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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第2章 妖精郷の脳筋(?)妖精
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錬金術師、祓う


結論からいうと紺さんが言ったことは事実だった。

特徴的な木に切り傷をつけてから暫く歩くとその木のところに戻ってきていてしまった。


「私達の里と同じような感じですかね?私達の場合、竹林だけでは視界がいいので霧を使っていますが、ここの場合あらゆる木々があり、太陽光も隠れて薄暗いため視界が悪いですからね。

視界を奪えばあとは楽に感覚を惑わすことをすればいいですからね。」


流石はあの防御機構を使っている種族の警備隊のボスをしていただけあってこの状態の仕組みは詳しい。

とはいえ、打開策が思い付かないのはきつい。妖狐族のところでは平塚紅さん(インチキ)で突破できたけど、ここはどうしようもない。

そもそも500年前には存在していなかった防御機構なわけだし。

うーん。入っても奥に進めず迷うから迷宮ってわけか。


「剣太さんの眼ではダメなんですか?カガチヒュドラの。」

「あー、うん。一応試してみるけど、多分効果ないと思うよ。

妖狐の里の霧も、魔力でできてるってわかるだけで、正しい地形が見える訳じゃなかったし、むしろ魔力が濃く見えて逆にわからなくなってたかな。」


そう言いつつ眼帯を外すと、予想通り濃い魔力が覆い被さっているのがわかるだけで、地形ははっきりと見えなかった。

が、妖狐の里との違いには気付けた。


「紺さん、わりとどうにかできるかもしれないですよ。」

「それは何か見えたってことでいいんですか?」

「そんなところですね。」


僕は魂魄用無を構えてかつての勇者の1人の力を借りる。


「役職解放 祓い人【厄神】和田門司」


リーゼントの昔気質(むかしかたぎ)な番長系で、誰よりも矢によって行った行為を悔やむ先輩、それが和田門司さんだ。

彼の役職【厄神】はいわゆる亜神系統であり、だからこそなのか天使達もわりと彼を丁重に扱い、鍛練(飼育)していた。

能力は「魔を祓い、穢れを禊ぎ祓いする」というまさに神職である。


妖狐のは自然発生している霧に常に自分達がだす魔力の霧を混ぜ、そこに感覚を狂わせる幻術を投影するタイプだった。

しかし、この森は幻術を継ぎ接ぎにくっつけているタイプだ。もとある森の風景に道を隠す幻術、日光を遮る幻術、道を迷わせる幻術、その他もろもろがバラバラに組み合わせられている。

この方法なら魔力の消費量も少なく広範囲に設定できるので楽な反面、継ぎ接ぎ部分を壊されると一気に崩壊しやすい欠点を持っている結構脆い防御機構である。もっとも、カガチヒュドラの目があったからこそ、繋ぎ目に気付けたぐらい小さなほつれだったんだけど。


「大穢土祓い‼」


継ぎ接ぎ部分を壊すために、刀を(ぬき)、あのよくお祓いで使われるヒラヒラのついた棒、に見立てて振るうと、光景が一変した。

生い茂った茂みからまっすぐな道が1本表れ、鬱蒼としていた樹林は程よく月明かりが照らす静寂なちゃんとした林道という風景になったのだ。


「これほどの、地形どころか風景、さらには天の様子すら変える幻術を妖精達はかけていた、というのですか!?」


朝方から潜っていて、まだ3時間程度だと思っていたのに、すでに月明かりがでるほど夜になっていることにも紺さんは驚く。

というか、僕も冷や汗しかでていない。恐ろしすぎでしょ、妖精達の幻術。時間感覚も方向感覚も狂わせるとかマジヤバい。

何が継ぎ接ぎに幻術をくっつけている、だ。1つ1つのクオリティが高い、幻術の美術館みたいなものじゃないか、この森は!?


「と、とりあえず何とか行けそう、かな?」

「で、ですね。しかし、流石にこれほど時間が経っているとわかった途端、空腹と疲労感がどっときたので、休みたいですね。」


言われてみれば、なんだか、もうため息がでるぐらいに疲れきっていた。

3時間と思いながらその3倍ぐらいの時間歩いていたわけだし、それもそうだ。


「野宿、しますか。」

「そうなりますね・・・・」


この数日、部屋を増築した‘どこからでもドア’を呼び出しながら、僕達は今日の疲れを癒すことにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「大隊長、報告いたします‼何者かが大隊長の幻術を打ち破り、門の近くにて野宿を始めました‼」


黒金剣太達が野宿をし始めたところから少し行ったところにある妖精郷へ通じる門を守る駐屯所の1室。

そこには数人の妖精が書類業務に頭を抱える上司が逃げださないよう監視していた。

そこに軽武装した妖精が飛び込んでき、起こったことを伝えた。


「え?ウチの、女王様にも認められた幻術、全部壊されたんッスか!?何者ッスか、教国?帝国?どっちの手のものッスか?」


報告を受け、書類業務から解放される期待を込めた表情で顔をあげた上司は妖精郷最高級の幻術遣いであった。

赤髪で毛先にウェーブかかったポニーテールの美少女は、背中には黒みががった透き通った薄い羽があり、頭には、こめかみ辺りから羊のようなカールした角が生えており、子供の頭ほど豊満に実った爆乳を黒い革製の帯を首から股間にかけており、乳首等の最低限の箇所を隠している程度の格好をした、完全な痴女であった。


「それが妖狐の女性と人間の男です‼」


その言葉に女性は頭をいつも抱えている執務机の椅子からずり落ちる。


「はぁっ!?妖狐っていったらウチらのお仲間じゃないッスか!?なんでウチらのとこに来て、幻術ぶっ壊してるんッスか!?」

「そんなことは知らないですよ、大隊長‼」


上司の大声ツッコミに負けずと返す部下妖精。周りの部下達も困惑している。


「あー、もう、仕方ないッス。野宿ってことはその辺にいるんッスよね?ウチが男の方を尋問するッスから、みんなは狐の子をやるッス。」

「それが何もないところから扉が出てきたかと思ったら2人とも開けて通ればどこか別空間に行ったかのようにかっきえました。ただ、聞こえた話では野宿するようでしたので、テントみたいなもなかと。」


その言葉に目を見開き驚愕する。


「どこの世界にそんな超1級な空間魔法で野宿するやつがいるッスか!?そんなやつ、人間にいたら出世してるか殺されてるッスよ!?

あー、もう、ワケわかんないッス。とりあえずローリエ、アンタは女王様に報告しに行くッス。ベール達は兵に厳重警戒体制と応急幻術処理をさせるッス。ウチは夢の中で探ってみるッス。」

「「「「了解しました」」」」


書類業務から解放される幸福さと面倒事の匂いしかしない事件に溜め息をつきつつ、彼女、ロクサーヌ・アスタロスは不敵な笑みを浮かべる。


恋妖精(サキュバス)、舐めんなッスよ‼」

誤字脱字ありましたら連絡くださいまっせー

ポケモンの厳選が終わらないんじゃぁ・・・・・

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