異母妹視点
※誤字、脱字多かったらすみません。
主人公の異母妹の話です。ある意味閲覧注意です!
お姉様は狡い。
私が欲しいものは全部、お姉様のものだ。
エルヴェ様も、お父様やお母様も。
それなのに、お姉様は何の興味も示さない。
初めてお姉様と会った時、絵本の中のお姫様の様な人だと思った。綺麗で皆んなに愛されるお姉様と家族になれる事が嬉しかった。
仲良くなろうと何度も遊びに誘い、話しかけたが、お姉様は心を開いてくれなかった。
そして、私はお父様とお母様の一番ではなくなった事に気づいた。二人の一番はお姉様なのだ。
それが悲しくて庭で泣いていると、声をかけてくれたのがエルヴェ様だった。
泣いている姿を見られて、顔が真っ赤になる。
「君はナディアの妹か?」
「わたしは妹のフローディアです。あの、ごめんなさい……泣いてるところを見せてしまって」
「謝る必要は無い。泣きたい時は泣けばいい」
そう言ってハンカチを差し出したエルヴェ様に、私は恋をした。優しくて素敵な王子様の様な人。
だけど、エルヴェ様が想っているのはお姉様だった。
どうしてお姉様ばかりが愛されるの?
私がお姉様のように、お父様に似ていたら皆んなに愛されるの?
ーーーーーーーーーー
「エルヴェ様……私ではお姉様の代わりになれませんか?」
「……すまない。君の気持ちに応えることは無い」
「お姉様はエルヴェ様の気持ちを弄んでいるだけです!!」
「違う。俺がナディアに断られているのに、言い寄っているだけだ」
「……私ならエルヴェ様にそんな顔は絶対にさせないのに」
お姉様を訪ねて来たエルヴェ様は帰る時、いつも切なそうな顔をしている。
お姉様は酷い人だ。
エルヴェ様にこんな顔をさせ、お父様やお母様、私が歩み寄っても無視をする。私にはお姉様が何をしたいのか分からない。
確かに、お姉様のお母様が死んでしまったのは可哀想だと思う。だけど、私にはお姉様が物語の様な悲劇のヒロインとして酔っているようにしかみえない。
エルヴェ様が帰った後、私はお姉様を探すと、温室にあるベンチに座り気怠げに煙草を吸っていた。煙草を吸っているなんて令嬢失格なのに、誰も怒らずに少し注意する程度。
「お姉様は何がそんなに気に食わないのですか?」
私の話を聞いているのかは分からない。いつも一方通行で終わってしまうから。でも、今日は絶対に引いたりしない。
「いつまでも過去にこだわって、皆んなの気持ちを弄ぶのはやめて下さい!!」
お姉様は私を観察する様に目を向けた。何を考えているか分からない姿に少し怯えてしまう。
「……悲劇のヒロインはもうやめて、前に進みましょう?」
今のままじゃ誰も幸せになんてなれない。お姉様が変わってくれれば、きっと分かり合える。私がお姉様が皆んなに愛されている事を気づかせてあげて、悲しみから救ってあげないと。
そうじゃないと、エルヴェ様も前に進めない。
きっとエルヴェ様はこんなお姉様を心配しているだけだから。
するとお姉様は煙草の煙を吐き出し、クスクス嗤いだす。
「何がおかしいのですか……」
だけどお姉様は何も答えない。ただ静かに嗤うだけ。それが腹立たしくて、思わずお姉様が吸っていた煙草を取り上げ地面に投げてしまった。
お姉様の鋭い視線が私を射抜く。
「お、お姉様が悪いんです……私を無視するから……」
「……もう満足した?」
「……え?」
「貴女の頭の中はお花でいっぱい、ある意味幸せね」
そう言ってお姉様は温室から出て行ってしまった。
お姉様の言葉に腹が立った。可哀想なアピールをしているのはお姉様の方なのに。私のどこが幸せにみえるのか分からない。
私が折角、何度も諦めずに歩み寄ってあげているのに。
やっぱりお姉様は酷い人だ。
特大ブーメラン。
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