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※誤字脱字報告した有り難うございます!
お昼過ぎまで眠っていたせいか、頭が痛い。体はそこまで痛くないのが幸いだ。何せ優しく抱かれたのだから。ジェシカは悲痛な顔で私の身支度をする。
「ナディア様、……私のナディア様が大人の階段を登ってしまわれた……それ以上に前にも増して色気が、、、これは害虫共を追い払うルーファス様が気の毒に思います」
「それは言い過ぎじゃない?」
白いドレスを見に纏い庭のサロンにでも行こうとしていると、ルイーズ様とファミア様がお茶会に誘って来た。特段断る理由もないので、庭のサロンで三人でお茶会をする。
紅茶を飲みながらルイーズ様は昨日の王宮での話をしてくれた。話を聞く限り陛下は私を簡単に諦めるのか?と感じた。そうまるで父が私に執着した感じと似ている。父の様な人間は基本的に偏見で常識で合理性を図ることは狂っている。そう、常識が正しいとは限らない。
本当に嫌になる。私が私でいられない世界に災いがあれば良いのに。溜息をつきバランスを保つ。こういうものは物事に際し適切な感覚を持ち合わせる事が重要なのだ。
「ナディアちゃん、大丈夫?目が怖いわよ?」
「そうですか?まあ、ニコニコ笑って陛下の愛人を務めるほど人間を辞めてはおりませんので」
世の不条理な出来事に寛容という名の無頓着な人間達の中で私の拠って立つ理性は健在なのだろうか。自分というものを信じられるのは何故だろうか。とは言え、人生とは配られたカードでプレイするしかないのだからしょうがない。
「ナディア嬢、君はもう私達の娘であって家族だ。全力でルワンから君を守ろう」
「ありがとうございます」
なんにせよ、陛下が諦めてくれる手段を自分でも考える。二度と暗い鳥籠の中は嫌だ。やはり腹上死にでも見せかけるか?
「それより、ナディアちゃん!!昨夜はルーファスは優しくしてくれた!?あの子ったら嫉妬でナディアちゃんを無理矢理にしたんじゃないかって心配で」
「ご心配には及びませんよ。とても優しくしてもらいました」
「ごほんっ!!そういう話は私がいない時にしてくれ、ルーファスがかわいそうだ。ファミアもルーファスを影で揶揄うのは辞めなさい」
私は笑いながら紅茶を飲む。本当にルゥの家族は仲が良い。まるで本物の家族になった気分だ。あんなにも逃げ出したかった家族という名の檻から逃げ出したのに、また私は別の家族という名の鳥籠に入ろうとしている。自由を知ったのにまた鳥籠のに移ろうとするなんて馬鹿げてる。
「ナディアちゃん、これから街に買い物でもいかない?私、娘を着飾る事が夢だったのよ……だからお願い?」
ファミア様が上目遣いでウルウルとこちらを見つめてくる。この目は苦手だなと思いながらも、私は頷いた。
馬車に乗り街までいく。そう言えば母が死んだ時、母は私の誕生日プレゼントを買いに街まで一人で行っていたなと思いながら、胸元の蝶のペンダントを弄る。
馬車から降り、洋服店に入ろうとした瞬間、背後から口を塞がれ路地裏に引き込まれる。
「ナディアちゃん!?」
ファミア様の声が聞こえるが何かの薬を嗅がされたのか意識が朦朧とし、袋に入れられ何処へ運ばれる。大方陛下の手配したもの達だろう。陛下からは父と似ている雰囲気を以前から感じていた。ならばこんな強行手段を取ってもおかしくない。
乱雑に運ばれているうちに私の意識は暗闇に堕ちた。
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目を覚ますと何もない暗い部屋に、異様な人間サイズの鳥籠の中にいた。まるで伯爵家に囚われている感覚に陥る。冷や汗と震えが止まらないが、出来事を頭の中で整理する。此処は王宮の一室だろう。ルゥも私が攫われたことが耳に入る筈だ。落ち着いて私は私を解放する。狂った人間には狂った人間の物差しで測らなければならない。
すると、部屋が開かれ嗤いながら陛下が歩いてくる。私はそれを見てコテンっと首を傾げて嗤う。鳥籠の前まで来ると満足そうに顎髭を撫でた。
「どうだ、ナディア嬢。君のために用意したこの鳥籠は」
「陛下の頭の趣味を疑いますね。こんなことをしても貴方が欲しいものなど何一つ無いというのに」
「私が見たいのは、ナディア嬢。君を組み敷き滅茶苦茶にして孕ませることだ。さぞや楽しいだろう」
「 ……そうですか」
「いいぞ、その目。無機質でなんの興味を持たない悪も善もない目」
「ルーファス様やルイーズ様が許すとでも?」
「許さないだろうなあ」
「陛下。楽しそうにしていますが、善も悪もいつか報いを受けるのですよ」
髪をかき上げ、不敵に私は嗤う。
だがいつまで持つか。この鳥籠の鍵を見つけ、早く逃げなければと悟られない様考える。
すると部屋からノックが聞こえ、陛下は早々に部屋から出ていった。それから何時間だろうかと思ってた時、部屋が恐る恐ると開かれる。
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