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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第2章 妖精郷の脳筋(?)妖精
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恋妖精、答える

「まったく、仕方ないッスね。」


ウチはもう1人の自分に対してやれやれと呆れながら、体の主導権を戻された。


アスタロスはウチの黒い感情が擬人化したようなもんッスから、基本相対する相手は敵対者なんスよね。だからなのか、コミュニケーションを取るのがヘタなんスよねぇ。基本相手を殺すか壊すかしかしてないッスから。ウチと陛下ぐらいしかアスタロスはまともに喋れないんじゃないッスかね?

せっかく黒金君に「こういう風に人間を憎む存在もいるんスよー」と教えるため、わざと誘き出したのに、こうもあっさり引っ込まれたら世の中の暗い話を教えきれないじゃないッスか。

いや、まぁ、ウチの想定外なことを黒金君もしてきたから、アスタロスが逃げ出しちゃうのも仕方ないッスかね。


「えっと、あの、ロクサーヌさん?」


「そうッスよ。陽気で明るく、ちょっとエロくておバカなロクサーヌさんッスよ。」


「え、あー、その、それは……」


「あぁ、いいッスよ、いいッスよ。そう見えるように振る舞ってるッスし、ウチは基本そういうキャラ?人格?まぁ、そんな感じなんスよ。」


ちょっとからかうだけで慌てる辺り、なかなか可愛いもんッスね。弟がいたらこんな感じだったんスかね?

それとも、年齢には特に気にしないとはいえ、まだ子供といえる少年少女を好む一部の妖精(ひと)の持つ恋愛感情とかこんな感じなんスかね?黒金君が少年少女なのかは置いておいて。

ま、いいッス。今はそういう話じゃないッスし。


「えっと、何ッスけ?ウチが花妖精(ドリアード)とのハーフか?って質問ッスよね?その通りッスよ。ウチは半恋妖精(ハーフサキュバス)みたいなもんッスよ。まぁ、正しくは、妖精族は両親のどちらかの種になり、たまにもう片方の力を受け継ぐことがある程度なんで、ほぼほぼウチは恋妖精(サキュバス)ッスけどね。」


加えて言えば、女性しかいない種だからなのか、恋妖精(サキュバス)が母親なら十中八九娘は恋妖精(サキュバス)になるんスけど、まぁその辺は今はいらない話ッスし、別にいいッスよね。


「なるほど。ところで…」


「あー、次聞きたいことは何となくわかるッスから、その前にウチの質問に答えて欲しいッス。よくハーフってだけじゃなく、花妖精(ドリアード)まで当てれたッスね。なんでわかったッスか?陛下に聞いたッスか?あ、でもそれならわざわざウチに確認するまでもなくわかるッスよね?」


黒金君の質問を後回しにして、先にウチの疑問を尋ねると、黒金君は、あぁそれは、と眼帯を直しつつ答えてくれた。


「まず特殊性を考えると、異なる種同士のハーフか先祖返り、あるいは突然変異辺りがベタですけどあるかな?と考えて、その視点の元、ロクサーヌさんの言動を注意していると、やけにその場にはない木の葉や蔦を突然出して攻撃や防御に使う魔術が多く、逆にそれらに引火させて牽制や攻撃に転じられるはずの炎の魔法は一切使わないことに気付いたんですよ。

土や水、風も軽くですが扱っているなか、火だけ使わないことは違和感がありましたからね。

そこから火に対してトラウマがあるか、あるいは火の魔導の才がないのか、を想定して、お世話になっている間、火を使うことに躊躇いはないようでしたから、トラウマ系でない。つまり火の魔導の才がないと判断して、その才がないとしたら、で絞りこんだ感じですね。

加えて、視覚を惑わし、脳を騙す幻術に香りを入れるとすれば、そういったことができる妖精の可能性も考えて、妖精王立図書館で調べた結果、花妖精(ドリアード)の可能性に辿り着きました。

だからあとは答え合わせとして尋ねるため、後をつけていました。」


彼の推理の説明にウチは賞賛する他無かったッスね。

確かにウチはパパの血の影響で炎の魔導だけは発動させようとしても何も起きないぐらいには才能がないッスし、あったとしても黒金君の推理にあるように多分パパとママのことを思い出してしまって使えないか、あるいは制御できないぐらい暴れさせかねないと思うッスね。人を、国を、世界を焼き滅ぼすぐらいに。

何っしたっけねぇ。陛下が話されていた違う世界の神話には炎で世界樹という大木を焼き払い世界を終焉に導く巨人がいるそうで、間違いなくウチが火を使えたならそれみたいなことやっていたッスねぇ。やりきれるかどうかは別ッスけど。


とはいえ、使えないものをあれやこれや言ってもどうしようもないッスし、話を戻すッス。

黒金君はそこまで頭が回るのに、わざと尾行させて誘導されていたことには気づけていない辺り、まだまだッスねぇ。


「なるほど。よく気付いて、よく当たりをつけれたもんッスね。

それじゃ、次は黒金君の番ッスね。さっきのは何だった、いや、誰だったか、が質問ッスか?」


「え、あ、はい!?いや、わかりやすい態度だったとは自分でも思いましたけど、そこまでストレートに尋ねていいんですか?」


「んー。一応国家機密とまではいかなくとも、ウチの事情は大人世代、特に軍の人達は知ってるッスけど、その結果を知っているのは陛下や宰相樣、あとは近衛騎士団長とか王城メイド長とかみたいな各部門のトップぐらいッスからねぇ。他国でいうとこの国王直属の暗部みたいな存在なんで言っていいもんかはわかんないッスけど、黒金君のお師匠様としては最後の詰めとして教えておくべきッスかね?」


「いや、なんかそんなヤバそうなのをノリと言いますか、勢いと言いますか、そんなんで教えて欲しくないですよ!?」


うーむ。黒金君に前もって軽く説明したら拒否られたッス。

何も知ったところで死ぬがよい、ってわけじゃないッスから遠慮なんてしなくていいと思うんスけどねぇ。

あ、そうか。わかったッスよ。

言っていいかわからなくなったら、上の判断を仰ぐ。ここ200年で学んだことッスね、これは。


「じゃ、明日陛下のとこ一緒に行くッスよ。そこで話していいか聞けば解決ッスよね?」


「僕が知らないことにするって選択肢はないんですか!?」


いやー、人間や天使教を憎む存在というわかりやすい標本でもあるアスタロスをちゃんと見せないのは流石にもったいないッスからねぇ。

きっと陛下ならわかってもらえるッスよね。

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