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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第1章 隠れ里の孫娘
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錬金術師、断られる

たぶん年内最後の更新です


「お言葉ですが、お断りさせていただきます。」


スッと姿勢を正してから頭を下げて彼女は丁重に断った。


「んー、理由は?」


「第一に最愛の人の命を奪うようなお祖父様と同じ人間と旅をすることが大変嫌です。

第二に婚姻関係にもない男性と旅をするなんてはしたないです。

第三に私はこの男が嫌いです。」


姿勢を崩さず、堂々とスラスラ答える紺さん。

確かに理解できる、うん。人間嫌いっぽいし、異性と旅をするのはいかがなものかっていうのも。

ただ、絶対最後の理由だけでしょ、断ったの!!


というか、それよりも聞かなくては。


「すいません、紫さん。

何で彼女に僕と旅をさせようと?」


「えぇ。手紙に『そろそろ世間を教えるために彼と共に旅をさせては?』ってあってね。

前から紺ちゃんの人間嫌いには少し気掛かりだったし、いずれ族長を継ぐ存在として妖狐族以外を知らなければいけないと思っていたの。

で、ずいぶんと前に武蔵先生に相談したら、今回そう解答がきたってわけ。」


おぉう。

つまり紺さんの人間嫌いは母親からすら問題視されているのか。

というか、嫌ってる理由が祖父っていうのが、うん。平塚才人さん、ドンマイ。


『ちょっと、けー君。

悪いんだけど、さっきみたいに刀を地面に刺してくれる?』


心の中で平塚才人さんにエールを送っていると、唐突に白鬼院小梅さんが発言してきた。


「いや、刺すって、ここ人の家ですよ!?

しかも刃がない刀で木に刺すのとか無理ですって。」


『大丈夫、大丈夫。

刺すのが問題じゃなくて、刺す動作が術式の鍵になってるだけだから、地面に刺さらなくてもいいんだよ。

まぁ、できれば‘霊界解放’の範囲を固定するために刺さった方が楽なんだけどね。』


そうなのか。だったら問題ないのかな?


チラッと茶枳さんを見ると若干青ざめた表情で頷かれたので、床に、えいっ、と刃先を当てると、


『‘霊界解放’』


封印されている人がホログラムとして現れる術式が発動された。


今回出てきたのは、お馴染み白鬼院小梅さんと、何やらお怒りの様子の平塚紅さんだった。


「な、何事ですか!?」


「人が突然現れただと!?」


他の人たちはあっけにとられているが、それを無視して平塚紅さんは茶枳さんに怒気のこもった声をかける。


「ねぇ、茶枳ちゃん?

何か言うことはない?」


「な、な、何がかな、紅ちゃん?」


青ざめカタカタと震える茶枳さんと、それを驚いた表情で見る周りの人達。


「私のかわいい、かわいい孫娘が才人君を理由に人間嫌いになるなんて、茶枳ちゃんが関わっているよね?」


「ち、違うんです!!

私は紅ちゃんとあの男の話をしただけで、悪口は一切言ってないです!!」


土下座せんばかりの狼狽えぶりを見せる茶枳さんの姿は、他の人たちにも衝撃を与え、またやりとりから平塚紅さんが誰なのかを把握したらしく、紫さんに至っては泣き始めてしまった。


しかし、そんな周りを気にすることなく平塚紅さんは茶枳さんへ笑顔で問いかける。


「本当に?」


穏やかな声だが、もう殺気バンバンの脅しである。


「嘘です、多少言いました!!」


これには茶枳さんも土下座を越え、五体倒置で返した。


「多少?」


「めちゃくちゃ言いました!!」


もうやめて!!茶枳さんのライフはもう0よ!!


「あのね、駄枳ちゃん。

才人君と仲が悪い仲良しっていうのを私達は知っているから、才人君との言い争いも笑い話にできるんだよ?

でも、知らない人からしたらただの悪意にしか見えないって言わなかったっけ?」


気のせいか、茶枳さんの名前が微妙に違った気がする。

茶枳さんは五体倒置から土下座の体勢に戻り、


「はい、おっしゃる通りです!!」


と頭を下げたまま言う。

なるほど、五体倒置だと話しにくいもんね。


「まったく。

今回はとりあえず紫ちゃんとお話するために才人君は置いてきたからよかったけど、もし連れてきてたら今頃ここ、壊れちゃうようなことになりかねなかったのは理解してるよね、駄枳ちゃん?」


「はい、わかります。

私があの男と戦えばフシミに大きな傷跡をつけかねません。

運がよかったです、ごめんなさい。」


「ん。反省してるみたいだから、とりあえず許してあげる」


頭を下げ続ける茶枳さんと殺気と怒気が緩くなった平塚紅さんの現状に、緊張感がフルマラソンするぐらい走っていたこちらは一息つく。



ちなみに白鬼院小梅さんから、この刀に封印されている人を霊体として呼び出す‘霊界解放’では視覚でき、会話ができるだけで、接触ことはできないと説明されている。

つまり戦闘になることはないから安心してね、と連絡は受けているため、平塚才人さんと茶枳さんの戦闘は起こらないから安心してほしい。


というか、2人のガチ喧嘩は本当に周りに被害しか与えないので危険である。



こちらが一息ついたように、平塚紅さんも落ち着き、そして紫さんに声をかけた。


「久しぶり、我が最愛の娘、紫ちゃん♪」





来年もよろしくお願いします

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