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枕の下に 希望の上に(6)

暗がりスタンドライト

生き残った感情を集めて

新しく作り上げる

あの手の中にある物と

焦げ付いたフライパンの裏は

似ている

擦り落とした先に

綺麗な部分がある事を

確実に

わかっているのだから




文字は誰かの声になる

知らない人間の声になる

存在しない人間が

存在しない物語を

存在している僕の頭の中で

展開していく

柔らかく踏み込んでは

針金のように鋭く

虹を好き勝手に使い

涙で同情を引いた

終わりが綺麗なら

それで良いなどと

僕は思えない




暗がりスタンドライト

正方形が宙に浮かぶ

鉛色の声と白銀の声

雲の波に押し流されて

真っ白になるなら

そこへ墨汁を垂らしたい

滲んで滲んで

どちらともつかないあの色が

数ミリ出来上がる

僕はあれを作りたい

僕はあれを

明確に掴みたい




ガラスの灰皿を

下から懐中電灯で照らせば

灰の形が

絵になって浮かぶ

多分

この世界で

一度しか見る事の無い物だ

瞬間

通り過ぎては

二度とあれを見る事は無い

それは

大まかでは間違いで

明確であれば正しい感覚だ




必要性の無い物を

探し出す方が難しい世の中は

多様化という丁度良い理由で

存在する事が許されている

背負うライアビリティーは

生きているだけで存在する

今ある世界から

僕等は

存在を間借りしている

だけかもしれない




暗がりスタンドライト

長方形が底に沈む

ベッドが

そのまま棺桶になるのか

聞こえない声と聞きたい声

ドブ川に押し止められて

真っ黒になるなら

そこへ漂白剤を垂らしたい

溶けて溶けて

何もなかったかのように

流れ始めたりするのだ

僕はあれを作りたい

明瞭なあれを

僕は作りたい




雲越しの太陽が

弱々しいのは間違いだ

元々燃えている物に

使う言葉じゃない

動物が自由である事も

人間が何かに縛られている事も

あれも間違いだ

思い込みとイメージ

経験と時間が作り上げた

虚像に過ぎない

信じ込んでいる内は本当で

何かに気がついたら嘘になる

僕等は面白い世界で

暮らしている




暗がりスタンドライト

円の中に存在する

懐かしい声と新しい声

一粒も無い感情で

白い空の場所で

出会うから

優しさなんて言葉は出ない

握って握って

どちらの手にも力が入るなら

それだけで生まれた事になる

僕はあれを作りたい

僕はあれを

鮮明に作りたい









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