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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第1章 隠れ里の孫娘
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錬金術師、球技大会に参加させられる


目を覚ますといつぞや、というか約1週間前に来た記憶のある教室にいた。


「や、けー君!!」


教壇には相変わらず萌え袖の看守服を着た白鬼院小梅さんがいた。


「………なんかもうツッコミも面倒なので単刀直入に聞きますけど、どうなりました?」


「ちょっ!?なんでまたここにいるのか、とか面白おかしく説明しようとスタンバってたのにひどいよ!?」


めちゃくちゃ大慌てであわあわする白鬼院小梅さん。

面白おかしくって説明する気あるんですかねぇ……


「まったく。ユーモアのセンスがないねぇ、けー君は。

とりあえず今はフシミの中の族長が住まう館、‘稲荷館’の一室で寝込んでるよ。

まぁ、寝込む理由は単純にどっかの魔王が孫娘にあってハッスルし過ぎて、魂に高負荷与えて気力体力その他諸々が尽きたからだね。

ったく。これじゃあ魂の鍛練になるわけないじゃんっていうのにね。」


気付けば僕の隣の席に白鬼院小梅さんは座っていた。

相変わらず心臓に悪い。


「で、まぁ、そのどっかの魔王はもう一人の魔王に保健室で『ごめんなさい、もう許してぇ!!』『これ以上されたら壊れちゃうのぉぉぉぉ!!』『ンホォォォ!!』と絶叫するぐらい折檻されてるから安心してね。

で、まぁとりあえず肉体の意識を失ってる内に少しでも英霊憑依のために魂を鍛えようかと思うんだ。」


なんか前半、ツッコんだら(全年齢的に)ヤバい話をされた気はするけど、気にしないようにしよう、うん。


「なるほど。つまり現在意識を安全なところで失っているってことでいいんですね?」


「そそ。話はつけてあるから、回復し次第、妖狐族族長の紫ちゃんに謁見できるよ。

いやぁ、短命な【紫狐】な上、未熟児でちっちゃかった子が、今じゃ子持ちなのにお色気ムンムンなバインバイン娘になるとは驚きだね。

きっと未亡人の魅力でけー君はメロメロ間違いなし!!」


「いや、僕、人妻好きじゃないですから!!」


なんか前にリアル狐耳の平塚紅さんを見てテンションあがってから、白鬼院小梅さんに人妻好きと思われている節がある気がする。

いや、多分、わかっててからかってきてるな、この人のことだし。


「やだなぁ。まるでボクが人をからかうのが楽しい外道みたいじゃないか。」


「……なんか色々と言いたいですけど、まぁいいですよ。

で、あの天狐の子ってやっぱり……」


「そだよ。

紫ちゃんの娘、さい君とくーちゃん、あとだっちゃんの孫娘。」


誰ですか、そのラ○ちゃん語尾みたいな名前の人。

いや、茶枳さんなんだろうけど。


「って、え!?茶枳さんの孫娘って!?」


「だっちゃんが産んだ息子を紫ちゃんと結婚させて、で産まれたのが孫娘の紺ちゃんなんだってさ。

で、これがまたすごいのが、紫ちゃんの旦那のお父さん。

なんともっちーなんだってさwww

いやぁ、もうバレバレだった恋愛感情が実った上、息子まで作っちゃうとかww

しかも最愛の幼馴染みの遺児と結婚させるとか、もう笑うしかないねwww」


いや、流石に人の恋愛事情を爆笑するのはいかがなものかと思います。それもお腹を抱えてまで。

にしても、やっぱりバレバレだったんだ、茶枳さんの太鼓原望月さんへの恋愛感情。


「ま、だっちゃんの恋愛事情と共に現妖狐族の上層部はこんな感じかな?

ちなみに、今じゃ生き延びてるの、【蒼狐種】【白狐種】【銀狐種】ぐらいらしいよ。

【紅狐種】【黒狐種】【翠狐種】【金狐種】はそれぞれ自滅なり血筋が絶えるなりあの戦争で力尽きるなりで滅んじゃったみたい。

で、人口は500人満たないぐらいにまで落ちてるらしいよ。」


おぉう。なんかもうなかなか大変なことになってるのか、妖狐族。

役職の能力で人間サイドの知識しか知らない、というかわからない僕からすれば新発見過ぎる。

これは鬼夜叉族や吸血鬼族、森人族は最悪滅びているかもしれないなぁ……あ、いや、吸血鬼公国とかあるし、吸血鬼族は大丈夫っぽい?


「ま、人数こそ少ないけど、昔から妖狐族は少数精鋭だし大丈夫っしょ。

じゃ、難しい話はここまで。」


そして白鬼院小梅さんが指を鳴らすと、あっという間に僕はジャージ姿に、彼女は萌え袖の体操服にブルマ姿に変わった。


「それじゃあ、魂の器を大きくするために、またあの鍛練をしよっか。」


運痴絶望の死刑宣告同様な発言をしてきた。

まぁ、やりますけどね、今後のためにも。


――――――――――――


場所は変わって運動場。

学校敷地外にこそ出れないが、どういうわけかしっかり天候まである屋外である。


「よ、災難だったな、剣太。」


師匠の1人であり、白鬼院小梅さん曰く‘武道四天王 遊撃手’桑原怜慈さんが他の人達と共に何か準備していた。




ちなみに他の武道四天王は、


‘武神’大井すみれ

‘ベビルベリーの切り裂き魔’日村刀士郎

‘勇者’苗桐誠一

‘魂を見透かす魔王’平塚才人


である。

5人揃って四天王、とかどこの龍造寺四天王なのかというね?

なお、‘文官四天王’なる存在もいるが、そちらはちゃんと4人である。




「それで何をするんですか?すごい人、というか勢揃いじゃないですか?」


「あぁ。お前の鍛練を兼ねて、《第1492回クラス内対抗球技大会 競技:野球》をやるのさ。」


何ともないようにサラッと桑原怜慈さんは言うが、こちらとしては、『球技大会!?』というぐらいの衝撃だ。


「というか、1492回とか、どんだけやってるんですか……」


「いや、みんな暇だったから、つい1年に3回ぐらいいろんな球技やってんだよ。」


苦笑いしながら桑原怜慈さんは告げる。


あ、あれ?この人達、めちゃくちゃ天使を憎んでるんだよね?

なんで暇とか言っちゃえる余裕あるんだろう……動けないからかな?


「ちなみに俺は野球に関してはちょい強すぎるから主審で、試合には【役職】“異能”使い放題だから、小梅もここの統治者として主審をすんだ。

で、あいつはどこだ?」


「あぁ、白鬼院小梅さんなら、何か『ちょっと田んぼの様子見てくる』とかいう台風なら死亡フラグ発言しながらどっか行きました。」


「マジかよ……

紅ちゃんの折檻がようやく終わって開始できるなぁ、と思ってたのに、あのちびっこ、

どこ行ったんだよ。」


苦々しげに頭をかきながら桑原怜慈さんは呟く。

後ろではベンチでぐったりしつつもツヤツヤした平塚紅さんと、それを介抱する若干げっそりした平塚才人さんがいた。

イッタイドンナ折檻ダッタノダロー(棒


僕の視線に気付いた桑原怜慈さんは苦笑いしながら、


「気にすんな。あの元恋愛アンチは今じゃただのバカップルの代名詞だ。

今のイチャイチャモードのあいつらに関わったら死ぬぞ、胸焼けで。」


あー、もうなんかクラスメイトの方々からも呆れられているんですか、あのお二方。


「そりゃ私達死んだメンバーの中じゃ唯一の既婚者な上、子持ちだからねぇ。」


不意に桑原怜慈さんと僕の間からひょっこり白鬼院小梅さんがでてきた。


「あいっかわらず突然出てきやがるな、小梅。

で、なんかあったん?」


「ん?いや、何。ちょっとO☆HA☆NA☆SHIをしてきただけだよ。」


「あぁん?」


「んー、いいのいいの。気にしないで、こっちの話。

それよか早いとこ球技大会始めよー!!」


手をひらひらと動かしながら明らかに誤魔化す白鬼院小梅さん。

気になる。


「あー、はいはい。

んじゃ、剣太。お前は魔王チームな。」


「魔王チーム!?」


こうして何故か魂の鍛練という名前の球技大会が始まった。





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