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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第2章 妖精郷の脳筋(?)妖精
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錬金術師、謝られる


そんなこんなでこっちの世界にある詰所の応接間に連れてこられた僕達は改めて挨拶をすることにした。


余談だけど、この詰所がまたすごい。

一見穴だらけで向こう側が見えるほどの廃屋なのだが、扉を開けるとしっかり清掃の行き届いた上、広い運動場まであるところだった。

これには流石に目を疑ったが、先程来た3人の妖精達曰く「大隊長が廃屋の幻術と妖精郷の一部分を人間界に現界させることで小さな土地でも十分な場所を確保できるのです。大隊長がいなかったらここまで厳重な警備はできないですね。」とのこと。

大隊長っていうのはあの恋妖精(サキュバス)さんなわけだから、かなりすごい妖精だってことが発覚し始めた。

ただそのあと、頭が残念とか胸に栄養が行ってしまってとか散々なことを言われていた辺り、残念な妖精であることも確定した。

バカと天才は紙一重と言うやつなのかな?歪な秀才タイプの前田と努力家の天才である球磨川という頭いいのにバカな2人と親友だからこそわかってしまうものである。


「えっとじゃ、改めて。

ウチはこの詰所で大隊長をやってるロクサーヌ・アスタロスって言うッス。一応貴族ッスけど、まぁ、平民上がりなんで大したもんじゃないッスね。」

「ソル・スターミルクです。この人の部下で一応小部隊長兼副長ですね。」

「スタールド・ルビーです。私も小部隊長で、一応参謀ってところですかね?」

「ルナティ「「栗です」」カ、誰が栗だ、あんた達‼ごほん、ルナティカ・チャイルドです。私も小部隊長でついでに事務処理担当ですね。」


軽く漫才を挟まれつつ自己紹介されたのでこちらも答える。


「僕は黒金剣太。一応剣士、かな?」

「私は平塚紺。見ての通りの妖狐の者です。」

『ボクは白鬼院小梅。親しみを込めて小梅ちゃんと呼ぶといいよ。』


少しばかり情報を伏せつつ相手の出方を伺うと、向こうは特に気にした様子もなく紙に名前を書いていた。

どうやら入国審査の書類みたいだ。


「それでお二方、いや、3人ですかね?どのような目的でこちらに?」


ルナティカ・チャイルドさんの問い掛けに少し頭を悩ませる。

素直にコルド・ティターニアさんに会いに来たと言っていいものか。見ず知らずの人間がいきなり王女に会いたいとか言ったら、確実に投獄か処断されそうなんだけど。


(剣太さん、ここは素直に私の身分を使うべきでは?恐らくお相手方もそれで納得してくださるのでは?)


念話能力無き者にも念話できる【翠狐】の力で僕に紺さんは提案する。

それは確かに楽だけれども、場合によっては外交問題になりかねない。何せ妖精達の防御機構を壊してしまったわけだし。そこに妖狐の里の族長の娘が関わっているとか不味いよね?

というか失敗したなぁ。もう少し丁寧に対処するべきだったかな?


(いや、場合によっては外交問題になりかねないから、言わない方がいいと思う。かといって素直に女王様に会いに来たとは言えないかなぁ・・・・)

(悩んでるとこ悪いけど、この状況、私ならなんとかできるよ)


サラッと念話に混ざってきた小梅さんは刀から声を出した。


『この二人の目的は私の、というか私らのリーダーの知り合いに会いに行くことだよ。』

「小梅さん!?」


言っていることは間違っていないが、遠回しに女王に会いに来た、と正体を知っていれば言っているようなことを発言する。


「ほへー、スター、凄いよ、ちゃんと会話できてるよ。」

「インテリジェンスソードの知り合いともなればだいぶ限られそうですが、さて、誰かいますかね、私達妖精郷の中に?」

「んー、私達が知る限り妖精郷とインテリジェンスソードに縁があるなんて聞いたことないわよね?」


3妖精のリアクションからして、どうやら彼女らの女王様が関わっているとは思っていないみたいだ。

加えて後ろでコルド・ティターニアさんという解答に近いはずのロクサーヌ・アスタロスさんも何故か首を傾げている。


とそこに勢いよく扉が開いて1人の妖精が駆け込んできた。


「あ、ローリエ。どうしたの、そんなに大急ぎできて?女王陛下のところからそんなに慌ててきたの?」

「どーしたもこーしたも…ゼェゼェ……無いですよ‼

なんか急に女王陛下が視察に行くからって言ってきたから慌てて伝令に戻ってきたのよ。」

「はぁ!?なんであの多忙な女王陛下がこの最前線に来るのよ!?」


やり取りからするにコルド・ティターニアさんが急にこっちに来るそうだ。

え?何?もしかして僕達の目的を彼女は知っているのか?


「うーん。やっぱりインテリジェンスソードとなると女王陛下しかいないッスよねぇ」

「はっ!?大隊長何言ってるんですか!?」

「え、何!?このインテリジェンスソードさん、女王陛下のお知り合いなの!?」

「やー、どう考えてもそうなるんスよねぇ。なにせ前に女王様から話を聞いたッスし。」

「はぁ!?」


そして、うんうん唸っていたロクサーヌさんが呟いたことでさらに蜂の巣をつついたような騒ぎへと発展する。

なんというか、本当にタイミング悪く発言したなぁ、うん。


「って、場合によっては国際問題じゃないですか!?私ら、女王陛下の知り合いに危害与えかけたってわけですよ!?」

「くっ。アホ(大隊長)より先にバカ(ソル)が気付いてしまいましたか。」

「大丈夫大丈夫。下の責任は上の責任、上の責任は上の責任だから私達は大丈夫よ。」

「サラッと貶す上にウチに責任おっかぶせてきたッスよ、この部下達!?」

「あー、とりあえず謝っておくのはどうですかね?」

『いやいや、そんな。ボクたちのことを知らずにちゃんと仕事をしていたわけだし、しっかり女王様に伝えておくよ。職務を全うしている素晴らしい兵士だって。やったね、昇進できるかもよ?』

「「「「うわぁぉぁ!!勘弁してください、私達が悪かったですからぁ!!」」」」


後から来た妖精さんと3妖精が刀に向かって、体勢的には僕に土下座してくる。

もう、本当にうちの刀がご迷惑をおかけしている気しかしない。

けど、なんでまたこんなに嫌がっているんだろう?


(なんと言いますか、妖精の本質を的確に突きますね、小梅さん。)

(どういうこと、紺さん?)

(おかしいと思いませんか?王家の嫁であるコルド・ティターニア様が権力を行使できる立場に誰も反感を抱いていないのは?)

(それは彼女が善政を施政しているからじゃないの?)

(結果的にはそうですが、その立場に普通は王妃とはいえ、なれるものではないでしょう。ましてや平民上がりの妃がですよ?)


言われてみれば確かに。いくら王の妻だからとはいえ、国政を担う立場に王家に入ってきた人がなるのはどこかで問題が生じるはずだ。

だというのに、妖精さん達の態度からしてコルド・ティターニアさんはかなり全幅の信頼を置かれている。


(答えは単純なことなんですよ。妖精は自由奔放なので、縛られたくないんです。)

(あー、立場が上に上がればそれだけ自由も制限されて、それが辛いってこと?)

(そうです。そして、結果、上に立つのは権力者を楽しめる妖精だけなんです。コルド・ティターニア様は国をよくするために国政を担うのが楽しくて仕方がない方なようですよ。)

(なんというか暴君になりかねない理由だなぁ、それは。よく今まで反乱とかなかったよ、王家に対して。)

(確か昔、榛名様から聞いた話だと、妖精の政治家は権力を通して他者に利益を与えながら、裏で自分に益を受けるような黒幕ムーブが好きだということを聞いたことがあります。)

(なにその絵に描いたような理想の政治家。)

(その代わり権謀術数渦巻く魔境で、胃と髪の毛に優しくはないみたいですよ、妖精の政治。何せ自由を阻害すれば王家であろうとボッコボコに文句言われるそうですし。)

(それは確かに権力闘争を楽しめなきゃ無理だね、うん。)


図らずとも妖精郷の政治を知り、これからそのどす黒い沼のなかに外交で入らなくてはならなくなったと思うと少し気が遠くなってしまった。


あといい加減そろそろ土下座とからかいをやめませんか、妖精さん方に小梅さん?


「何やら面白そうなことになっていますねぇ」


このどうしたものかという状態に、新しい声が入ってきた。

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