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緋楽盈月〜和風異世界で獣の子供預かってます〜  作者: 流灯
一章 真摯に学べこの異世界
4/48

魔術

七五三の翌日。

今日から魔術の練習をする事にした。

この家に魔術の本が何冊かあったのでそれを見ながら練習する。

下位の魔術なら家の中でもできる。


ちなみに、魔術や剣術などにはランク付けがされていて下から、下位、中位、上位、星ノ位、月ノ位、陽ノ位、天ノ位、の七つとなっている。


下位の魔術なら生活が便利になったり、少し攻撃できる程度。

中位はそこそこの攻撃力で、人の急所とかに当たったら死ぬ程度。

上位は結構攻撃力が高かったり広範囲に攻撃できたりする。

星ノ位が使えれば秀才等と言われる。

月ノ位が使えれば天才。

陽ノ位が使える人は宮廷魔術師にもなかなかいない。

天ノ位は使える奴いるの?


といった感じだ。

これは剣術にも当てはまる。

なので、下位の魔術なら安心して使えるのだ。

早速初心者用の魔術教本を開く。


魔術の基礎的な事が書かれている。

ちなみに、文字は転生した時から何故か読めた。

全然知らない文字だったのだけれど。

で、書かれている内容は、まず魔術の説明。


要約すると、魔術とは魔力を使い、火、水、風、土、雷、光、闇、を顕現させたり操ったりする事。

また、空間魔術等その他の魔術を無属性魔術と云い、治癒魔術、呪術もある。

でも人は光と闇の魔術は使えない。

理由は定かでは無いが、光と闇の魔術というのは一部の魔物が使うだけだし、あまり深く考えなくても良い、という旨が書かれている。


光と闇の魔術に関しては、それらの属性は心に少なからず影響を与えるため、人は心をしっかりと持つためにそれらの属性が使えなくなったが、その代わりに知恵や豊かな感情を手に入れた、というのが最も有力な説だ。


ということで、まずは下位の水魔術からしようかな。

えーと、魔術媒体を使いながら詠唱をすると。

でも、魔術媒体とか持ってないし、それが無くても魔術は使えるという事だからこのままやってしまおう。


魔術媒体というのは、魔術を使う時に使用する道具で、杖の形をとった物が多いが、耳飾りだったり指輪だったりもする。

魔術媒体を使うと、使わない時と比べて魔術の威力が上がり、消費魔力が少なくなる。

使うのと使わないのとでは全然違う。

でも、私はまだ練習するだけだから無くてもいいでしょ。


詠唱は、言霊に魔力を乗せることで魔術を行使できるというもの。

よし、ならば早速!


「『 我が言の葉によりて、流水の力を顕現させよ。水球。 』」


最後まで詠唱し終わった瞬間、体からなにかが吸い取られる様な感覚があった。

おそらくこれが魔力なのだろう。

そして、目の前に直径五センチ程の水球が現れ、開けていた窓から飛んでいった。

そして六メートル程飛んだところで霧散した。


おお、できた!

で、小説とかだと無詠唱でやってたりするよね。

よし、物は試しだ!


さっき魔力が吸い取られる感覚があったから、それを意図的に再現してみる。

体の中の魔力を意識して手の前に集める⋯⋯。


んー、なかなかできないものだね。

そもそも魔力がどんなものか実感があまり無いしね。

まあ、とりあえず練習あるのみだ。

よし、もう一度詠唱してみよう。


「『 我が言の葉によりて、流水の力を顕現させよ。水球。』 」


また魔力が吸い取られる感覚がある。

これをしっかりと覚えよう。

よし、もう一度無詠唱で。


ん?

ちょっと待って。

今飛んでいった水球と一緒に見覚えのある紺色の蝶も見えた気がするのだけれど。

あの蝶って、もしかして私の魔力だったりする?

なんとなくそう感じた。

なら、次はあの蝶をイメージしながらやってみよう。


紺色で、羽は綺麗な模様があって少し光っている感じで。

その蝶と水球を同時にイメージして、蝶の魔力で水球を形作る!


その時、目の前に詠唱した時と同じくらいの大きさの水球が現れた。


できた!


と、思って集中が乱れたからか、その水球は飛んでいく事なくばしゃっと床に落ちた。

なるほど、飛ばす所までコントロールしないといけないのか。


その後私は水球を二個飛ばした所でふらっとした。

これが教本にも書いていた魔力切れと言う現象なのだろう。

もう一度したら気絶しそうなので今日はこれで終了だ。


ちなみに、魔力というのは限界はあるものの、魔術を使ったり練習する事で増えるらしい。

私は無意識に増えないものだと思っていたのだけれど、違ったのだろう。




***




初めて魔術を使った翌日。

今日は火魔術を使ってみようと思う。

早速詠唱をする。


「『我が言の葉によりて、炎熱の力を顕現させよ。火球。』」


詠唱が終わった途端魔力が吸い取られ、目の前に直径五センチ程の火球が現れる。

それは窓から飛んで行き、六メートル程飛んだところで消えた。


なんか燃料とかが何も無い炎だけの存在って違和感あるけど、まあ、魔術とかがある時点で今更だしね。


昨日同様、次は無詠唱でやってみる。

昨日は水だったけど、やる事はさほど変わらない。

まず自分の魔力を蝶のイメージで意識する。

次にそれをさっきの炎の球になるようにイメージして、目の前に顕現させる!

できた!


喜んだのだが、その所為で火球が掻き消えたので落ち込んだ。

水魔術は消えずにばしゃっと床に落ちたのだが、炎は消えた。

いや、床に落ちたら家が火事になるから良かったのだけれど。

理由としてはおそらく燃料が無かったからなのだろう。


うう、昨日同じ失敗をしたのにまたやってしまうとは。

とにかく、気を取り直してもう一度だ。

次は窓から飛ばす。


その後、詠唱した分も含めて五回魔術を使ったのだけれど、ふらっとする事は無かった。

これが教本に書いていた魔力が増えるという事か。

よし、ならば魔力も増やしつつ魔術の練習といこうではないか。


水球と火球は決して上手いとは言えないのだろうが、一応無詠唱でできるようになった。

となると、次は風魔術あたりをしようか。

五つの属性の魔術を一通りやってから、それぞれの練度を上げていくとしよう。

では、風魔術の詠唱をしよう。


「『我が言の葉によりて、疾風の力を顕現させよ。風球。』」


今までと同様に魔力が吸い取られていく。

そしてやはり五センチ程の風球が現れて窓から飛んでいき、六メートル程で霧散した。

いや、風球は見えないのだけれど。

でも、何故かそこにあるというのが分かった。

おそらく自分の魔力で作り上げたものだからだろう。


そして風球も無詠唱で無事使えるようになり、全部で五つの風球を使ったところで軽く目眩がしたので今日はそこまでにする。




その翌日。

今までのように土球と雷球も五回ずつ使い無詠唱で使えるようになった。

で、まだ魔力はあるのだけれど、何をしようか。

ここは、下位の魔術五種類をもっと上手く使えるようにするか。


という事で、下位の魔術を一通りもっと上手くコントロールできる様にしていたら、十回魔術を使ったところでふらっとしたので今日はここまでにする。


それにしても、魔力が増えるペースって毎日二倍になってるよね。

このままいけばかなり増えるんじゃない?

まあ、限界はあるのだろうけれど。



そのまた翌日。

今日も下位の魔術を練習する。

そして四十回魔術を使ったところで魔力が切れたのでやめた。


四十回魔術を使うのも大変だな。

明日からは中位の魔術でも練習しようか。

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