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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第1章 隠れ里の孫娘
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閑話その2 扇動者、捕まる


「さてと。馬車そのもので売るとなるとちょっと絢爛だから出所問われてボロがでかねねーし、適当に装飾品剥ぎ取って売り払うってのがよさそうだな。」

「それをするのも、正規なお店だと面倒なことあるかもだし、訳あり品を買ってくれるとこを探さなきゃいけないよね。」

「お馬さん達も殺してお肉にするか、あるいは連れて行って売ろうか、どうしよう?」


夜刀神国の手前の森で、奪った王家用馬車から降りた俺たちは今後の資金調達について話し合っていた。

馬車は元々装飾品を適当に剥ぎ取って売り払う予定だったが、それを引っ張る馬ばかりは何も考えていなかった。馬車に乗ったことがなかったから、すっかり考えの外にいたぜ。

ちょっとした馬ぐらいなら馬肉にして食料にした方がいいんだが、こいつらは王家用の馬車を引っ張るような馬だ。血筋がいいだろうし、捌くのはもったいないな。

多分、売ればいい金にはなるだろうが、連れていくにはでかいから目立って嫌なんだがなぁ。困った困った。


「何かお困りのようだが、手をお貸ししようか?」


頭を悩ませていると、ふと目の前に軽めの鎧を着た、いかにも衛兵という感じの中年が現れた、こんな森のなかに。

怪しい、怪しすぎる。


「いやいや、心配しなくてもいいですよ、えぇ。

ところであなたは?」


俺は平常運転の作り笑いをしながら、手で後ろの2人に戦闘準備の合図を送る。


「これは申し遅れました。夜刀神国国家元首夜刀神ハヤト。

君達を捕縛するものだよ。」


国家元首だと!?

驚愕した次の瞬間、どこからともなく現れた蛇の軍勢に巻き付かれる。

例え小さくても蛇は蛇だ。巻き付き絞め殺して餌を食うだけあって拘束力は高い。それが数十匹となればなおさらだ。

だが、こっちに普通の人間しかいなかったら危なかった。


「だらっしゃぁぁい!!」


【役職】と“異能”によって人間離れした筋力や動体視力、その他もろもろを持つ澪にはあってないような拘束だ。

容赦なく絡み付いてくる蛇をちぎっては投げちぎっては投げ、強制的に拘束解除した。

また麗奈も麗奈で隠し持つ武器を纏い、接触してくる蛇を斬り貫き抉って拘束から免れていた。

そして瞬く間に自分のぶんを処理しながら、澪は俺に絡み付く蛇も薙ぎ払い、そして俗に言うお姫様抱っこで俺を抱き抱え、動きに制限がかかったところで麗奈がその補助に回るコンビネーションをみせる。

流石俺の持つ最優秀な駒なだけある。


「慶ちゃん、どうすればいい?」

「相手にせず逃げに徹する。」

「了解‼麗奈‼」

「うん、了解したよ。」


抱き抱えながら、蛇の軍勢を蹴散らす澪は集めた武器をばらまきながら薙ぎ払う麗奈を呼び寄せる。

そして、何が起きたかわからないうちに、抱き抱えから澪の肩の上に座らせられてから、同じように麗奈も肩に乗せ、


「園田澪、いきまーす!!」


掛け声と共にしゃがみ、そして跳躍した。いや、もう跳んだと言うより飛んだ。

そして近くの木の上に着地し、そこから跳びながらその場を離れていった。

本当に化け物スペックの“異能”だよ、ありがたいことにな。




向こうの国の最上位権力者があんなとこに現れ、俺たちを拘束しに来るというわけのわからないことがあった後、ようやく澪の聴覚や嗅覚から感じられないほど離れたところで俺達は腰を下ろした。


「助かったぜ、澪。本当にお前がいなかったら詰んでたぜ。」

「そんな、これぐらいで感謝しないでよ、慶ちゃん。

私は慶ちゃんの忠実な下僕、じゃなくて、駒なんだからさ。慶ちゃんは電車に乗ったからって感謝しないでしょ?だからそんな感謝されるようなことじゃないって。」

「うんうん、流石澪ちゃんだね。それに比べて私はなにもできてないよ・・・・」


しょんぼりする麗奈に俺はため息をつく。


「アホ言うな。お前は澪と同じで俺の優秀な駒だぞ?自己卑下するようなことなんざ全くないっつーの。」

「そうだよ、麗奈。むしろ、5年かけて慶ちゃんの優秀な駒になった私と違って1ヶ月ぐらいでなったんだから、私よりも優秀なぐらいだよ、うん。」

「そ、そ、そんなことないよ、澪ちゃん!?澪ちゃんが指導してくれたから私はすぐに優秀な駒になれたんだよ。」


お互いがお互いを誉めあういつものやり取りに動揺した心を落ち着かさせられた。

本当にこういう風に意図せず俺の役に立つから優秀な()達だぜ。


「はいはい、そこまで。どっちも俺の優秀な駒だ。それでいいじゃねーか。

さてと、じゃ、反省会はここまでで、問題はここからだな。

まず麗奈。どんだけ持ってこれた?」


逃げるのに手一杯だったため、何も持ってこれなかった俺に代わり、俺らの倉庫担当の麗奈に尋ねる。

するとさっきまではにかんだ笑顔だった彼女は突然顔面蒼白になり、罪を告白するように震える声で言った。


「え、えっと、一握りの宝石ぐらいで、あとはあの蛇を追い払う時に武器と一緒にばらまいちゃって・・・あぁ!!武器も半分以上捨てちゃった!!

いやだいやだいやだ‼ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「落ち着け、麗奈‼」


やべぇ、地雷踏んだ‼

最近は落ち着いてたから、油断してたが、基本忌々しい大人どものせいで麗奈は情緒不安定なんだった。


「見捨てないでお願いだから私を見て‼置いてかないでいやだいやだいやだ‼」

「大丈夫だよ、麗奈。慶ちゃんは怒らないし、見捨てたりしないから。ね?私達を見捨てたあいつらとは違うのは当然なんだから、そんなに謝らなくても大丈夫だよ?」


パニックになっている麗奈を澪が抱擁して宥める。

しくったぜ。何が大切な駒だよ。やっちゃいけねぇことやっちまったじゃねーか。



ご覧の通り、麗奈は期待されてそれに答えられないことをとても恐れている。

それは全てこいつの両親が麗奈に過度な期待をかけ、それに答えていい子として見てもらうために無理をしすぎた結果、麗奈は応えきれずに壊れ、そしてその原因たるご両親様はそんな麗奈を落第扱いした。

その頃には夫婦仲も冷めていたもんだから、小学校卒業と同時期に離婚することとなり、麗奈はどちらからも粗大ゴミとして見捨てられた。が、まぁ、世間体を気にしたらしく引き取った糞父にかろうじて通わさせてもらえていた中学で屑な女やDQNどもに嬲りものにされていたのを俺と澪が暇潰し、いや、ムカついたから叩きのめして助けたのである。

こういった経緯から、麗奈は愛情を過剰なぐらい欲し、そして期待に答えられないことを極端に恐れているわけだ。


ちなみに、俺の方でその麗奈のクソッタレな両親だった屑は世間体を気にしていたから、社会的に殺しておいた。何をしたかは今の世の中、金さえあれば大概のことはできるから便利なもんだ、とだけ言っておこう。これでも俺はクソな御両親様の遺産を色々なところ騙して全額管理してる金持ちだからな。

そいつらが今、どうなっているかはもう1年以上も前のことだから知らないし、興味もないな。それこそ惨めに生きていようが無惨に死んでいようが。



さて、宥めねーとな。


「麗奈。俺はお前を見捨てない。

澪と同じレベルの最優秀な駒を捨てるなんて、金を溝に投げ捨ててるのと同じことだからな。」

「でも・・・でも・・・」

「あー、もう面倒くせぇな。」


慰めても泣き止まない麗奈に口付けをして黙らせる。


「お前は俺の物だ。俺の物の失態は俺が使いミスったのであってお前は悪くない。いいな?」

「慶ちゃん、慶ちゃん。格好つけてるところ大変申し訳ないんだけど、麗奈、嬉しさと唐突すぎて処理しきれずに気絶してる。」


キリッとかっこよく決めたのに、泣きたい。


「あ、あと私も久しぶりにキスされたいなぁ、って。」


澪もモジモジとしながらそんなことを言ってくる。

あー、くそ。本当にかわいいなぁ、俺の最優秀な()達は。



そしてこのとき、イチャイチャしすぎていて警戒を怠るという最大のミスを犯してしまった。



「いやはや、相変わらず仲睦まじいね、君達は。ただ、今まで通りイチャイチャするのはちょっとあとまで待ってもらおうかな。

ランダムイベントとも言える君達に運良く会えたし、手に入れさせてもらうよ。」


気付くとチューブトップにホットパンツと露出が高いツインテの女性が現れ、一瞬で澪と麗奈を手に持つ錫杖で突いて気絶させる。


しくった。


そう思った時には既に俺も一撃を食らい、気が遠退いていった。

誤字脱字等ありましたらご連絡くださいまっせー

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