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緋楽盈月〜和風異世界で獣の子供預かってます〜  作者: 流灯
一章 真摯に学べこの異世界
11/48

試験

此処で試験をするのか。

内容はやはり試験官との模擬戦とかなのかな?

そんな事を考えていると一人の男性が来た。

体格は平均的で、杖を持った魔術師の格好をした人だ。

年齢は三十代後半といったところだろうか。


「俺が今回試験官を務める者だ。」

「よろしくお願いします。」

「随分と礼儀正しいな。冒険者というのはやはり荒っぽい者が多くてな。」

「そうなんですか。」

「で、試験の内容だが、お前は魔術師だったよな?なら、近接戦闘での模擬戦ではなく、遠距離戦での模擬戦となる。」

「そうなんですか。判断基準は?」

「実践に通用するか、応用がきくか、咄嗟に判断できるか、といった所だな。」

「分かりました。」

「では、早速始めてもいいか?」

「はい。お願いします。」


私達の間が十数メートル開いた所で、試験官の人が此方を向いた。

そして受付嬢の方を向き、頷いた。

すると受付嬢が頷き返し、声をあげる。


「試験、開始っ!」


その声とほぼ同時に試験官が詠唱をしだした。

このくらいの距離なら普通の大きさの声なら聞こえるのだが、小声で呟いているため聞き取れない。


私はまず相手の出方を見る事にした。

それと、無詠唱で魔術は使えるのだけれど、まだこの世界における無詠唱がどういう存在なのか分からないため、一応詠唱する。

場合によってはふりだけになるかもしれないけれど。


試験官はまず土の矢を五本作り、此方に発射してきた。

そこそこ速いけれど、これなら避けられる。

地面を蹴って右に回避する。


同時に氷矢の詠唱をしている振りをして氷矢を十本作り、時間差をつけて飛ばす。

その後水溜まりの詠唱をしている振りをする。


試験官は私の氷矢を躱そうとしたけど時間差もつけた氷矢を躱すのは難しかったらしく、何本かは当たって服を切っている。


試験官が躱している間に詠唱を終えたようにして試験官が避けた先に水溜まりを作る。

ただし、普通の水溜まりではない。

少し地中に作ったのだ。

そうする事で水溜まりは土と混じって泥となり、相手の足をとる。


それにまんまとはまった試験官はなにやら詠唱し始めたが、それが終わる前に私は試験官に走り寄りながら詠唱している振りをし、氷矢を先程と同じように飛ばす。


攻撃自体は先程と同じだが、試験官の置かれた状況が違う。

よって試験官は氷矢を全てもろに受けた。

私が接近していたのもあって余計に避けられなかっただろう。


ただし、その氷矢はとても脆く作ってある。

全て命中せずとも、何本かは当たると思っていたからだ。

なので氷矢は試験官に当たった瞬間割れ、地面へと落ちた。


そこで試験官は両手を上げ降参の意を示した。

どうやら勝てたようだ。


「いや、参ったよ。まさか負けるなんてな。」


そう言って試験官は笑った。


「ありがとうございました。それで、結果は?」

「ああ、文句無く合格だよ。七級ではなく五級にしたいくらいだよ。まあ、無理だけど。」


すると受付嬢が来て、声をかけてきた。


「冒険者証をお預かりします。階級を書き換えますので。」


私は冒険者証を取り出しながら礼を言った。

そして試験官の人も声をかけてきた。


「いやー、本当に強かったね。この状態で杖使っていないのだろう?将来期待できるな。最近は強い冒険者も減ってきているからな。」

「そうなんですか?」

「ああ、一級冒険者もだんだん減ってきているという話だ。」


そんな風に試験官の人と話していると、やがて受付嬢が帰って来た。


「こちらが更新した冒険者証になります。」


そう言って差し出された冒険者証は確かに階級の欄が見習いから七級になっていた。


「ありがとうございます。」

「はい。これで冒険者登録は完了致しました。今後は冒険者組合の一員であるという自覚を持ち、相応しい行動を期待しています。期待の新人ですしね。」


そう言って微笑んだ。

やはり受付嬢というだけあって美人だ。

冒険者組合の顔と言ってもいい人達だから、見た目もある程度必要なのだろう。

荒っぽい冒険者達を相手にするのだし。


「分かりました。ありがとうございました。」


そう言って訓練場から、そして建物から出た。

ちなみにさっき絡んできた人はいないようだった。

絡まれるのがあの程度で良かった。


さて、冒険者登録も終わったので早速光秋桜を探しに行くとしよう。

冒険者証を見せれば街に出入りする時の税金は取られないらしいからお金の心配はあまりしなくて良いだろう。

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