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魔法料理 ~異世界の料理は魔法よりも凄かった~  作者: 茜村人
第一章「アルト村編 幼少期」
4/51

第三話「決壊と懐柔」

 前回のあらすじ 

 ルルに嫌われた!!!ショック!!!!!






 分かったことがある。


 ルルは凶暴だ。


 落ち着いた感じの子だと思っていたけど違う。

 前回の潮らしさは豚どもに襲われた恐怖によるものだ。


「や!!! あっちいって!!!!! こないで!!!」

 と言いながら自分から来て殴る。


「どうしてついてくるの!!!! あっちいって!!!!」

 と俺の後ろをついてきて殴る。


「みないで!!!!」

 見てない見てない。

 構わない方が良いと判断してそっとしといたら殴られる。


 なんだこれ

 やってる事と言ってる事が全く一致しない。


 この見た目と性格の不一致感が凄いよ。

 澄んだ緑の目と明るい青い髪の毛、神様が人を癒す為に授けた子みたいなのに、遺伝子と真っ向から戦いすぎじゃね?


 まぁ三歳だしこんなもんか……。

 ユリはニコニコしながら見てるし、大人になれば見た目らしくなるのかな。

 


 まぁ大人から見れば3歳同士のじゃれ合いだもんな。


「ルルちゃんお腹空いた? お菓子作ろっか?」


 ルル達が来てから一ヶ月が経とうとしていた。

 ラルクとウィルはすっかり意気投合して、今日も星草に探索しに行ってる。

 ルルはここでお留守番。

 最初は嫌がっていたがユリがとっておきの魔法を使ってルルを懐柔した。



「おかし! たべう!!!!!」


 ルルはとっておきの魔法(おかし)に飛びついた。



 ふっ、まだまだ子供だな。

 その程度で……。

 ふっふっふ

 俺はもうたべるをちゃんと発音出来るようになった!!!!!

 ふはははははははははははははは!!!!!



「ママぼくも」



 そんな事よりもお菓子だ。母のお菓子は美味い。父よりも母の方がお菓子作りは上手なのだ。と、言うより父はお菓子を作ってる所を見たことが無い。


「はいはい、サンも手伝って」


「はぁい」

 ユリの手を握る俺。


「……」


 ルルは心底不服そうだ。


 なんだ! やんのか!!!

 ここは俺の家だ。俺がどこに居ようと問題ないだろう!

 まだ未知の部屋とかもあるけどな!!!

 父の道具部屋とかな!!


 そんなこんなで三人仲良く(仮)厨房に入る。


「じゃあ、何作ろっか?」


「くっきぃ!!!!!」

 即答のルル


「僕もくっきー」

 ……なんでだろう、ルルに睨まれた。


 多分あれだ、俺の事が気に食わないんだ。すること全て否定されるやつだこれ。



 ……うざ。



 おっとつい黒い部分が出てしまった。

 相手はまだ三歳じゃないか、大人気ないよ俺。

 もっとミーのビックハートな所を見せないと。



 ……ちょっと今度いたずらしようそうしよう。



「それじゃあ皆でクッキー作ろっか!」

 ユリはニコニコしながらクッキーを作り始めた。









 俺達が焼き上がったクッキーを食べていると出稼ぎ勢が帰ってきた。


「本当にラルクさんはお強いですね、あれだけのラビットをあっという間に片付けるなんて……」

 ラビットはあの兎の事かな?あれも凶暴なのかよ……。


「いえいえ、本当に星草は何度も行っているので」


「あれは覇気(はき)魔法ですか?それに治癒の上位魔法も使えるようで……もしかして元冒険者ですか?」


「ウィルさん、すいませんがそこはあまり聞いて欲しくない部分なので」


「あ、すいません……」


(はき魔法? ちゆ魔法?)


 俺は新しい単語を頭に焼き付けるように覚えた。


「おかえりなさいアナタ、カーリアさん」

「パパおかえりなしゃい!!!」

「おかえりなさいパパ」

 ユリとキッズが玄関までお出迎え。


「ただいま、ルルちゃんそのほっぺたについてるのはなにかなぁ?」

 ラルクはルルを怖がらせないように、優しい声色で話しかけた。


「くっきぃつくったの!!!! おいしいの!!!!!!」

「そうか、それは良かったね。」

「良くして頂いてありがとうございます、ルル、良い子にしてたかい? サン君と仲良くしたかい?」

 ウィルはお礼を言うと、ルルの前でしゃがみこみ問いかける。


「ぱぱ!!! あーん!!!」

 さっき作ったクッキーを余程気に入ったのだろう。ウィルの言葉なんて聞いていないようだ。


「ルル、ちゃんと良い子にしてたかい? サン君をいじめたりしてないだろうね?」


 お! ウィルお父さん大正解。

 もしかしてエスパー?


「うん!! してないよ!!!! パパ! あーん」


 あれぇぇ??? ルルさーーん????

 しれぇっと嘘を言い放つルルに少しだけ苛立ちを覚えるが、まぁ多分いじめるって概念がまだないのだろう。

 ちょっとだけ腹立つけどね。


「あーん、うんおいしいね! ルルが作ったのかい?」


「うん!! あとおねぇちゃんと!!!」

 おねえちゃんとはユリの事らしい。

 まだおばさんって年じゃなさそうだし、絶対子持ちには見えないしな、ほんとうちのパパ様が羨ましいぜ。


「こら、ユリさんになんて事言うんだ!……すいません。」


「いえ、私は気にしてないので大丈夫です。ルルちゃん、お父さんに喜んでもらって良かったね」

 うちのママン超ニコニコじゃん。

 めっちゃニコニコしてる。


 もしかしてあれか、女の子が欲しかったのか……。

 ……そうだったらごめんよママン、俺みたいな赤ちゃん(38)が産まれてしまって。



 …………俺みたいな子供。


 最近やたらストレスが溜まる。

 少しの事でイライラする。

 勿論表には出さないようにはしてるけど、表に出さないと思考がどうしてもネガティブな方に向いてしまう。


(俺みたいな子か……)


 その単語に引っかかりを覚えた。

 原因は勿論分かってる。


 俺が前世の記憶を引き継いだ事だ。


「……ん? どうしたのサン?」


「……なんでもない」


 どうやら知らないうちにユリのスカートを握っていたようだ。

 無意識とは怖いね。そんなつもりなかったんだけどな。


 俺が沈んだ顔をしてるのが気になったのか、ユリはこちらに向き直って俺をそっと抱きしめた。


「ふふっ、大丈夫よ、サンは私の子供だから」


 …………エスパーか……?

 いや、多分ユリは違うことを思って言ってるんだ。


 でも――――


 少し涙腺が緩みそうになった。

 ぐぅっと堪えた。



 堪えたつもりだったが涙がこぼれた。


 ……あれ?なんでだよ。

 くそっ、とまんねぇじゃねぇか!!


 涙がぼろぼろと零れ落ちた。



 あー、……あれだ。まだ泣くのを我慢する筋肉が発達しきってないんだ。うんそうだ。

 そうゆうことにしといてくれ。

 ……仕方が無いこと、なんだ。







(……俺が悪いんだよな)




 思わないようにしていることを、思ってしまった。



 本当は前世の記憶なんて引き継がなくて、何も無いサンが産まれて来るはずだったんだ。

 本当の家族じゃない。

 俺の本当の親は空爆で死んだ。

 俺は場違いな存在。


 後悔なのか罪悪感なのか分からないが、ラルクやユリに対して大きな後ろめたさがあるのは、はっきりしている。


 考えないようにしていたことを少し考えてしまった。


 ユリはそれを察知した訳ではないだろう。

 分かっている。

 でも今の俺には凄く効いた。




 気付けば俺はユリの中で泣きじゃくっていた。


「うわああぁぁぁぁあぁあぁあぁああぁぁぁあぁぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁ――――」



 ルルやウィルが唖然とする。

 そらそうだろ、俺もそっちの立場ならそうなるわ。

 ラルクやユリも戸惑っていた。


 サンは見た目は子供だが、中身は十分すぎる程成人している。

 戦争まで経験してるんだ、こっちに来てから今まで、まともに泣いたことなんて無い。

 これからも泣くつもりは毛頭無い。


 俺も知らない間に結構ストレスを溜めてたんだな。

 こんな事で泣くなんて、今思えば、こっちに来てから俺は食も文化も家族も、全て変わっていた。

 それが全てがストレスの原因なのだろう。

 慣れようと、順応しようとしてはいるが、まだしきれていない。

 心が持たなかったんだな……。


(一度決壊するとダメだな、当分泣きやまねぇわ俺)


 泣いてる俺とは別の、冷静な思考がそう結論を出した。


 ……泣きやまねぇなら泣くしかねぇか。


「ごめんなざああぁぁあぁぁぁぁぁああぁあぁぁぁあぁぁぁ――――……」








 ――――その声は枯れるまで続いた。








 次の日、俺は目が覚めた。




 どうやら泣き疲れたようで、隣にはユリとラルクが居た。

 いつも一緒に寝るのだが二人とも起きたら仕事の準備やら家事の準備をし始めるので起きたときには大概居ない。

 今日は三人ともベットにいる。


「起きたか、おはよう」

「おはよう、サン」

 ユリが優しく俺の頭を撫でてくる。


「……おはよぅ」


 俺は酔ってなどいない。だから昨日の事ははっきりと覚えている。

 恥ずかしさとか罪悪感とか入り混じっていて正直二人の顔を見るのが怖い。


「……サン、サンは私たちの息子よ」


 止めてくれ、涙腺にダイレクトアタックしないでくれ頼むから


「あぁ、俺達の自慢の息子だ」


 本当に止めてくれ。

 俺は自慢でもなければ息子でもないんだ。

 本当は息子のナリをした俺なんだ。


「……ごめんなさい」


 それが精一杯だった。

 声は震えていてこれ以上口を開くと、昨日のようになってしまう。






 沈黙が流れた。











 この沈黙は今の俺には辛い。

 無意識に体が震える。

 なんで震えてるのだろう。

 それすら分からないが、無性に怖くて俺は震えた。







 少しだけ昔の話をしよう。


 俺には両親がいる。

 俺は出来の良い息子ではなかった、幾度となく喧嘩したけど、それでも心の底から愛していた。

 そんな両親がいる。

 でも、戦争が起きて俺は両親を失った。

 その時に死のうと思った。


 けど俺は死ななかった。


 そして戦争に参加した。





 仇を討ちたかった?


 違う。


 死ぬのが怖かったんだ。



 両親が死んで、もう全部どうでもいいと思った。

 死のうと計画した。

 そして最後の最後に足が竦んだ。


 怖かった。


 死ぬのが。


 自分の手で自分を終わらせるのが。

 だから戦争に参加した。

 戦争を生きて帰れるほど、俺は強くないのも分かっていた。死ねる。

 敵国は憎かったし、一石二鳥だと思った。


 そして俺は死んだ。


 そんな俺に待ってたのは新しい家族だった。

 最初は捕虜にされたとか思っていたけど、それは置いとこう。

 この地に生を受けてユリとラルクの子供として三年が経った。


 温かかった。


 前の家族も十分温かかったが、また違う温かさ。


 幸せだった。


 前も幸せだったけど、もう手に入らない後悔の方が今は大きい。

 ユリやラルクが大切にしてくれているのも分かる。俺は三十八年も生きてきたんだ、多分ユリやラルクより年上だ。

 だから、今出来る最大の孝行ってのが何なのかわかる。


 ――ここでなら。


 ここでなら俺は前世で出来なかった事を、返しきれていない家族に対する感謝を、返せるのではと、そう考えた。


 そこでふと考えてしまった。


 俺は本当に家族でいいのか?

 俺はサンではない違う人間だ。


 今まで楽観的に行動するようにしてきた。




 この事を考えないように。




(あぁダメだな、やっぱつれぇわ今の状況)




 まだ体は震えている。

 嗚咽まで混ざってきた。

 MajiでNakiだす5秒前って程度には限界を感じている。



「……」



 ユリとラルクの顔は見えない、怖くて見ていないから今どんな表情をしているのかわからない。




「……ねぇサン」

 ゆっくりと語りかけるようにユリが喋った。


「私たちはずっとサンの隣に居るから、サンを置いてどこかへ行くことなんてないから、ずっとずっと愛してるから……ごめんね…………ごめんね……」

 風で吹いたらどこかへ消えていきそうな、そんなか細い声が、俺の耳に響いた。




 瞼から涙が溢れた。

 我慢出来ない嗚咽が口から漏れる。

 

 


 ユリも泣きながら俺を抱きしめた。

 俺を挟むようにラルクが抱きしめる。


「愛してるから、サン、サン」


 


 ――――その後もユリは愛してるとサンをずっと言い続けた。










 二人が落ち着く頃には空が赤くなっていた。







 心が少し落ち着いた。



 少しだけだけどすっきりした。

 俺はこの人達の子供じゃないけど、この人達からすれば俺はかけがえの無い息子なんだ。



 俺が出来る親孝行をしていこう。

 今はそれだけでいい。

 そう、思えた。



「ママ、パパ、ごめんなさい」



 はっきりと顔を見て言った。

 顔は涙でぐっちゃぐちゃだけどちゃんと顔を見て。



 正直二人からすればちんぷんかんぷんだろう。

 なにせ、俺がいきなり泣き出して、泣いて泣いていきなり冷静になって。



 子供ならありうるのか……?

 俺の三歳の時なんて覚えてないからわからん。


「辛いことがあったらママになんでも言ってね?サンの為なら何だってするからね」

 ん?今なんでもするって……、いや、今は冗談を言うところではないだろう。


「ママに言い難かったらパパに相談するんだぞ?」

 普段”俺”か”私”しか使わないラルクがパパと言うからちょっと驚いた。

 気を使ってくれてるのが分かる。



「パパ、ママ……」

 口篭っているとユリが優しくそっと抱きしめてくれた。

 凄く落ち着く。



 それだけで満足だった。











 今回の事件がめでたく(?)解決した事で安心したのか、俺のお腹の魔物がうなり始めた。


 現在グライド家はご飯を作っている。


 ”トントン”


 扉をノックする音が厨房に届いた。


「はーい、あ、ウィルさん、昨日は本当に心配おかけしました」


 そういえば昨日泣いたときカーリア家も居たんだっけ……すっかり忘れてた……後でちゃんと謝ろう。


「いえ、その後サン君は大丈夫でしたか?」


「ええ、もう落ち着いて今は主人と一緒にご飯を作ってます。良かったらウィルさんとルルちゃんも一緒に食べていきませんか?」


「いえいえ、私達はサン君が心配で来ただけなのでお気遣いなく、ルルもサン君大丈夫だって、良かったね、後でちゃんと謝るんだよ?」


「……うん」


 ルルもなんだかんだ言って心配してたらしい。


 謝るとは何だろう?


 その時俺とは違う魔物が唸った。

「グルルルルルルル」

 ルルのお腹から。


 厨房から良い匂いがしてたからな、魔物も姿を現すだろう。

「パパおなかすいた……」


 ぼそっと誰にも聞こえないくらい小さい声でルルが呟く


「ルルちゃんもお腹すいているようですし食べていってください。昨日のお詫びもしたいですので」

 ユリは聞き逃していなかったらしい。


「……あ、あはは、じゃあお言葉に甘えて……ありがとうございます」

 その後ルルにありがとうございますは?と小声で言ってルルもそれを復唱した。






 現在ご飯を食べてる最中だ。



「サン君ルルが何かしたようでごめんね」





 さっきからこればっかりだ。

 ウィルは原因がルルにあると思っているらしい。

 俺が悪くてルルは何一つ悪くないのに、むしろ俺のほうが謝らなければならないのに。


「んーん、るるちゃんわるくないよ、るるちゃんごめんね?」


 俺はその度に素直に謝罪した。


「……」


 たぶんこれがいけなかったんだ。

 毎回俺の謝罪にルルがだんまりを決め込むから、ウィルがこれは完全にルルが何かしたんだと勘違いしたみたいだ。


「こらルル!何かしたなら謝りなさい!」


「おじさん……るるちゃんはなにもしてないからおこってあげないで?」


「サン君は優しいな、ルルが本当にすまない」


 ここからまたスタート地点に逆戻り。

 はぁ……実際ルルは何もしてないし今回のことは俺が悪い。

 冤罪でルルを怒るのは三歳の子供に対する教育法としては良くない。

 なんとかこのループを脱したい。


 ……どうすれば。




 ……ん?ルルが三歳って事は俺もまだ三歳なんだよな?





 まだ十分幼いよな?







 ………………捕まらないよな?





 ……よし。





 ルルを見る。

 俺の方は一切向かず横を向いている。

 俺はルルの前まで、とてとて近寄った。


「るるちゃん」


「……なに」

 無愛想にこっちを向いた。





 俺はルルにキスをした。




「……っ!?!?」

 思いっきり突き飛ばされた。

「なに!」


「なかなおりのちゅう、パパとママがけんかしたらこれでなかなおりしてるの、ぼくもるるちゃんとなかなおりしよ?」

 なるべく子供らしく拙い感じで喋った。


「……いや!!!」


「るるちゃん、ぼくのこときらい?」


「き、きらい!!!!!」


「ぼく、るるちゃんのことだいすきだよ……」



 両手で口を覆うユリと、唖然とするファザーズ。



「……いみわかんない!!」


「……うぇっ……きらい?」

 最近覚えたスキル『半泣き』の名演技を発動。


「……きらい」


「……うっ……うっ……」



 少しだけ沈黙が流れた。

 ルルがスキルに押され始めた。


 よし。


 ルルが落ち着いた頃を見計らって最後の一押し。


「……ごめんね?」

 慎重に怒らせないように少し涙目で……。



「……うん……るるこそごめん」


 なんとか通用したみたいだ。



「じゃあなかなおりのちゅうしよう?」


「……うん」


 そう言ってもう一度キスをした。


 多分ルルは何に謝ってるのか分かってないだろう。

 実際謝る事なんて無い訳だし。




 俺の目的はウィルの無限ループを止めさせる事、止めさせれば俺の勝ちだ。


 多分これで勝っただろう。



 親たちの方を見る。



「アナタ……サンの将来が心配です。女ったらしになりそうで凄く不安です……」

 と、おどおどするユリ。

「ラルクサン、ムスメヲヨロシクオネガイシマス」

 状況を把握しきれずラルクの胸ぐらを掴みながら、ロボットみたいな発音をするウィル。

「ちょっとウィルさん落ち着いて!!まだ三歳なんですから!ユリも!サンなら大丈夫だ!さっきずっと見守るって二人で話し合ったじゃないか!」

 ラルクは二人を止めるのに必死だ。



 凄いな……修羅場ってるな……。

 ラルクだけが正常だけど残りは完全にショートしているみたいだ。

 頑張れパパ様ー。


 俺は心無い声援を目で送りながら、親達の風景を無かったかのようにルルを見る。

「……これ、すき」

 キスをされた。


 どうやらルルはキスを気に入ったようだ。



 まぁ子供のお遊びの延長線だ。

 物心がつけばきっちり忘れるさ。

 俺は何度目かわからないキスをルルとしていた。


 少し落ち着いてこちらを見たら、めっちゃキスしてるから親がまたパニック。

 主にウィルとユリが。

 ラルクだけちゃんと子供の遊びと判断できてるようだ。

 やっぱり年長者は違うね。











「本当に息子が申し訳ない」

「いえ、私の方も取り乱してしまい、すいませんでした」


 なんとか騒動も治まってお見送りの時間、ユリは欠席だ。

 あの後、ユリがあわあわと目を回して倒れたのだ。


「ばいばいまたね!」

「またあそぼうね」

 そう言ってキスをする3歳ズ。


「ルル!いいかい!それはね!むやみやたらにしちゃ駄目だよ!パパとサン君だけにしなさい。いいね!」

「ん!わあった!」

 本当はパパだけにしなさいって言いたいんだろうな、でも俺とキスしてしまった以上言いずらいんだろうな。

 ごめんよウィルさん……。




 それからルルの態度が変わった。温厚になった。俺に。

 ただ凄いキスされる。



(本当に物心ついたら治るよな……?)



 少し不安になってくる位キスされる。

 キスしたいが為にわざと喧嘩しようともしてきた。

 本当に大丈夫かこれ……?

 まぁウィルと俺だけにしかしていないようだし。


(大きくなってもウィルさんとお……れ……)


 おっとぉ?これはいけないぞぉ??????????

 ウィルだけはまだいい。

 だが大きくなっても俺とは駄目な気がする。

 うん駄目だ。


 もし、本当にもし仮にルルとそうゆう関係になればワンチャンあるけど、未来は無限大だ。

 そうなるとは誰も決められない。


 うーん、どうやって止めさせるか……。


 そんな事を考えている矢先事件が起きた。











 ユリが妊娠した。

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