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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第1章 隠れ里の孫娘
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錬金術師、決心する

こんなわけでできた‘三振両腕堕(エリゴール)’だが、このあとも微妙な調整をしつつ、なんとかこの闘いに間に合わせたのである。

というか、調節のために行った模擬戦で、何度か砕かれたのが時間のかかった原因である。

恐るべし、先代被害者組の先輩方。なんで数人、‘不壊’付与されてるのを壊せるんですかねぇ・・・・・や、「壊れないという事象を壊した」とか「魔法関係無効化してからテコの原理で」とか言われたから原因はわかりますよ。ちょっと脳筋な人から「筋肉があれば不可能ではない」と言われたときは頭抱えたけど、僕以外の人達も。


そんな困難を乗り越えたこの武器はもはや数日で作られたというのに歴戦の魔剣なのである。


「並々ならぬ禍々しさを持ったその剣?斧?変わった形をした武器をもってして何をするつもりですか?」


剣斧(エリゴール)を見た紺さんは警戒しながら距離を取る。

口では挑発的なことを言いながらしっかり警戒し、隙がないところは流石である。


が、無駄である。


「えっ・・・・・!?」


距離は大きくとられたものの、僕は振りかぶってから振り下ろすと、紺さんの腰に提げていた双剣が砕け散った。


この剣斧の第一能力は「全武装破壊」。

例えどれだけ距離があろうと相手の持つ武装という概念があるものを砕くことができるのだ。

最も、鎧なら別だが、基本衣装は斬れないし、肉体もまた武装ではないゆえ筋肉も爪も歯も砕くことはできないんだけどね。

そしてこれは第二・第三能力へと繋げる導入に過ぎない。


とはいえ、あまりにも唐突すぎることに、司会実況観客全員が静まり返ってしまう。


あー・・・・・・・やり過ぎたかな?


そう思った次の瞬間、割れんばかりの歓声罵声が巻き起こった。


『こ、こ、ここでついに試合が動きました!』

『これは驚きました。何が起こったのかさっぱりわからなかったですね。

500年ちょっと生きているけど、あんなことするのはあの憎き男が今私の手元にある妖刀‘魂魄用無’を振るったときぐらいですよ。』

『つまりあの‘魂を見透かす魔王’陛下と同じということですかぁ!?』


実況解説の言葉に「イカサマだ!」「ズルだ!」というブーイングがより発生する。

うん、まったくもって反論できないです。マジでチート使ってるんで。


「・・・・・何を、したんですか?」

「紺さんを降参させるための行動、かな?」

「ふざけないでください!!」


紺さんは懐からクナイを投げようと取り出したが、


「えっ・・・・」


それは粉々に砕けていた。

うへぇ。やっぱり隠し持ってたよね、危ない危ない。


「紺さん、もう一回言うよ。

降参してもらえませんか?次は左腕が切り落とされますよ?」


僕は構えつつ再び降参を促す。

が、彼女は不快そうな表情を浮かべ、


「何をしたかわかりませんが、武器を使えなくさせた程度で降参するとでも?

私は言いましたよね?両腕落とすぐらいのことでもされない限り私は降参しませんよ?」


そう言って再び岩と火炎の弾幕をバラ撒いてくる。

それらをできるだけ避けながら僕は再び剣を振る。


そして、


「くあっ・・・・!?」


紺さんの左腕があったところから鮮血が飛び散り、彼女の左腕が彼女の足元に落ちた。

これは第二能力だ。


『なっ!?ちょ、剣太君!?何してるんですか!?』

「え、やっ、左腕切断しただけですけど・・・・」

『バカですかぁ!!!なんで姫様の冗談真に受けてやっちゃってるんですかぁ!?』


解説放棄の絶叫が闘技場に広まり、そして観客席からも叫び声が聞こえる。


さっきのでもやり過ぎたと思ったけど、流石にここまでやるのはヤバかったか・・・・・


そう思い、戦闘中止を申し出ようとしたときだった。


「ギャーギャーギャーギャーと喧しいですよ、外野の皆さん?」


自身の頭上で爆発を起こし注目を集めた紺さんは、腕の切り口に止血するように‘仙狐の術’を応用した治癒術をかけながら声高々に、そして怒りMAXで発言する。


「私は彼に何度も言ってますよ?『両腕落とすぐらいのことでもされない限り私は降参しませんよ』と。

そして彼はそれをやってのけようとしているだけ。部外者が口出ししないでもらえますか?」

『や、でも、姫様、そうは言われましても・・・・・』

「言っておくけど、私、だいぶ頭に来てますからね?

勝手に婚約を組まされかけ、相手からは見てもらえず、挙げ句この程度の負傷で外野が騒いで批難して・・・・・これ以上私のことを無視して、私のことを勝手に決めつけてくるなら、例え師匠や母様相手でも殺しに挑みますよ?」

『ーっ!?』


紺さんから放たれる殺気は紛れもなく本気であり、そしてそれは先ほどまでの魔力とは桁違いなものも放出していた。

まるで生まれ変わったかのようだった。

いや、実際、先ほどまでの紺色の毛並みが、光が当たる度に玉虫色とでも言えばいいのか、ラメのようにキラキラと輝き、まるで虹のような毛並みになっていた。


「反論はないですね?

・・・・お待たせしました、黒金さん。いえ、剣太さん。」

「・・・・・・こう、やった本人が言うのもあれだけど、ほんとにいいの?大丈夫?」

「大丈夫ですよ。むしろ今は清清しいほどですね。

なるほど。これが、このことがそういうことなんでしょうね。確かにお祖母様があれだけ強いはずです。そして剣太さんが強いわけです。」

「えっと・・・・・」

「さぁ、決着をつけましょうか、剣太さん。

生憎思ったより血が流れたのでちょっとフラフラしますけど、本気の、本当の、本物の【天狐】を相手させるならちょうどいいハンデですね。」


そう笑みを浮かべながら話す紺さんの顔を見て僕も決意する。


若干焦点が定まらず瞳孔の開いた目。それでいて楽しそうに、嬉しそうな表情。

それは中学時代の球磨川を、小学時代の前田を彷彿とさせる覚悟と狂気を携えた強者(バケモノ)の表情だった。

そして何より、僕が好む人間らしい感情を表に出した顔だ。紺さんは狐系の獣人だけど。


よくわかりましたよ、紺さん。

決着の一振りをさせてもらいます。

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