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緋楽盈月〜和風異世界で獣の子供預かってます〜  作者: 流灯
一章 真摯に学べこの異世界
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狩猟

翌日。

私は今家の近くの森にいる。

そして、偵察として蝶を十匹放っている。

動物を見つけたら私に報せてと指示している。

結構魔力を持っていかれたけど、今まで毎日魔力を増やしてきたお陰でまだまだ余裕がある。


さて、私も動物の気配を探ろう。

前世では気配とかそういうのは全然分からなかったけど、今はある程度分かる。


私は魔術の練習がほとんどで剣術の練習はあまりしていないのでそこまで気配を感じるのが上手い訳では無いのだけれど。

だが、ある程度ならば探る事はできる。

相手は魔物ではなく普通の動物だしね。


私が歩いていると、一匹の蝶が戻って来た。

獲物を見つけたのだろう。

その蝶が来た方向へまた飛んで行くのでそれについて行く。

ふむ、あっちか。


暫く歩くと前方に気配があった。

そっと近づいてみると、遠くに鹿がいた。

まだ鹿には気づかれていないようだ。


此処から魔術で仕留める。

使うのは氷矢でいいだろう。

氷矢を五本作り、鹿に向けて飛ばす!

速度は私が出せる最速にしている。


鹿は氷矢に気づいて逃げようとしたが遅かった。

鹿が逃げ出す前に私の氷矢が左前足の付け根、腹、尻、頭等に刺さる。


そこから血を流し、すぐに絶命した。

周りの気配にも気をつけながら鹿に寄って行く。

こういうのって、すぐに血抜きをしないといけないんだよね。

風魔術で首を落とす。


逆さに吊れればいいのだけれど、あいにく私はまだ六歳だ。

そんな事はできない。

この血の匂いに釣られて狼とかに来られたら厄介なので周囲の気配にも気をつける。


暫くして血が出なくなったら異空間に収納する。

穴に入れるのも一苦労だったけどなんとか入った。

よし、これだけあれば十分だろう。

さっさと帰ろう。


で、問題はこれをどうするがなんだよね。

親に渡して解体とか調理とかして貰うか、このまま鈴にあげるか。

うーむ、このまま鈴にあげるっていうのはなんだか申し訳ないな。

よし、ここは親に渡すか。

なんか余計な心配とかされそうだけど、しょうがない。




「ただいまー。」

「おかえり⋯⋯って!何それ!?」


まあ、普通そうなりますよね。

だってまだ六歳の娘が鹿を狩ってきているのだから。


「森に行ったら居たから狩ってきた。」

「いやいやいや、居たから狩ってきたじゃないわよ。まず森は危ないし、どうやって狩ったのよ。」

「勝手に森に行ったのはごめんなさい。面白そうで、つい。でも、危ない事なんて無かったし、この鹿は魔術で。」

「はあ⋯⋯。まあいいわ。怪我とかは無いのね?」

「うん。」

「もう、今度から森に行くときは必ずお母さんに言ってからにして。分かった?」


おおお。

かなり厳しい目付きで言われた。


「はい。ごめんなさい。次からはちゃんと言います。」

「よし、絶対よ?」

「うん。」

「なら、これはお父さんに解体してもらいましょうか。」

「ねえ、私も解体したい!」


今後の為にも解体の方法は知っておきたいしね。


「うーん、まあ、それくらいなら良いか。」

「やった!」

「あなたー、咲夜に鹿の解体教えてあげてー。」


呼ばれて父が来た。


「ん?この鹿はどうしたんだ?」

「咲夜が狩ってきたのよ。」

「へー、そうか。⋯⋯は?咲夜が?」

「ええ、そうよ。」

「本当か?」

「ええ、さっきから言ってるじゃない。」

「でも、咲夜はまだ六歳で⋯⋯。いや、俺達の子供ならありえるか?」


父よ、どういう理由だそれは。


「ええ、私達の子だもの。」


母よ、お前もか。


「そうだな。うん、そうか。なら分かった。解体を教えてやろう。」

「やった!」


早速父が鹿を担いで持っていく。

私もその後についていく。

父が来たのは家の裏だ。


「よし、此処でやるぞ。」

「うん。」


その後父から解体の方法を教わった。

途中で鹿肉を少し異空間に貰ったりしながら。




「今夜は鹿鍋よ。」

「やった!」


夕食の時間である。

今日は私が狩ってきた鹿で鍋をしてくれるらしい。


「いただきます!」


早速とばかりに口に入れた肉はしっかり味が染み込んでいて、柔らかい肉は味わっている内にもう無くなっていた。

美味しい!


その日は鹿鍋を堪能し、鈴にもあげて眠りについた。

このくらいの歳の子供が鹿を狩ってきたら普通はもっと驚くか疑います。

でも、この両親はもう少し歳は上だったが、子供の頃に同じような事をしていたりした。

ちなみにそれは両親二人でしていたり。

両親は子供の頃からの知り合い。




おまけ



上総にしりとりを教える事にした。


「上総、しりとりって知ってる?」

「知らない。」

「えっとね、例えば、『りんご』って私が言ったら、その最後の文字の『ご』から始まる言葉を上総が言うの。それを繰り返して、最後の文字が『ん』の言葉を言うか、言葉が思いつかなくなったら負け。分かった?」

「えっと、つまり、『上総』の後『咲夜』とか、そういう事?」

「ぐはっ!」


ヤバい。

今の破壊力ヤバい。

この子天使かな。

うん、きっとそうだ。


その後上総に心配されて、その心配した表情の破壊力でもって咲夜はノックアウトされるのだった。

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