初戦闘
暗転した世界の中で声が聞こえてくる。
汝、どのような武を望む。
「全ての事象に対応できる力を。」
貴方は、私にどのような防具を望むの?
「前に進む勇気を、そして前に立つための力を」
面白い子ね。そんな抽象的でなんでも有りだけど、なんでもないものを望むなんて。いいわよ。全ての魔に立ち向かっていけるようなものになりましょう。
我は、汝の願いの通りにはならぬ。それにはお前がまだ未熟だ。だがお前の力に答える武器には成れよう。
「そうか、分かった。お前たちの名は?」
淵剣アビス
誓いと力の装束
「「それが我(私)の名だ(よ)」」
「分かった。ならこれからよろしく頼むよ。二人とも」
そしてまた世界は暗転した。
「ここは、どこだろうか、って転生先のあの大陸か」
どうも崖にできた洞穴の一つのような場所に飛ばされてきたらしい。まぁ周りを見ても岩しかなくて起きた先には入口があるからあながち間違いでもあるまい。
ふと自分の体を見回すと服や靴は黒地に炎のような模様がありグローブは黒一色である。なかなかに厨二病ゴコロをくすぐるようなデザインとなっている。
体の横には、ブレスレットと紺色のローブと身の丈ほどの大剣が置いて有りどれも素人目にも分かるほどに素晴らしいと思われるものであった。
ローブを着て大剣を背負ったところで思い出す。
「俺、ブレスレットなんて貰ったか?」
不思議に思いつつも手にとってみるとどうも不思議な力を感じる。これが魔力だろうか?確かめる方法もないのでひとまず自分の中のこれに似たモヤモヤを注いでみることにした。
「フッ」
自分の中からものを押し出すようなイメージでやってみると紅というような色のモヤモヤがブレスレットを持っている手から出てきて、それらがブレスレットの中に入って言った。
「ふむ、繋がったようだな。」
「!!」
今のは...
「驚かせてしまったな。先ほどぶりだな、コウよ。実はまだ紹介していないことがあってな。その説明のためにこれを送らせてもらった。アイテムボックスとしての機能もあるから、有効に使ってくれたらいい。
さて本題だがせつめ「おい」何かね?」
「いきなりガツガツ話されてもこっちが困惑してしまうのだけど?それにいきなりぶっ込んで来たけど良いのか?」
「いきなり馴れ馴れしくなったな。
全く問題はない。それにあると便利だろう?
では説明するぞ。」
「ああ」
「この世界には魔物がいると言っていたが実は同じ属性の魔物ならテイムつまり仲間にすることができる。
それほど多くはないがな。
ただ知性を持ったりしているか実力が隔絶していればしやすいらしいが。そこは自分で決めてくれ。
次に転移場所についてだが、そこはある王国の辺境領の近くだ。そこから西に行けば町に着くからそこを目指せばいい。以上だ。ではな。」
「あっちょと...
切れてるな。まぁいいこれから行く場所は決まった。
魔物がいたら戦ってみるのも手だしいろいろ確認しながら歩いてみるか。」
幸いにもコンパスはあったため西に向かうことにした。
「道中にでも今何が出来るかを確認しておくか。」
西へと歩き続けて半日、いくつかわかった事があった。
一つ目は、アビスについて。
どうやら、この大剣は様々な力を持っているようだ。
魔力を注げば、紅くひかり切れ味が増して斬りつけたものを燃やす力と炎を打ち出す力の二つだ。
途中魔物に襲われた時に、魔力を込めずに斬った時は何も起こらず、魔力を込めた時は、斬ったところが燃え、容易く斬れた。
もう一つの力は、素振りをしてみたら目の前が火の海になるという、ちょっと笑えない事態になっていたりする。
そして一緒にあったローブだが、効果はイマイチ分からないがアイテムボックスから出すときに名前だけは分かった。
「閻魔のローブねぇ。」
どうも閻魔様の力の宿ったローブらしいのだが使い方も分からなかった。魔力を通すと一応何か反応はしているのだが。
「!!」
ドン!!
いきなり感じた危機感に驚きながらも後ろに飛ぶと元いた場所に自分の身の丈ほどもある岩が飛んできた。
「ガァァァ!!」
声の方向を見ると100メートルほど離れた場所に真っ赤に燃える熊がいた。
「こいつが魔物か」
この世界に来て動物はいたがあのような禍々しい見た目ではなかった、それで判断したようだがこの場では正解のようだ。
「グァァァ!」
熊の魔物はこちらへ走ってくる。
「いいぜ。正面からぶった斬ってやる!」
こちらも走り出す。
「オラァ!」
魔力を込めた大剣を上から振り下ろす。
熊はとっさにその太い腕で防ごうとする。しかし魔力を込めたアビスとこちらに来るときにしてもらった身体能力上昇により絶大な威力の斬撃を止めることは出来ず、真っ二つに切り落とされたのであった。
アイテムボックスに炎の熊をいれながら考える。
「こいつって、どれくらいの強さなんだ?
一応火を纏ってたから、火は効かないだろうけど簡単に斬れたし、そんな動きが速いわけでも無かったしなぁ」
そしてまた歩き出す。
「って、時間かかるし走るか。どれぐらい身体能力上がったか知りたいし。」
ダッ!ダッ!ダッ!
一歩ごとにどんどん景色が流れていく。全力で走っているわけではないがかなりの速さで走れているようだ。
「ん?あれがそうか?」
そして三時間も走った頃目の前には大きな城壁に囲まれた街が見えてきたのであった
戦闘描写って難しいですね。
というか全体的に難しい...