<序章>
穏やかな部屋の中、少年と少女はお互いの背中を合わせていた。
少年はウサギを撫で、少女は目を閉じゆっくりとした息をしている。
何もかもが自然体で居れるこの部屋に、
「ねぇ、スグル」
少女の声だけ、混ざる。
少年は目を開け、少し笑う。
「どうした?アリス」
静かな、それでいて優しい声が、染み渡る。
「好き、って何かな?恋愛って何かな?・・・・・・・スグルと私・・・・・・・って、何かな?」
彼はいつになく真面目な顔で、視線を落とす。
そこには、いつだって臆病で、泣き虫で、寂しがり屋で、1人だったら到底生きていけない、そんなウサギが彼の膝上に偉そうに鎮座している。
「神戸氏!アリス殿!あっそびに来ましたぞ!」
少年が何か言おうとした時、突然の侵入者が部屋に入ってきた。
「・・・・・・・あららん?お邪魔でしたか?」
「いや、そんな事ないよ」
少年が否定する。
少女は少し不満そうだ。
「さ、さて。今日はなにしようか?」
「ふふふ、実はおんもしろいゲームを買ってきたので皆さんで一緒にプレイいたしましょう!」
「ゲームか・・・・・・・うん。悪くないね」
「なんてゲームなの?」
少女がそう訊くと侵入者もとい、眼鏡をかけた少女が、よくぞ訊いてくれた! と言わんばかりに眼鏡を光らせて叫ぶ。
「さぁ、お二人とも!聞いて驚け、見て驚け!これぞまさにお二人にぴったりのギャルゲー!」
「その名も『Alice and rabbit』ですぞ!」
厭世です。
ぼちぼち書いていきます。
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「捨てる猫あれば、拾う猫あり」