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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
プロローグ いざ、異世界に
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錬金術師、作品の点検をする


彼女から渡された琥珀色の槍の銘は「詠唱の槍」。

僕が高町なずなさんに頼まれて、2週間前に完成させた今のところ唯一表にある作品だ。


唯一、というのも一応異能の練習として色々と作ったものは多数あり、それらは人に知られないよう魔法と魔術を駆使して作った収納空間にいれているから、表にあるのはこれだけなのである。

何故人に知られたくないかというと、もとの世界に伝わる聖剣や魔剣をイメージして作り、そしてその通りにできてしまい、結果的にオーバーテクノロジーの兵器と言って過言ではないレベルになってしまったからだ。

その破壊兵器具合は、1振りで1国は無理でも1軍ぐらいは薙ぎ倒せるほどなので、自主封印している。言うなれば、核兵器に近いものだ。

そりゃ封印もする。

ちなみに製作場所も収納空間を応用して亜空間に作れてしまった。

流石生産チート。



さて、この世界には魔法・魔術があり、そしてそれらはやはり言葉を媒介にする呪文を詠唱して発動させる。

また魔法というのは触媒を通じて行うと、より魔力の消費を抑え、より強力になるという。

もとの世界でわかりやすい例えをするなら、化学反応に触媒を用いると反応しやすくなる、といったところか。


そういうわけでこっちの世界でも、もとの世界でのイメージ通り、魔法使いは杖を持って戦う、典型的な後衛役職なのだ。

ちなみに魔術師は杖などが必要ないらしい。なんでも魔法は法則や理に従ったものを、より強化するため、触媒を用いるとそれがより効率がよくなるが、

魔術は法則に逆らった現象を引き起こすため、普通に強大な力が働き、触媒を必要としないらしい。


しかし、魔法にせよ、魔術にせよ、呪文詠唱時には隙が生じる。

達人レベルの魔法使いでも生じるのだ。初心者に近い僕たちの場合、より隙が生じるに決まっている。

一応、魔導を使うレベルが高ければ詠唱省略などできるらしいが、威力の低下などは起こるそうだ。


そんなわけで、戦闘に悩んでいた高町なずなさんは、僕が生産職だったことを思い出し、訓練が始まった1週間後に依頼してきたのである。

僕自身、最初は渋ったのだが、高嶺の花である彼女の頼み、そして決して戦えないからということで見下していない態度から、

「僕が作ったことを秘匿する」

という条件で制作したのである。


槍となったのは彼女が、

「一誠君と清隆君だけを前に出すのは心配だから、前衛も後衛もこなしたい」

と要望したからである。



話は長くなったが、それ以来、訓練後、彼女は何かと点検を依頼しに来る。

こちらとしてもアフターサービスとして不具合がないか点検しているので、問題ないが、やはりトップカーストの美少女に贔屓にされている『役立たず』故に嫉妬は受けている。幸いなのは、この槍が僕の作品であることを彼女が隠してくれているおかげで「それぐらいしか才能ないし」と同情で見てくれる人もいるため、嫉妬してくる人は少ない。


「(壊れないのをイメージしたから当然だけど)特に欠けているとか損傷はないみたいですよ。」

「そっか。よかったよかった。今日も結構な数のモンスターと戦ったからね。

最初のうちは命を奪うことに抵抗はあったけど、やらないと死んじゃうし、そうなると自分の実力が大切だからね。

だから、安全のために武器を作ってくれてありがとう」


点検を終え、彼女に伝えると実に嬉しそうな爽やかな笑みを浮かべてお礼を言ってきた。

恐らく世間一般の男子なら「自分に気がある」と勘違いしかねないほど優しく、いい笑顔だ。

だが、僕は勘違いしない。彼女は優しいだけで、僕とは違う世界の住人なわけだし、そんなことはありえないからだ。身の程は弁えている。

とはいえ、美少女にお礼を言われて嬉しくないわけではないので、素直に喜び受け入れるけど。


こうして、点検した後はどういう訓練をしているのかなどの世間話をし、彼女とは別れた。



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