腕試しと初依頼
朝起きてギルドに来た。
さてと、自分がどれくらいの強さが確認してきますか。
俺は受付に行き、試験に来たことを伝える。
受付嬢(昨日の人じゃなかった。)は奥から人を読んできた。この人が俺の相手みたいだ。
「やぁ、君だね、受けるの。まずは自己紹介をしよう!僕はCランクパーティ魔剣同好会のリーダー、ノイアだ。よろしく!」
どうやらこの金髪の好青年が俺の相手らしい。
「Fランク冒険者のコウだ。こちらこそよろしく。」
「じゃあ早速始めよう。場所はギルドの裏の訓練場。武器は訓練場にある葉が潰されたものを使うようにしようか。降参って言うか、どちらかに良いのが入ったり審判が危険と判断したら終了だ。何か質問あるかい?」
「いや特にない。」
「なら行こうか?」
俺はノイアについて行く。日本にいた頃は試験やなんかがあった時は緊張したもんだけどあんまり緊張しないなぁ。これも能力アップが関係しているのかどうなのか...
闘技場に入ると中は閑散としている。まぁ当たり前か何か特別なことでもない限りここには来ないで、以来に出てしまうだろうしな。
俺たちは闘技場の中央で向かい合う。こちらは大剣、ノイアはロングソードと呼ばれるものだろう。
「では用意はいいかい?始めるよ」
ナイアは審判役のギルドの職員に目配せすると職員は頷き大きく息を吸う。
「始め!」
合図と同時にノイアが突っ込んでくる。
おいおい、これは新人冒険者の為のものなのにそれは有りかよ。まぁもともと突破させる気は無いのかな。そもそもいきなりCランクの相手が来てるからな。戦場での心構えなんかを教えるつもりかもしれない。
だがな!甘いのだよ。
俺も踏み込み大剣の腹に相手の剣を合わせて滑るように受け流す。ノイアは驚き受け流され体が泳いだのをなおそうとするが、その隙を逃さずさらに踏み込み大剣の刃の部分を首に添える。
「俺の勝ちだな。」
あたりを静寂がつつむ。審判の職員や俺がボコられるのを見に来たであろう人たちも口を開け呆けている。もちろんノイアもだ。
いち早く正気に戻った審判の男が「勝負あり!」という。今更感がすごい。
それを聞いたノイアが本当に面白そうに笑う。きに触れたかな?
「すごいね!君!それでFランクだったのかい!いや、登録してからすぐの腕試しだったからEか!強いよ。ものすごく!」
本当に楽しそうに語っている。なんだかいい人だ。
「それで、僕のパーティに入らないかい?ランクはCだが君の方が強いからね!問題ないさ!うんそれが良い。」
なんか変なことを言い出した。
周りからは、「今日はかっこいいままで終わるかとおもったわ。」とか「勧誘今来たか」とか言ってるからいつものことだろう。
「すまないが、俺は当分パーティに入るつもりは無いんだ。それでこれで試験は終わりでいいのか?」
「あ、そうだったね、試験中だったや。いやぁ初めてこんなあっさり負けたから驚いてしまったよ。
では結果を言うよ。コウ合格!おめでとう〜。いつでもうちのパーティに来てくれ。」
ふぅ、これでクエストに行ける。
そのあとは受付に行ってギルドカードを更新してもらった。
その際に昨日の受付嬢の人が
「コウ様、昨日はうっかりしていまして、魔法の検定を受けていただくのを忘れておりました。こちらの水晶に魔力を込めていただけませんか?」
何かさらっと流してしまったけど検定があったのか。まぁそうだな。嘘の申請をされて困るのはギルドだ。
断る理由もないしすぐに魔力を込める。
水晶の色はすぐに変わって水晶いっぱいに紅い光が広がる。ん?なんか真ん中に黒い炎みたいのなのがあるけどなんだ?
「こ、これは...」
「どうした?何か問題でもあったのか?」
まぁ、このくらいのだよな。
「いえ、この水晶は、魔力の種類と適性を図るためのものなので、これが全て色が変わるということはその魔法に対しての適性が最高値だということになり、分かっているだけでもこれが当てはまるのは、Sランクの方にいるだけです。それに黒ですか...すいません。この黒い魔力については知っていますか?」
知らないので首を横に振る。
「では、ご説明させていただきます。ついでにこれは聞く義務があるので必ず聞いてください。
魔力には、緑、赤、茶、黄、青の五つの種類があります。魔力が強いほど色が濃くなっていき、それぞれの魔法の威力や精度が変わって行きます。ついでに適正とは別物で適正は出来ることの量です。
そしてそれとは別に、黒と白の魔力が確認されています。そのほとんどが薄かっりほんの僅かなものしか確認されていません。未確定情報では聖国の聖女様は水晶が真っ白になるそうですが...。とにかく、真っ黒なのは初めてですし形があるなんて聞いたこともないことです。」
「それでその魔力が上がるとどうなるんだ?」
肝心なことが聞けていない。
「すいません!つい驚いてしまいました。では白と黒の魔力についてですが、白があると回復の魔法が使えるようになったり、傷が早く治ったりするそうです。
黒は魂のあるものに対して攻撃が通りやすくなることが確認されています。またアンデットのスケルトンなどの魔石を破壊する必要がある魔物に対しても破壊しなくても倒せるようになったという報告をあります。ただそこまで黒いのは確認されていないのでどうなるかは分かりません。ただ黒の魔力を持つ人は白の魔力を持つ人に比べてかなり少ないです」
なるほどな、おそらく白い魔力はゲームでいう神力とか回復系のやつなんだろうな、よく分からんけど。
しかし黒い魔力か、ぶっちゃけどんなのかは予想がつく。今の話と俺の身の上話やら閻魔様の加護を考えるとこれ、地獄の魔力とか魂を送るとかそんなのじゃないか?地獄の炎黒かったしな。それだと黒の魔力の人が少ないのもわかる。これ、人に扱いきれないんだろなと。俺は一回死んでるし、加護あるから大丈夫だけど、多分普通の人はこれが強いと死ぬ。制御しようとして自分の魂が燃やされて。
これは使い所考えるかな。
「すいません!すーいーまーせーーん!」
「あぁ、すまない考え事をしていたんだ。っで、まだ何か?」
考え込んでいから受付嬢の話が聞こえていなかったな
「聞いていなかったようなのでもう一度言いますね!
以来の話です。主に3種類あって、採取と討伐と護衛です。
特殊なものが何個かありますが適宜教えていきますね?
では採取についてです。これは薬草なんかの植物を取ってくるもののことを言います。オークの肉などの納品は討伐系に分類されます。
討伐は、対象となった場所の魔物を狩るものと単純に量を買ってくるものです。依頼票のものは前者、常設依頼は後者になるものが多いですね。
最後に護衛です。これは報酬が良いですが、数日から数ヶ月かかるものがあります。ただし護衛依頼はCランクからとなります。
最後に特殊な依頼についてです。
良くあるのは、指名以来と緊急以来ですね。
指名依頼はCランクから受けることが多くなります。ただ、ランクが低くても実力があったり顔見知りから来ることがあります。また報酬も相場より高いので指名依頼を受けるためにランクを上げる人もいますね。断ることもできますがギルドや依頼主から悪い印象を持たれたりするのでやめておいた方が良いですよ。
緊急依頼ですが、これは基本強制であり、参加しなかった場合には冒険者としての身分の剥奪なども有ります。ただし正当な理由があったり単純に実力が足りなかったりするとこれは適合されません。主に魔物の軍勢が来た時やAランク上位以上の魔物が来た時に出ますね。
以上で説明を終わります。何か質問は有りますか?」
特にないので首を横に振る。
「わかりました。では今から依頼を受けられますか?
最初の依頼はこちらからお勧めのものを選んでおきましたので参考に選ぶこともできます」
「じゃあ、それらを見せてもらえるか?」
「分かりました。こちらになります」
目の前に広げられた紙は三枚
一枚目、薬草の採取。門を出てすぐの森に生えている薬草を取ってきてください。1束5枚で十束。報酬銅貨五十枚
多く取ってくれば追加報酬有。5束おきに銅貨五十枚。
二枚目、解毒草の採取。門を出てすぐの森。1束5枚で十束、報酬銅貨七十枚。追加報酬は5束で銅貨七十枚。
三枚目、ゴブリンの討伐。門を出てすぐの森や街道などどこにでもいる。討伐証明は右耳。10匹で銀貨二枚。常設依頼
「一度に何個も受けてもいいのか?」
「大丈夫です。ただ依頼によっては期限があるのでそれが過ぎると基本報酬と同額を払う必要があるので注意が必要ですね。それと常設依頼は受注されなくてもいいですよ。帰ってから受注して証明部位などを提出すればいいので。あっ、依頼は対象の魔物を討伐しないといけないで、依頼主に依頼達成のサインをもらう必要があるのでわすれないでくださいね。」
なるほどな。しかしおそらくだがこの世界でもゴブリンの素材が使えないのは一緒なのだろう。だが倒さないのも問題だからこうして常設依頼として間引いているわけだ。他の魔物は素材が売れるからそれ目当てで倒すから問題ない、と
まぁ以来のことに関しては当たり前だな。Aの森の魔物を倒して欲しかったのに、Bの森魔物倒して依頼完了とはならんだろ。
そして不正をしても後で何かあった時にギルドの調査なんかが入ってバレたら何かペナルティを受けて、信頼を落とすから、ほとんどの人は真面目にやってるだろう。
そして本題の依頼だが薬草採取と解毒草採取を受けよう。アイテムボックスに取ったら入れれば良いし、ゴブリンは出会ったら倒して右耳とっておけばいいしな。これで行くか。
「薬草採取と解毒草の採取で頼む」
「分かりました。二つの見分けはつきますか?」
「いや、つかないから教えてもらえると助かる」
「ではこちらをご覧ください。読み終わったらここに返しておいてください。」
「いや、大丈夫だ。もう必要なものは覚えたから早速行ってくる。細かいところまで教えてくれてありがとう。」
受付嬢は少しキョトンとしてから満面の笑みで
「頑張ってくださいね。」と言ってくれた。
すごく可愛かった。そして周りからの視線が痛かった。
俺は逃げるように外に出た。おそらく顔は真っ赤だな。
露店で適当に買い食いをして昼過ぎに門を出る門の人は昨日の人では無かったな。流石に交代制だろう。
森は本当に出てすぐの場所にあり移動にはそんなにかからなかったが、流石に入り口部分には薬草なんかはない。あったとしてももう前の人が取ってるだろう。
俺はどんどん奥に進む。二時間ほど歩いたところで薬草と解毒草の群生地を見つけたので二十束づつ持って帰る。
今から帰ると少し早いかもしれないので魔法の練習をして帰るか。ここへ来る途中に空き地があったからそこに行ってやろう。
来た道を引き返す。草が踏み倒されているから迷わないだろう。30分ほど歩き空き地に近づいたところで、生き物の気配がする。気配を殺すことなんかできないので出来るだけ音を立てずに歩く。少しすると明らかに人の声ではない声が聞こえ出した。
空き地の中を見る。そこには沢山のゴブリンが蠢いていた。正確な数は分からないが100はあるように見える空き地の中心には周りよりかなり大柄なゴブリンが大きな声で叫んでいる。どうやら指示を出しているらしい。
どうするかな。おそらく一人で突っ込んで行っても勝てる。数の暴力とはいえ、Cランクの冒険者を簡単に凌ぎ、アビスがあるから多分勝てるさ。だけど一人で突っ込むと逃す可能性が高いし...どうするか。
ん?そういえば魔法はイメージだと言っていたな。
出来るか?まぁ失敗したらその時考えよう。
俺は集中してイメージを形にする。イメージするのは檻。炎で出来た逃げ出すことの出来ない魔法の檻。
名前が浮かぶ。これが詠唱かな?
「炎の棺」
名前を唱えると体から何かが少し抜けたような気がしたあと空き地を覆うように炎の壁ができ蓋をしてしまった。
ゴブリンたちが慌てふためいている。
さて、殲滅開始だ