見ず知らずの男のされるがままになる男
あれから待つこと3分…店主はなかなか戻ってこない。というか、さっきから呻き声みたいなのが微かに聞こえてくる。
「気味が悪いな…」
そもそも、奴隷を仲間にする事なんて出来るのだろうか。正直、不安要素しかない。
???「やっと見つけた!おーい!」
入り口の方からそんな声が聞こえたので振り返ってみると、ガッチリとした銀の鎧を纏い巨大な盾を持った男の人がこちらに走って来ている。周りに自分以外他の人はおらず、どうやら俺に呼びかけているらしいが全く誰なのか分からない。その男の人は俺の目の前まで来て尋ねてくる。
「君、紗斗矢君だよね?」
「あ、あぁ。そうだけど…」
「おぉ!よかったぁ…!突然だけど、俺の仲間にならないか??」
「…えっ?」
「んまぁ、正確に言うと俺達、なんだけど。とりあえず、こんな所にいてはダメだ!仲間も待っているから、俺について来てくれ!」
男の人はそう言うと、俺の腕を掴み強引に店の外へ連れ出し、ギルドの方へ歩き出す。
店主「…大変長らくお待たせしま…し、た?」
俺は鎧の男の人にされるがままに連れられていく。しばらく無言で引っ張られ、奴隷商からはもうかなり離れた所で急に男の人は止まった。
「いやぁ、いきなり悪かったね。俺はドシールだ、よろしくな。」
「…よろしくお願いします…?」
「そんな敬語じゃなくたって良いよ!」
「…えっと、じゃあ、よろしく。俺は紗斗矢だ。」
「あぁ。よろしくな、紗斗矢。いやぁ、実はギルドの酒場で騒ぎが治るの待ってたんだけど、少し目を離したらいつの間にかいなくなってて、焦ったよ。」
「そうだったのか…すまなかったな。」
「いや、別に謝ってもらわなくていいよ。それで、周りの冒険者から奴隷商に行ったという噂を聞いて、急いで来たってわけ。」
「でも、なんで俺なんかを?」
「それが、ギルマスの部屋での会話を丁度聞いちゃったんだよね。あれは驚いたよ。」
「そういう事か、それで俺を探してたのか。」
「そうそう、まぁ、詳しい話はまた後で。仲間ももう少し先の店で待ってるはずだから。」
悪い人では無さそうだし、とりあえず俺はドシールについて行くことにした。




