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継母視点

※誤字、脱字多かったらすみません。

主人公の継母の話です。


あの頃、毎日が地獄だった。


嫁ぎ先の夫は、暴力を振るう人だった。

人前では愛想はいいが、二人だけになると、ドレスで見えない場所を殴られ、蹴られ、罵倒される。


誰にも話せなかった。話したらもっと酷い事をされると思ったから。


そんな時、妹のアルマに婚約者を紹介された。

それがセルジュ様。美しくて優しい人だった。

セルジュ様は、私のおかしな様子に気付き、心配してくれたのだ。


そこからは、ただセルジュ様に溺れていくだけだった。妹の婚約者だとしても、私には彼だけが救いだったから。


セルジュ様と妹が結婚しても、私は夫に隠れながら関係を続けた。そんな時、私のお腹にセルジュ様の子供がいるのが分かった。


夫に不貞を責められ、元の顔が分からなくなるほど散々殴られたが、必死にお腹だけは守った。

その後、離縁されてセルジュ様が用意してくれた屋敷に住み始めた。


こんなに穏やかな時はいつ以来だろう。もう、暴力や罵倒に怯える必要がない。

でも、離縁されてから妹の事を考える事が多くなった。妹に対する罪悪感。


だけど、私はその気持ちに蓋をしてしまった。

私はもう引き返せないのだ。


私に似た子供、フローディアが産まれてから私は本当に幸せだった。セルジュ様は子供が産まれてからも優しく、まるで本物の家族のような錯覚を覚えた。


だけど、セルジュ様は妹の夫。

妹も、私より先に女の子を産んだらしく、セルジュ様は嬉しそうに何度もその子の話をしていた。

私は何故か、嫌な胸騒ぎを感じた。


そして、フローディアが産まれてから8年経った頃、妹が首を吊ってしまった。


妹が死んだと聞いた時、私は足元から崩れ落ち、体の震えが止まらなかった。

私達は妹に許されない事をし続けていた事に気付いた。いや……気付いていたのに、私はずっと見て見ぬ振りをしていたのだ。



「アネット、どうか私の妻になってもらえないか?」


「セルジュ様……妹が……」


「愛しているよ、アネット。私とアネット、フローディア、そしてナディアと家族になろう」


「お父さまと一緒に住めるの?」


小さなフローディアが嬉しそうにセルジュ様に抱きつく。


「そうだよ、フローディア。君にはとても綺麗なお姉様がいるんだよ?」


「きれいなお姉さま?わたし会ってみたい!」


「フローディア……」


私はセルジュ様を愛しているが、後妻になるつもりなど無かった。でも、フローディアの嬉しそうな姿を見て、私はセルジュ様の甘い言葉に頷いてしまった。







ーーーーーーーーーー








「セルジュ様……それはナディアに来た手紙ではありませんか……?」


「それがどうしたんだい?」


「何故勝手にナディアの断りもなく開けているのですか……?」


「私はあの子の父親だからね」


……セルジュ様は狂っている。

ナディアに来た縁談を本人に伝える事もなく断る。

夜会で誰かと話していれば、話していた相手を調べ始める。ナディアの行動を使用人に毎日報告させ、そしてナディアの手紙を開けて内容を確認する。


セルジュ様はナディアに執着しているのだ。


フローディアには優しい父親であり、そんな事はしない。あの日、セルジュ様がナディアの話をしていて感じた嫌な胸騒ぎはこれだった。


ナディアは私達に興味がないようだが、それがセルジュ様をより執着させている。


何故こんなにもあの子に執着するのかは分からない。だけど、きっといつか、良くない事が起きる。



……私が守らないと。



私達が死に追いやってしまった妹の代わりに。






ーーーーーーーーーー





「お母様、どうしてお姉様ばかりを心配するの?私の事はどうでもいいの?」


「フローディア……。私はナディアも貴女も愛しているわ」


「でも、お父様もお母様も、いつもお姉様のことばかり!!」


「聞いて、フローディア。私は償わないといけないのよ」


「どうして?お父様とお母様は愛し合っただけなのに……」


愚かな私に似てしまった、愛しいフローディア。

だけど、私はこの子を切り捨ててでも、ナディアを守らなければいけない。




……例え、この手で愛しい人を殺すことになっても。




許される事がないのは分かっている。




でも、それが私に出来る唯一の贖罪なのだから。







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