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緋楽盈月〜和風異世界で獣の子供預かってます〜  作者: 流灯
一章 真摯に学べこの異世界
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魔物

山に行くのに必要そうな物をいくつか店で買いながら門まで向かう。


そして門から外に出る。

出る時には冒険者証を見せればすぐに通してくれた。

薬屋のおじさんに教えてもらった山は遠くに見えているあの山で間違いないだろう。

その方角に向かって歩いて行く。


さて、ここで緋楽における従魔について説明しておこう。

まず従魔というのは人に従っている魔物の事だ。

そして魔物が従うかどうかは全て運である。

テイマーとかそういう存在はいないのだ。


そしてどうしたら魔物を従魔にできるかというと、魔物を倒す事だ。

魔物は人に殺されそうになった時に、稀に従属の意を示す個体がいる。

仲間になりたそうにこちらを見ているというやつだ。


その確率は極めて低く、魔物が弱い程従いやすくなると言われている。

というのも、ただ魔物を倒すだけではなく、圧倒的な戦闘力の差をみせつけた方が従魔になりやすくなるらしい。

例外は稀にいるが。


冒険者は仕事柄魔物を多く殺すので、たまに従魔を連れている者もいる。

そして、従魔かどうかを見分けるのは簡単で、体のどこかに印がついているのだ。

これは人が付けるもので、目立つ所に好きな模様を付ける。

それと、目立つ色の布もつけなければならない。

いくつか決まっている事もあるのが。


従魔の印は魔物を従魔にする際に人が魔物に少し魔力を与えるのだが、その魔力が形になるのだ。

その形は好きに決められるが、一度決めるともう変えられない。


まあ、従魔に関してはこんなものだろう。

もし鈴が誰かに見られても従魔だと言おう。

と、いうことで、久しぶりに鈴を異空間から出してあげる。

街からそこそこ離れたからだ。


「鈴ー、出てきていいよー。」


するととことこと出てきた。

外が気持ちいいようだ。


「鈴、これからあの山に行って母さんの薬の材料を採りに行くの。母さんの為に急がないといけないんだけどついてきてくれる?」

「ガルゥ。」


肯定してくれたようだ。

そして私がまた歩こうとしたら鈴に服の裾を引かれた。


「どうしたの?」


すると鈴は少し屈んで尾で自分の背を叩いている。


「乗れって事?」

「ガルル。」


鈴が頷いた。


「え、でも重くない?大丈夫?」

「ガルルルル。」


また頷いた。


「んー、なら、急いでいるし甘えさせてもらおうかな。」

「ガルルルル!」

「ありがとうね。」


鈴を撫でながら背に乗せてもらう。

乗り心地は悪くない。

鈴はもふもふだしね。


「じゃあ鈴、あの山までお願い。」

「ガルルルル!」


そして鈴は助走をつけ、飛び上がった。

かなり速い。

車より速いのではないかと思う程だ。

そこらの馬より全然速い。


私は鈴から落ちないように掴まった。

周りの景色がどんどん流れていく。


それから数時間後。

私達は綠観山ろくみやまの麓に着いた。

空はもうすぐ橙色になりそうだ。

昼食は街で済ませてきたが、夕食は持ってきていないのでこの辺りで狩って食べるしかない。

今日は此処で野営だな。


「鈴、獲物探しに行こうか。」

「ガルル。」


そういえば、鈴の鳴き声出会った時と変わってるよね。

幼さが無くなって、獣っぽくなった。


私は蝶を十匹だし、獲物を探して来るよう指示した。

蝶といえば、もう私の魔力量は増えなくなっている。

幼い頃限定なのだ。


そのまま暫く探していると、蝶が一匹戻って来たので取り込んでそちらに向かう。

するとそこに居たのは獲物は獲物なのだが動物ではなく魔物だった。

牙猪という弱い部類の猪型の魔物だ。


人の領域を出ている以上野生動物の方が珍しいのだが、魔物と戦うのは初めてなため少し緊張してしまう。

鈴なら勝てるだろうが、ここは私が一人でやりたい。

私の戦闘力がどこまで通用するのか確かめておきたいのだ。


「鈴、私が倒すから此処で待っていてね。」

「ガルゥ?」


鈴が首を傾げながら心配そうに見てくる。


「大丈夫。あれは魔物の中では弱いやつだから。」

「ガルゥ!」


鈴に応援されている気がした。


「じゃあ、行ってくるね。」


そう言って私はわざと牙猪に気づかれるように走って行った。

案の定牙猪は私に気づき、突進して来ようとしたのでその前に氷矢を十本発射する。


牙猪は半分程避けたが、残り半分程は突き刺さった。

突き刺さった部分から血が流れているが、やはり魔物なだけあって野生動物よりも防御力が高い。

とは言っても所詮六級に分類される魔物なのでそこまで高くもないのだが。


牙猪は痛みを与えられた怒りからまたも私に突進しようとしている。

その前に私は風魔術の風刃で更に傷を与える。

牙猪は不可視の攻撃に驚きながらも、私に突進してきた。

私の元にたどり着くまでに氷矢を三本発射する。

威力は最高にしてある。

その三本の氷矢は全て命中し牙猪を死に至らしめる。


「ふぅ⋯⋯。」


初めの氷矢と風刃はそこまで威力を出していない。

どの程度傷を負わせられるか試してみただけだ。

それでもやはり魔物との初戦闘は緊急した。

鈴がとことこと近づいて来る。


牙猪に近づき頭を切り落とす。

そこから血が吹き出した。

その血がかからないようにしながら頭から素材となる部分を剥ぎ取っていく。

冒険者組合に持っていけば買い取ってくれるのだ。


牙猪の素材はやはりと言うべきかその牙と皮である。

牙と皮を街で買ってきた小刀を使い剥ぎ取る。

それと魔物には魔石が一つあるのでそれも後で取らなければ。

ちなみに魔物を殺す事に忌避感等は無かった。

これも転生した影響か。


そうしている内に血が粗方抜けたようだ。

それを異空間に仕舞う。

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