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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第2章 妖精郷の脳筋(?)妖精
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錬金術師、誤認に気付く

あのあと、夜も遅いしいろいろとやるのは寝てからにしよう、ということになり、夜が明けた翌日。


僕と紺さんはこの駐屯所の訓練場に来ていた。

魔導を学ぶのは僕だけの予定だったのだが、紺さんも僕の考えに共感し、また今まで【紅狐】の力を残すために避けてきていた【蒼狐】の力に向き合うために鍛練をすることにしたのだった。


「おぉ!!ちゃんと時間通りに来てるッスね。それだけでもう合格点あげたくなるッスよ。うちのあの4バカ妖精達は日頃の集合には下手したらこないとかよくあるッスからねぇ。いやー、うちの種族の自由奔放で気まぐれさにはほとほと軍としては厄介ッスねー。」


教官役となってもらうロクサーヌ・アスタロスさんはアッハッハと笑いながら迎えてくださった。

にしても、相変わらず紐みたいな衣装を纏い、クーパー靭帯が心配になるほどたゆんたゆん揺れるその豊満で男のロマンたる女体の神秘はとても目に毒である。もっと見たい。


「とりあえず私まで急に参加するというのに対応していただきありがとうございます。

ですが、その揺れる胸をもう少し抑えてください。剣太さんの目に毒です。そういうのは私で間に合ってます。」


「む。そんなに揺れてるッスか?わりとこれでも抑えてるんスけどねぇ。これ以上抑えると息が詰まるというか、動きに支障が出かねないッスけど……」


「あ、そうでしたか。それは仕方がありませんね。私もさらしで固定していますが、息苦しさが少しありますのでとてもわかります。」


「おお!!わかってもらえたのは初めてッス!!恋妖精なんで胸は大きいのは別に普通なんスけど、ウチはその中でも特に大きい106cmもあるもんなんで、他の軍勤めの妖精達から同意もあまりされないんスよ。」


「わかります。私も96cmありまして、それより大きいと言ったら母様ぐらい、私の下の大きさとなると85cmからですので、部下達に相談しようにもどうしようもなかった経験があります。」


最初はおっぱいに見蕩れていた僕に悪影響と怒っていたが、巨乳、いや爆乳同士で悩みが共通したらしく、突然意気投合され始めた……

その、正直女性同士の明け透けとした内容の話は聞いていると恥ずかしいというか、こそばゆい感じがするけど、同時にもっと聞きたい感情があるのは否めない!!

というか、あの双丘×2、いや4は合わせて200レベル………某アイドルゲームの牛系アイドルさんと元ヤン系アイドルさんみたいな大きさ………現実、すごい……!!


「剣太さん。その、えっちぃ目でそんなに見られると、なんといいますか、慣れていても恥ずかしいです、流石に。」


「ウチもなんというか、男の子だから仕方ないとはいえ、あんまりそういう視線は好きじゃないんで、もう少しだけ自重して欲しいッス。」


「あ、いや、その。すみません。」


思わず耳を傾け凝視してしまっていたら女性陣から怒られてしまった。全面的に僕が悪いですが、もう少しお2人も警戒心といいますか、風紀を守っていただけたら幸いです。


「それじゃ、始めるッスよ。まずはそうッスね…ウチの得意な魔術をその身で感じてもらうッスよ。」


「えっ!?座学とかじゃなくて、いきなり実戦ですか!?」


「大丈夫ッス。今回は攻撃するつもりは全くない、ただ騙すだけの幻術ッスよ。」


その言葉を聞いているうちに、ロクサーヌ・アスタロスさんの姿は溶けるように消え、青空見える訓練所の敷地だったはずのこの場所は金と赤で彩られた劇場のような場所になっていた。


「紺さん!!」


「えぇ……森の中のような視界の悪さと環境から来る疲労に漬け込む幻術ではなく、目の前でまさに幻術とわかっている状態なのに、幻術だと思えないです………とんでもない力量ですよ、剣太さん。」


「はっはっはー。そんなに誉められると照れるッスね。それじゃ、これはおまけッスよ。」


前から、いや、後ろから……否、前後だけでなく左右上下、むしろ全方位から声をかけられたかと思うと、パチンという音と共に目の前には机と豪華絢爛な御馳走が並び、幻術のはずなのに、まるで本物のようなものすごく美味しそうな匂いがする。

それは本来あり得ないことなのだ。幻術というのは視覚情報を誤魔化すだけであるため、他の五感を欺くことはできないはずなのだ。だから、迷いの森や妖狐の里のように迷わせるための機能のして使われることがほとんどなのだ。


「ロクサーヌさん、貴女は一体、何者なのですか……?」


故郷の防衛機能がわかっており、僕以上に幻術に関して経験がある紺さんは驚愕でひきつった声で尋ねる。

正直、僕も彼女との出会い方のせいもあって、舐めていた部分があったと言える。森1つを覆う大幻術の結界を貼っているのを理解していたはずなのに。


「ウチはちょっとだけ特殊な恋妖精(サキュバス)なんスよ。」


彼女のどこか誇らしげな声に僕達はただただ呆然とするしかなかった。

ロクサーヌ・アスタロスさん、やっぱりタダ者ではないんじゃないかな、これは。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


本当にタダ者じゃなかった。


「ふー、ふー…」


「やー、流石狐の里で警備隊長をやっていたと言うだけあって、それに恥じない高い実力ッスね。並の妖狐とは比べ物にならないぐらいの実力は有りそうッスし、帝国の冒険者と言う名の自然環境破壊者なんて話にならないぐらい強いッスね。

その義手、使いこなせるようになったら、きっとウチは負けてたッスねぇ。黒金君、凄いもんを作っているもんッスね。」


パイルバンカーのように撃ち込むことができる手甲の義手を装備した状態で戦うことに慣れるために紺さんは組手をしてもらっていたが、膝をつきボロボロになりながら息が上がっていた。


対してロクサーヌ・アスタロスさんは汗こそ出ているようだが、息切れもなく、何発か殴られたはずなのにダメージを受けていないかのように立っていた。

にしても、なんかエロい。爆乳なスポーツ選手のような、健全なエロさというか、健康美なエロさというか、とにかく語彙力が変になるぐらいにエロい。


「ほめ、られるのは…はっ…嬉しいですが、よ、妖精とは思えない、はぁ……この戦闘能力の高さは……?」


「どーどー。激しく運動したッスから、喋るのもきついと思うッスから、まずは息を落ち着けるッスよ。」


朗らかに笑いながら紺さんの指導をするロクサーヌ・アスタロスさんに紺さんは驚く他なかった。


妖精族は高い魔力から魔法や魔術による攻撃がメインとなるので、体術となると魔導戦士というべき妖狐族や人狼族に大きく劣るのである。妖精(ひと)によっては人間にさえ劣るぐらいに体術戦闘は苦手なはずである。

しかし、目の前の光景は魔導なしで純粋な装備有りな体術のみの戦闘での結果である。


揺れる乳や尻に目が行ったのは仕方がないとしても、その相対は凄かった。蹴りを主体としたロクサーヌ・アスタロスさんと義手の大きさの都合拳が主体となる紺さんとのぶつかり合いはまさに異種格闘技戦。

紺さんの一撃はロクサーヌ・アスタロスさんにいいダメージを入れられる程度には強いはずなのだが、当の本人には特に堪えてないだけのようであり、まるで攻撃が当たっていないようだった。

対して、ロクサーヌ・アスタロスさんの戦闘スタイルはムエタイやキックボクシングのような蹴り技を主体としつつも、合気道のように相手の力を受け流したり利用したりしたような動きで紺さんを翻弄し、まるで踊っているかのようだった。


「にしても、その義手、本当にヤバいッスね。今のまだ慣れていない状態だから、ギリギリ打ち込まれても衝撃の受け流しが間に合うものの、多分慣れ始めたら流しきれる自信がないッスね。

しかも、戦いながら戦い方を微調整していくとか、普通ならできることじゃないッスし、微調整してもそれができるようになるのは1ヶ月はかかるだろうにすぐできるようになっちゃうし、やっぱり体術が主体となる妖狐族の中でもトップクラスな実力者ッスねぇ。」


「う、受け流す、ですか……?」


息の切れている紺さんに即席のスポーツドリンクを渡して飲ませつつ、僕は聞いてみる。


「そうッス。ある程度のダメージなら肉体に衝撃を受けてもその作用力を留めずに……あー、衝撃を流しちゃえばいけるもんッスからね。」


「え、今、なんか凄く物理学的なこと言おうとしてましたよね?」


「物理学ッスか?ウチは幻術が飛び抜けてて、生きるために武術を修めてるだけなんで、そんな難しい学問はわからないッスねー。」


明らかに嘘を言われた。

だが、これ以上は何を言っても取り合ってもらえ無さそうだし、今は聞かないでおこう。


ただ、もしかしたら初対面からのやり取りで僕は彼女に先入観を持ってしまっていたかもしれない。

彼女は恐らくかなりの知恵者だ。

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