3.『歪み』 後編
・・・・・数分後。
教授が戻ってきた。上半身だけを歪みから出して崩れるように地面に倒れて・・・・。
「教授ッ‼」二人が焦燥して駆け寄る。
教授は頭から血を流している。傷口はそんなに深くなさそうだ。
「逃げろッ、こっちは危険だッ。お前たちだけでも逃げろッ」
「教授ッ!、何があったんですかッ?とりあえず手当てをッ‼」
「私はいいからッ!、早く逃げろッ!」
そのとき、蝙蝠の様な鳴き声が聞こえた。
山の中に蝙蝠はいるだろうが、今は日中なのでこの時間帯は蝙蝠がいることは、まずないだろう。
そうなれば、考えれることは、一つ。歪みの中だ。
み歪の中から何かが顔を出した。
そいつの目は赤く爛爛と輝いていた。そいつは蝙蝠の様な鳴き声をしていたが、蝙蝠ではなかった。
大きさは熊ぐらいだろうか。体の色はくすんだ黒でゴリラの様な姿勢で立っていた。
手には鋭く鋭利な爪が三本、これなら人間は簡単に胴体を貫かれて死んでしまうだろう。背中には棘が数本生えていた。
「教授ッ‼」
二人は教授の手を摘もうとしたが、その努力むなしく空をかき怪物は教授を鷲掴み、歪みの中に再び引きずり込んでしまった。
怪物と教授が歪みの中に消えた後、時空の歪みはまるで呼応するかのように閉じられ、景色が元に戻っていった。
「教授ッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
二人はもう一度叫んだが教授はもういない。声はむなしく響いて消えていった
どうもMr.45です。
またまた分割です。