表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぺんぎん  作者: kikuna
PR
51/61

第八章 支配者01

 とても悲し夢を見ていたような気がする。

 ふと人の気配に気が付いた私は、目を瞠ってしまう。

 「金森さん?」

 「記憶、戻ったみたいだね」

 小さく微笑んだ金森を見た瞬間、例えようのない悲しみが私の中に広がる。

 「どういうことですか?」

 金森が私に向け手をかざすと、どこからともなくぺんぎんが現れる。

 「これを君に預けて、正解だった」

 「それはいったい何なんです?」

 「真実の鏡」

 そう告げた金森は、ふと空を見上げる。

 その姿が、夢の中で何度も見た青年と重なり、私は目を見開く。

 「今、真実を君へ明かそう」

 金森の姿が再び白い翼を持つ姿へと変わり、ぺんぎんから強い光が放たれ始める。



 暖かな陽だまりの下、一人の天使が果実を大事そうに一つ抱え、走って行く。

 

 「ギルバード。いったいどこにいるの?」

 「ヒラーヌ、あなたが付いておきながら、何て事です」

 のどかな空気が一変し、鋭い目をした猛獣たちが草花をざわめかせながら地を這っていく。

 「あの者たちよりも早く、ギルバードを見つけ出さねばなりませぬ」

 

 その頃、ギルバードは盗み出した数々のものを手に、雲の切れ目から梯子を垂らし、地上へと降り立とうとしていた。

 

 「ギルバード、待て」

 いち早く見つけ出したヒラーヌの手を免れ、転げ落ちるように地表へ降り立ったギルバードは、強い光を放つ。


 「これは?」


 ゆらゆらと揺れる鏡に映し出された光景に、私は戸惑う。


 それは私が恋しくて恋しくてたまらない相手。あの少年だった。


 「愚かな弟は、秘伝書を持ち出し、あらゆる力を試したのです。幻影を映し出しあなたをおびき寄せた」 

 「何の、何のためにです?」

 ヒラーヌは踵を返し、私へ背を向ける。

 「ここも、そう長くはおられぬまい」

 振り返ったヒラーヌを見て、私は思わず息を飲み込む。

 エメラルドグリーンに澄み切った瞳の片側が、黒く沈んだ色へと変わりかけていた。


 「早く、ギルバードを、テーデから取り戻せねばならぬ」


 片目を押さえたヒラーヌが苦々しい表情で、私を見る。 


 「その目は……」

 「何でもない。娘、時間がない。私を信じてくれぬか」

 瞳の奥に、青空が広がって見えた。


 半信半疑のまま、私は頷く。


 そして、ヒラーヌは大きな翼を広げ、私を抱きかかえるように、再び舞い上がったのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=615037994&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ