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継母視点

※誤字、脱字多かったらすみません。



「セルジュ様、お願いします……ナディアを閉じ込めるのはやめてください。その上、もう二週間以上も食事をさせないなんて……死んでしまいます……」


「これは罰だ。もう二度と逃げようなんて思わないように反省させないと」


私はどうしたらいいのか。何度もセルジュ様に懇願しても、聞く耳をもってくれない。ナディアが公爵様と話をしたらしい。あの娘が公爵様と何を話したのかは知らないが、それだけでここまでする必要があるのか。


今まで夜会であの娘と話した男性は数多くいた。だけど、閉じ込めるなんて事は一度も無かったのに。


「……あの娘をこの家に閉じ込めて、何がしたいのですか?」


セルジュ様は私の言葉に仄暗い笑みを浮かべる。この人こんな笑い方をする人だったろうか。


「ナディアは私のものだ。あの娘を私がどうするかなんて、アネット……君が知る必要がないだろう?」


「私は継母です。死に追いやってしまった妹の代わりに、あの娘を守らないと……」


「そんな事はしなくていい。君は、ただ幸せそうに微笑んでればいい」


そんな事が出来るはずがない。今にも死んでしまいそうなナディアを放って置いて、幸せそうに微笑むなんて真似は私には出来ない。何としてでもセルジュ様を止めなければ。私は後ろに隠し持っていた短剣に力を込めて握る。


そう、守るのだ。

妹の代わりに。あの娘の為に。

私がしようとしている事は正しいはず。


「……アネット。私を殺そうとしても無駄だぞ。女の力でどうにか出来るなんて、君が一番よく知っているだろう?」


「何を……」


セルジュ様は、私が短剣を隠し持っている事に気付いていた。不意打ちなら未だしも、気付かれた状態では簡単に避けられてしまう。思わず、握っていた短剣を放してしまいそうになった。


「愛しているよ、アネット……道具として」


今なんと言ったのだろうか。セルジュ様の言葉に理解が追いつかない。


呆然としている私にセルジュ様が近づいてきた。ゆっくりと短剣を手から引き抜かれる。セルジュ様は短剣を片手で持て遊びながら嗤う。


「愚かなアネット。愛に溺れ、私と共にアルマを死に追いやり、偽りの罪悪感で苛まれる君は素敵だと思う」


偽りの罪悪感?そんな事はない。私は妹とナディアの為にこんな事をしようとしたのだ。セルジュ様を殺してしまえば、あの娘は解放される。セルジュ様のあの娘に対する執着が終わるのだ。でも、心のどこかで悪魔の囁きが聞こえた。


(殺してしまえば、この人は私だけのもの)


「……騙していたのですか?」


「騙す?私は騙したつもりなんてない。言っただろう、愛していると」


歪んだ笑みを浮かべながら短剣の腹で私の頬を撫でる。


……ああ、そうだ。私は愛されているのだ。私はどんな形であろうと、ちゃんと愛されている。


「これからも、そんな素敵な君でいてくれ。そうでないと、君を捨ててしまうかもしれない」


捨てられる?私がセルジュ様のものではなくなる?

それだけは駄目だ。


「……っ捨てないで下さい!!お願いします!!」


「罪悪感に苛まれるのはいいが、私の邪魔だけはしないでくれ。いいね?」


「……分かりました」


私はセルジュ様に言われた通りに、罪悪感を抱きながら今まで通りにしてればいい。そうしていれば捨てられたりしない。大事に愛され続けて、幸せでいられる。






ーーーーーーーーーー





ベッドの上で痩せこけてしまったナディアを見る。

ナディアは怒りも憎しみも、悲しみもない無機質な目で私を見ている。初めて会った時と何一つ変わらない目。


「……ナディア……ごめんなさい……」


憎まれ、責められた方がどんなに楽だった事か。謝ったところで意味を成さない。でも、謝らずにはいられない。


「……許して……アルマ……」


いつのまにか、妹に対する許しを口にしていた。許しを乞う資格なんて無いのに。許されるはずが無いのに。


弱い私には何も出来ない。




私が行き着く先は、きっと地獄だろう。





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