1.襲撃
殺気が異様なほど満ち満ちている。
赤い世界の遥か遠くで閃光が瞬く。その閃光は赤い世界のごつごつした岩が転がっている大地を、腹を揺さぶる轟音と共に1㎞ほど砕き、クレーターとなった部分の表面は、熱を帯びてドロドロと溶けていていて、閃光の威力の強大さを物語っている。
もしもあの中心部に人間がいれば、一瞬で溶かされ影さえも残らないだろう。
しかし、ここには生身の人間はいることはない。
なぜならここは[精神の世界]、キリスト教で[地獄]と呼ばれる場所なのだから。
閃光が創ったクレーターの近くで複数の影が現れた。生前罪を犯し地獄に連れてこられた死者を裁く悪魔達である。
悪魔と言えば人を惑わせたり、本来死ぬべきではない人間の魂を無理矢理地獄に連れてくる悪霊を連想するのではないだろうか?。しかし、それは半分ほど間違いである。
悪魔と言っても邪悪な悪魔ばかりではない。元々地獄に住み着く悪魔や、罪を犯した人間に罰を与える事しかしない悪魔もいるのだ(神々とは敵対しているが)。
彼らは何者かに襲撃され、それに立ち向かっているようだった。敵の正体は土煙がおきて視界が悪すぎて見えない。
しかし、敵方の力と味方の力の差は互角なようで戦いは膠着状態にある。
敵方の一体が、味方の攻撃を受け倒れた。土煙が少しおさまり敵の正体が露わになる。
その容姿は、蝙蝠の様な翼と、先っぽに逆ハートを引き延ばした物がついた尻尾を持つ[悪魔]だった。
彼らは同士討ちをしていた。敵は元々『仲間』だったのだ。
敵の中には、元々地獄に住んでいた原住悪魔もいる。
彼らは、黒魔術師や召喚術師によって一時的に現世に召喚され、大きな『見返り』を求める代わりに、永遠の命や超常的な事以外なら、何でもこたえてくれる存在である。
ほとんどの原住悪魔が襲撃に参加している事から、敵方の親玉の『見返り』がとても魅力的なものなのだろう。
突如、先ほどの閃光よりも比べ物にならないほどの火力のとても細い光線が赤い大地を貫いた。
光線は地獄の悪魔達が戦っている近くの一部分を切り取り、赤い大地を二つに分かつ。
そこは地獄で[魔界]と呼ばれる場所だった。
魔界は悍ましい怪物や原住悪魔達が住む地獄で最も危険な場所である。
なぜそこを切り取っているのだろうか?。
決まっている。[魔界]を強奪することこそが敵の真の目的だからだ。
敵にとってはこの襲撃は、人間界でのある『計画』を進める為のほんの一歩でしかない。
少しずつ、だが着々と人間の世界[現世]に危機が迫っていた・・・・・。
初めまして。Mr.45です。
昔から書いてみたかった物語を、書いてみました。(本音を言えば漫画で描いてみたかったのですが・・・・・、絵があまり上達できなかったので)
いろいろごちゃごちゃ出てくる予定ですが、一応のコンセプトは[現実にあり得るかもしれないし、あり得ないかもしれない話]です。(全然あり得ない話もまじってますが)
不定期ですがこれから作品を投稿していきたいと思いますので、どうかこれからよろしくお願いします。