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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
プロローグ いざ、異世界に
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扇動者、危険を感じ、保身を図る

ちょっと視点が変わります

オッス、俺は前田慶一。

「一」が「次」だったら天下一の傾者だったかもしれない男子高校生だ。


そんな俺は今、朝のHRが終わったと思ったら異世界にいた。

何を言っているのか、わからないだろうが、俺もわかっていないから安心してくれ。


しばらくの間、事態がはっきりとわからず困惑していたが、無作為に異世界召喚されたことが雪風さんと異世界召喚した国王さんとの会話からわかった。

つーか、雪風さん、すげぇ。

異世界とはいえ、王族相手に誘拐罪とか言って、脅したよ。


ついでにわかったことに、お約束通り、こっちからもとの世界に戻る方法は無いのだとか……

我が親友にして悪友にして盟友の黒金と球磨川もあまりのテンプレ状態に顔をしかめていた。

もとの世界にいた頃は、3人で異世界転生ものや異世界転移ものの漫画や小説は読んでおり、「もとの世界に戻れないとか理不尽だよな」と言っていたが、まさか我が身にそんな理不尽が降りかかるとは想定外だった。




「慶ちゃん、ちょっちまずいことに私ら巻き込まれてないかな?」


俺が現状を飲み込めずにいるうちに話が進み、自分達に異能の力があると言われたところで、いつの間にか隣に小学校からの付き合いである相棒・園田澪(ソノダ ミオ)がいた。


黒髪ポニーテールで整った顔立ち、同年代の女子よりも背も胸も発育したその美少女姿は学校でもそこそこ人気がある。

しかし、見た目に騙されてはいけない。

確かに女性なのだが、どこかおっさんなのだ、こいつは。

かわいい子と仲良くなると胸を揉むぐらいのセクハラは普通にやる変態なのである、羨ましい。



俺は周りに聞こえないよう、小声で彼女に伝える。


「ちょっとどころか、結構ヤバいな。異世界に召喚されたと思ったら、勇者様戦ってください、だからな。

小説とか漫画とかゲームなら喜んでだが、情報がなさ過ぎて判断できんな。正直な話、深く関わらない方がいい気がしてならん。」


「ほー、私よりこういうことには詳しそうな慶ちゃんが言うならよっぽど、なのかね?

で、どうする?逃げようにも流石に私の【役職】や‘異能’でも厳しいよ?」


澪も同じように小声で話す。周りに聞かれたらヤバめだしな。

というか澪のやつ、既に自分に与えられた役職と異能を理解しているのか。


「いや、逃げるのはまだあとでもいい。情報をとにかく集める必要があるな。

で、お前、どういう役職と異能だった?」


「えっとね、役職は【戦乙女】で異能は‘超人(パラミシア’ってやつ。

まー、簡単に言っちゃえば戦闘能力ガン振りだね。

で、慶ちゃんはどうなのさ?」


「まだわからん。ちょっと待っててくれ」


そう言って俺は意識を集中し始めた。




――――――――――――


『異世界より来たりし勇者よ。


[汝は言葉で世界を欺く才を持つ]


汝には役職【扇動者】を授けん


――――――――――――



…………なんだ、今、なんか一瞬だけ違和感を覚えたぞ?気のせいか?

まぁ、いい。俺の役職を軽く見てみ……


「どしたの、慶ちゃん?顔色悪いよ?」


軽く能力を見ただけだが、血の気が引いた。



ヤバい。

この役職の能力と異能はマジでヤバい。

どうヤバいかというと、戦闘能力は皆無だが、下手すると簡単に1国は落とせる。

というか役職と異能が噛み合いすぎていてより危ない。



「おーい、慶ちゃん?大丈夫?」


「あぁ、大丈夫だ、問題ない………澪。麗奈呼んできてくれ。」


内心大丈夫ではないが、そんなことが言える状態ではない。

しかし、かなりヤバい役職は異能で誤魔化すとして、異能を誤魔化すためには澪の親友であり、俺の友でもある麗奈の協力が必要かもしれない。




「どうしたの、慶一君?遊戯部グループで動くことにするの?」


そう言ってきたのは龍造寺麗奈(リュウゾウジ レイナ)


ボブカットの小柄で童顔なロリ系美少女で、お花畑のようなほんわかした雰囲気を持つ子だ。

俺と澪とは中学の時、当時いじめられていた彼女に出会い、俺と澪でいじめ主犯共を叩き潰してから、仲良くなった子だ。

今では紅学園で「遊戯部」という、主にTRPGを3人で(たまに黒金とか球磨川が遊びに来る)やっている部活動をしている。


「いや、それはまだだ。

それよりもお前の役職の能力と異能を教えてくれ。

ちょっとやむを得んが、俺の異能を隠したいから、手がかりにできるかもしれん。」



俺の真面目な口調に麗奈だけでなく澪も、俺の役職と異能がただならぬものを感じたようで、頷いてくれた。



「慶一君の異能が何かわからないし、役に立てるかわからないけど……

私の役職は【天探女あまのさぐりめ】。

対象を2人まで選び、一時的にすべての現象を逆転させることができるよ。あと、よくわからないけど、私と力が接続されるタイプらしいよ?

それから、異能は‘技心暗器(パーフェクト・ウェポン)’。

どんな武器も自由自在に使いこなせて、どこからともなく大きさ重量問わず繰り出せるよ。」


「力が接続される?つまりお前が能力を使えば異能を他の人が使えるってことか?」


「多分そうなるんじゃないかな?私の筋力とか瞬発力とかそういうのも含めていると思うよ。

で、役に立てそう、慶一君?」



麗奈が心配そうに俺を見てくる。

正直な話、それだけではやや厳しい。

しかし、澪もまた真面目な顔で俺に言ってくる。


「慶ちゃん、麗奈のだけで厳しいなら、私の異能も役職能力も教えるから、使えないか考えて。」


そうして教えられた澪の役職の能力と異能は、賭けになるが、使えなくはない手を思い浮かばせてくれた。


――――――――――――


勝った。

俺は賭けに勝った。

役職【決定者】

異能‘力比べ(ワンオンワン)

として認識させることができた。



戦闘能力がない、ということで評価は悪い感じだが、本来の方も戦闘能力がないので変わらない。


というか俺以外にも5人も戦闘能力なしのやつがいるが、果たして本当に戦闘能力がないのか疑わしいな。

俺みたいに隠してそうなやつはいそうだな、こりゃ。

特に親友にして(ry)の黒金は怪しい。

自分の知っているものしか作れないらしいが、それぐらいなら誤魔化せそうだよな……



ま、とりあえず、なんにせよ当面は情報収集が先決だな。

澪と麗奈にもしばらくこの世界について調べてもらうとしようか。




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