの人を救う。なのになぜ自分を助けたんだ?なぜロボットである自分を?

 梯子を降り他の作業をしながらずっと考えていた。

隊員達は、大隊長の死を受けいれてなお、訓練道理、冷静さを忘れず目の前の炎に立ち向かっている。

今悲しんでもしょうがないと皆心に言い聞かせているのだろう。だが自分は大隊長の死を受け入れられずにいた。

 

 

 大隊長が亡くなってから数週間がたった。大隊長の葬式も終わり、皆は気持ちを切り替えて仕事をしているなか、俺は切り替えられずにいた。始めて仲間が死んだ。いつ何が起こるかわからない仕事だと理解していた。明日隣の席の仲間が死ぬかもしれない。もしかしたら自分は来週死ぬかもしれない。そんな仕事だ。いくら訓練しようが必ず予想外なことは起こらないとは限らない。失う覚悟はしていたはずだが仲間を失うのが思っていた以上につらい。だがこのままではいけない。大隊長が死んだなら、今度は生きている自分たちが代わりを勤めなければならない。いい加減切り替えないと。

 今度休暇でもとって娘さんに謝罪しに行こう。どんなに罵倒されようが関係ない、これはけじめだ。


 次の週休暇をもらいパン屋向かう。入口のドアの前で命花がどあのぶにてをかけ止まっている。おそらく娘さんに謝罪しに来たのだろうがあと一歩が踏みせないのだろう。ちょうどいい、一緒に入るか。

 「おらいくぞ」と命花を押出し無理あり一緒に入店する。「えっ?ちょっま」と言ったが無視。

 「あっ久しぶりだね二人とも!」

 娘さんはいつもの笑顔で迎えてくれた。内心ホッとしたが、その笑顔は無理して作ってくれているのだろう。

 「あの大隊長の件なんですけど…」

 「気にしてないからいいよ」

 と即答された。

 「物心ついたときから覚悟はしてたから」

 「でも!」

 「いいの!」

 強く止められ黙る。覚悟を決めていたといっていた。消防官の父を持つことは確かに誇らしいかもしれないが、そのぶん火災があるたび、心配になるだろう。科学が発展した現在でなお死人が出る職業の1つだ。それでも大事な家族を失えば悲しいものだろう。いやそれ以上のものだ。罵声を浴びさせられても仕方がない。なのに娘さんは一切そんなことはしなかった。そぶりさえ見せない。

 「『もし俺が死んだら俺のことは許さなくてもいい、だが仲間のことは許してほしい』っていつも言ってたから。言われなくてもそうするけどね。」

 「本当にいいんですか?」

 「なに?罵倒してほしいならそうしようか?」

 「いえ…」

 「こんなこと言うのはダメかもしれないけど、しょうがなかったと思うよ。現場の話、特別に聞かせてもらったけど父さんがその道を選んだならそれでいい。」

 笑顔だが何故か悲しそうに見える。

 「知ってると思うけど昔父さんがまだ大隊長じゃなかった時、ある火災で同僚も上司も後輩も皆亡くなったことがあって、それからかな火災があるたび父さんの仕事仲間から現場の話を聞かせてもらうようになったの、」

 「絶対父さんにはもう二度と後悔してほしくなかったから、それでも父さんは許してないけどね」

 暗い雰囲気を壊そうとハハハと笑い「あっそうだこれ」と一枚の写真を命花に渡した。

 「始めてここに来たときの写真、父さんいつも大事にしてたよ、私が持ってるより命花ちゃんが持ってる方が良いとおもうんだ!」

 

 

 

 

  

 

 

ふざけた小説ばっか作ってたら真面目なのがこいしくなったので書きました。

伝統は、面白い。祭や仕事の伝統を守るのは大事だろうと思いました。

以上

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