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名もなき物語  作者: 多頭龍
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牛丼屋でいいわ(牛丼でいいとは言ってない)

牛丼屋は映画館を出て左、徒歩3分とすぐ近くにある。全国展開している有名チェーン店だ。牛丼屋なら安く済むだろう。牛丼屋に入店した俺たちは1番奥の二人用テーブルの座席に座る。

亜里朱はメニューを開いたかと思うと、すぐ閉じてしまった。どうやらもう決まったらしい。

「私、この特製うな重がいいわ。」

「……」

俺はとっさに、牛丼頼めよ!と心の中で叫んだ。

俺もここで口にしてしまうほどバカではない。また痛い思いはしたくないからな。いや、でも普通は牛丼頼むでしょ?確かにうな重メニューにあるし、美味しそうだけれども!ちなみに税込2500円だ。

「お、おう。…じゃあ俺は…普通のやつでいいか

な…並で。」

俺は500円のノーマルな牛丼を選ぶ。

「あら?そんなので良いの?」

「あぁ、あまり食欲なくてな。」

「紗斗矢君にしては珍しいわね。」


注文してから3分くらい経っただろか。牛丼とうな重が同時に運ばれて来た。

「紗斗矢君、紅生姜とってくれるかしら?」

「はいよ。」

俺が渡すと、亜里朱は何故か2枚あるうちの1枚の鰻を小皿に避けてから紅生姜を乗せ始めた。

亜里朱は2回、3回とどんどん紅生姜を乗せていく。

「………量多くないか?」

「私、紅生姜にはめがないの。」

「…これくらいかしら。」

いや、多すぎだろ!気付くと最初はケースに一杯だった紅生姜が半分になっている。サラリーマンかお前は!そう俺が心の中で叫んでいると、亜里朱が鰻が1枚のった小皿をおれに差し出して来た。

「これ、あげるわ。」

「え?」

「聞こえなかったのかしら?一緒に食べましょ

う?」

「お、おう!」

せっかくなので鰻を最初に一口いただく。

「おぉ、これはなかなか美味いな。」

俺が笑顔でそういうと、

「…そう、よかったわね。」

少し照れながらもそう言った。

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