公爵視点
※誤字脱字多かったらすみません!
現国王の王兄殿下である父と執務室に入り直様本題に入る。
「父上、手紙でも書いた通り俺は出来るだけ穏便に済ませたい」
「それはどうだろうな?弟は意外と面食いだからなあ。ナディア嬢のあの美貌を欲しがるのも無理無い。そしてナディア嬢は賢い、公妾にはぴったりだしな」
「陛下が諦めないのなら、俺のやり方で引きずり下ろして父上を国王に据える気でいる」
「それだけは困る。私は平穏を愛しているのだ。あんな腐った場所になど二度と戻るものか」
目の前の父を睨め付けるように脅すが、飄々とかわされる。
「だがまあ、ナディア嬢が娘になるのは嬉しい限りなのは確かだ。しょうがない、弟に取り合って諦めるよう説得しよう……」
もしも、父上の説得に陛下が引き下がらないのなら、この国の、王家の闇の部分を民衆に暴露し、暴動を起こさせ引きずり下ろすつもりだ。
煙草に火を付け肺に煙をいれ、ゆっくりと吐き出す。王家の闇の部分の証拠は既に手元にある。此れは最後の切り札だ。ナディアを諦めれば、王家も無事でいられる。
「父上、説得の際にはこの資料をチラつかせてくれ。それでも陛下が、諦めないのならば俺はどんな手でも尽くすつもりだ」
一部の資料を父に渡し、父は眉を顰める。
「ルーファス、一つ聞きたい。ナディア嬢はお前にとってなんなんだ?此処までする必要がある存在なのか?」
歪んでいるのに、それでも何処か泣きたくなる様な優しさを併せ持つナディア。愛とは何かと真実をもとめる悲しくて大事で守りたくて、何でも与えてやりたくて大切にしたい存在。
「すまない、その顔を見れば分かる。ナディア嬢の事を愛してるんだな」
「……愛?」
「愛しているんだろう?じゃなきゃ、普通此処までしない」
「俺は唯ナディアに惚れてるだけだ」
嘘だ。本当はナディアを愛している。だが、愛という名の自己満足で振り回されて、傷ついてるのを知っている。だから、俺はナディアに愛を囁かない。俺の愛も唯の自己満足だとしたら、ナディアを傷つける。だから俺はこれでいい。
「ルーファス、愛は求めるものじゃない。お互いに与えるものだ」
「肝に銘じておくさ」
「さて、私達も庭にいる花達のお茶会に混ぜてもらおうか」
そう言って父と庭のサロンに向かう。サロンではナディアが母と笑って話していた。すると母が俺に気づき手招きをする。何故か嫌な予感がして速足で向かうと、ナディアがクスクスと俺を見て笑う。
「丁度良かった、今ルーファスの恥ずかしい過去をナディアちゃんに話してたのよ」
「なっ……!?ナディア、何を聞いた!!」
「ルゥが木に登ったは良いものの、降りれなくて泣いたり、庭に入ってきた野良犬に追いかけられて泣いたりとか?」
クスクスと俺の消し去りたい過去を笑う。だが、それは馬鹿にした様な笑いではく、愛しそうに笑うので、まるでナディアが俺を愛しているかの様な錯覚に陥る。
この笑顔がずっと曇らなければ良い。ずっとこの笑顔が俺に向けられ続ければ良い。
「なあに、ルーファス。ナディアちゃんに見惚れてるのよ。さ、座って二人の仲を根掘り葉掘り聞くわよ」
「人の恋路を根掘り葉掘り聞かないでくれ。ナディア、お前も絶対話すなよ」
「ふふっ、ルーファス様が羨ましくて嫉ましい。私もこんな素敵な家族に産まれたかった。まあ、子は親を選べませんから、そう言ってもしょうがないのですけれど」
さっきまでの愛しそうな笑みが一瞬で人形の様な笑みに変わる。自分の家族の事を思い出しているのだろうか。どうしたらナディアの傷は癒えるのだろう。ナディア自身気付いていないが、歪んでしまうほどの心の傷を抱えている。いつか癒える日が来ると良いが。
「ナディア嬢いきなりですまないが、君はルーファスの事をどう思っているんだい?」
父が真剣な表情でナディアに問い詰める。俺は思わず父を睨みつけてしまった。
ナディアは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに蠱惑的に笑い返した。
「少なからず想っていますが、それが愛かと聞かれたら私は何も答えられません」
クスクスと蠱惑的な笑顔のまま笑うナディア。何時もと違うと感じるのは、俺が居無い間に母と何か話したのだろう。ナディアは何かを隠す時、蠱惑的な笑みを浮かべる事が多い。
「ふむ、ナディア嬢は素直な人だな」
「いいえ、嘘だらけの汚い唯の人間ですよ」
「もう、そんな話は止めてもっと楽しい話をしましょう?」
母が助け船を出して、少しピリついた空気を和ませる。それから何故か俺の幼少期の話で盛り上がりナディアは笑っていた。だが、俺は知っている。この笑顔の裏には仄暗い感情がある事を。
ーーーーーーーーーー
深夜、皆が寝付いた時間を見計らってナディアの寝室にそっと入る。ナディアはぐっすりと深い眠りに就いている様で、あまりにも人形の様で生きているのか心配になり胸元に耳を寄せると、一定のリズムで心臓がちゃんと動いていた。
今なら良いだろうか。ナディアもぐっすりと寝ていてどうせ分からないだろう。ナディアの頬を撫でながらそっと囁く。
「ナディア……愛している」
寝ている間だけなら、言っても許されるだろう。
読んで頂きありがとうございます!




