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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
第1章 隠れ里の孫娘
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元紅狐の天狐、格の違いを見せつける


傷を【仙狐】の力を応用した治癒術で治しながら、久しぶりの肉体の感じに私、平塚紅は違和感を覚えていた。

視点の高さの違いとか片目が眼帯で覆われているとかじゃなくて、なんか、こうムズムズ


…………あぁ、なるほど。

原因はわかった。

なんだか、こう、うん。

剣太君も男の子だということだ。


命の危機による生命の本能と、ばるんばるんとまではいかないけど、やや揺れるあの巨乳に反応してしまうのは仕方がないか、うん。


というか、感覚的に結構長くないかな、これ?

そりゃ才人君のあの太さに比べたら大剣と片手剣ぐらい違うけど、長さならナイフと太刀ぐらい違うんじゃないかな?


正直、男性ってすごいね。

こんなのぶら下げて動けるとか気持ち悪さとかないものなのかな?


『あー、平塚紅さん?

流石に恥ずかしいのでそれ以上は勘弁してください。』


っと。そっか、私が意識の前面にでるだけだから剣太君の意識は一応私と繋がっているのか。

とりあえず今思った感想は誰にも言わないように。いいね?


『あ、はい。』



さてと。


「はじめまして、私と同じ天狐のお嬢さん。」


「私と同じ?

あなたは人間。妖狐族じゃない。」


んー、まぁ剣太君は人間だもんねぇ。

じゃ、こう尻尾を魔力でイメージしてみれば……


「!!!?」


よし、できたできた。

うん、魔力でできた半透明な10本の尾が私の後ろに作ってみたけど、やっぱりこれがないと物足りない感じでまともに戦える気がしないね。


「あなたはいったい……」


「言ったでしょ?

あなたと同じ【天狐】だよ?」


そういいつつ、問答無用に私は狐火の上位ともいえる‘宙狐の術’による火の壁を自分達の周りに張り巡らす。

これで周りに隠れ潜んでいた妖狐族の人達から邪魔が入らなくなるかな?


『え?周りいたんですか?』


「あれ?気付いてなかった、剣太君?」


妖狐族が用いる念話は‘役職解放’だと聞き取れないのかな?

今でも、「総隊長をお助けしろ!!」「いや、むしろ大先生呼んでこい」「いや、もうなんか宰相様動き始めたみたいだぞ」って飛び交っているんだけどね。


「この火力……信じられない……母様より上だなんて…」


そんな私をよそに、ショックを受けている彼女の言葉から、私の予想を確信し始めた。

というか、念話にでてきた名前からもうほぼ確信してる。


よし、そうとわかれば、より鍛練として可愛がってあげなくちゃ!!


「剣太君、私、全力全開で行くから、魂の鍛練、がんばってね♪」


『え!?ちょ、まグエッ!?』


私の強力な魂による負荷で剣太君が潰れたような声をだしたけど、まぁ多分大丈夫でしょ。小梅さんいるし。


私は使い慣れない刀を鞘に戻して、戦いの場で放心してしまっている隙だらけの少女へ容赦なく攻撃を始める。


まずは小手調べに狐火連弾を。

大量の狐火を認識した彼女はあわてて回避にはいる。


うんうん。ちゃんと火力の違いを理解しているね。

だけど未熟。


「ぐっ……」


回避できる場所をわざわざ作ったのは、そこに狡狐の術を仕掛けておいたからに決まっている。

辺り構わず仕掛けておくだけの貴方とは違うんだよ?


「このっ!!」


切り傷を負いながら、地面に手を置くと、私の目の前の土から大きな拳が飛び出してくる。


うん、上手だね、【紅狐】の力。土を操作して傀儡とするとはなかなか難しいことをよくできてる。

だけど、【紫狐】か【蒼狐】と思われるあなたじゃ、本家本元の【紅狐】を相手に使うのは間違っているかな?


迫ってきた拳に焦ることなく手を当て、私はそれを一瞬で土塊に戻す。


「なっ!?」


「純粋な【紅狐】だった私にその無機物操作能力をぶつけても意味ないよ、お嬢さん。

慣れているだろう、【紫狐】か【蒼狐】の力での攻撃を磨いた方がいいんじゃないかな?」


「!!!?

そ、そういうわけにはいかない!!私はお婆様のような立派な【紅狐】になって、滅びた【紅狐種】を復興させる必要がある!!」


…………まったく。祖母に憧れるのはわかるけど、己の適性を磨かないのは愚の骨頂だよ。

とはいえ、私で最後だった【紅狐】を復興させようだなんて、本当にいい子だねぇ。泣けてきたかも。


だからこそ、本物の力を見せ、そしてあの子の本来の力を教えなくちゃいけない。

まったく。あの現世神と分類される存在になった幼馴染みにはしっかり教えろと文句を言いたい。


「では、まずは本当の【紅狐】を見せてあげましょう。」


先程の土塊に手を置き、私はあの従僕達を思い浮かべる。


「さぁ、来なさい、【上海】【蓬莱】【和蘭】【鈴蘭】【仏蘭西】!!」


その言葉で土塊は5分割され、それぞれ人間の形をとる。


【上海】は褐色ポニーテールのボンキュボンな女性。

【蓬莱】は黒髪ロングの着物を纏った女性。

【和蘭】は赤髪ショートでアホ毛がある剣士の男性。

【鈴蘭】は薄い紫色のロングヘアーの美少女。

【仏蘭西】は傘をさした銀髪ロングの軍服美少女。


私が従える土人形の従僕達である。


「そんな……師匠から聞いた姿……まさか…ありえない……」


「さて、5人とも。目の前の天狐のお嬢さんにその力を見せつけなさい。」


その命令と同時に抜刀した【和蘭】と小太刀を構える【鈴蘭】が前に出る。

その後方で【上海】はサポート魔導を、【蓬莱】は攻撃魔導の詠唱に入る。

そして【仏蘭西】は指揮するようにカクカクと動いていた。


「ぐっ……5対1ぐらいなんてことはないはずなのに、なんという連携……」


剣を避け、小太刀を防げば、その隙に最下級魔法が飛んでき、そしてそれらをさばいていれば、前衛2名は回復や強化される。

それらを一斉に指揮しているのは優雅に立っているだけの【仏蘭西】だ。

彼女は土人形達の頭脳というポジション故に指揮能力が高いのだ。


いやぁ、懐かしいなぁ。

本当にこの人形のモデルとなったパーティーは強かった。

私と才人君、あと誰かでようやく互角にやりあえたほどだったからねぇ。

教国がそれぞれバラバラに戦わせなかったら、あの戦争には負けていただろうなぁ。


『くーちゃん、悪いんだけどこっちで、男子1名女子4名が恥ずかしいからやめろって言ってるんだけど?』


「最強のパーティーと誉めているからいいじゃないですか、と言っておいてください。」


刀の中にいるモデルの方々からのクレームを伝えてきた小梅さんへ私は笑顔で対応する。


「これが……勇者達の力………お婆様はこんな化け物を相手に……」


息も絶え絶えに戦う天狐のお嬢さん。

まぁ、本物と違って自我がないぶん弱いので1人で立ち回れるとはいえ、よくまぁ戦えていますね。


っと。そろそろ時間もないですし、彼女も来ますから、もうひとつの力を教えますか。


「もういいですよ、【上海】【蓬莱】【和蘭】【鈴蘭】【仏蘭西】」


号令で一斉に土塊に戻る忠実な傀儡達。

その猛攻に耐えた彼女を見据えて私は告げる。


「わかりましたか?これが本当の【紅狐】の力ですよ。

では、次にあなたの持つ力の可能性を教えてあげましょう。

さぁ、攻撃してきなさい。」


私の言葉に悔しそうな表情を浮かべながら、天狐のお嬢さんは狐火と冥狐の術を放ってくる。

改めてみるとなかなか上手いですね。

2つの技を組み合わせることで当たらなくても牽制となり、距離を一定に保ちながら戦うことができる、と。なかなか面倒な弾幕を張っているわけですか。

並の妖狐族や多種族ならかなり有効でしょう。


「ですが、まぁ、実力者なら無意味ですね。」


【紫狐】の力、‘死の宣告’状態を常に受けることで得ている衰弱耐性で、彼女からの‘死の宣告’を無効化。

【紫狐】のデメリットである衰弱は、【剛狐】が使える肉体強化の術、通称剛狐の術によって相殺。

そして今の攻撃によるカウンターとして【蒼狐】の力で念話を封じて、周りとの連携をとれないようにし、そして魔力を練る回路へ阻害をする。

狐火は纏っている魔力で打ち消せるから問題ないですね。


「な……なっ!?」


「わかりましたか?戦闘において恐ろしい衰弱相手に立ち向かえる防御力を持ち、反撃を打ち込める力というのを。」


もはや恐怖を感じてその場に座り込んでしまい、ガクガクと震える彼女に近付きながら私は説明する。


「く、来るな!!!」


狐火を放って私を近付けさせまいとするが、魔導妨害を得意とする【月狐】の力で打ち消す。


「ひぃっ!?」


もはや涙目でプルプルしている彼女。

というか、失禁していませんか?

…………もしかして、私、やりすぎました?



……ま、不味いですよ!!

お祖母ちゃんとして、自分に憧れる可愛い孫娘を鍛えてあげようとハッスルしただけだというのに、これでは嫌われちゃいますよ!!


『やれやれ。

とりあえずタイムアップだから、解除されるよ。

あとのことは、今から来る人に任せればいいかな?

ま、説明のためとかに私がこの500年で生み出した術式を使うのもありだけどさ。』


小梅さんからの声が聞こえてきたと思ったら、


(こう)様ぁぁぁぁ!!!!」


周囲を覆った火炎の壁を強引にぶち破って突入してきた有角九尾の女性を見て、小梅さんの言葉通り任せられると安心した私は英霊憑依を解除された。





ちなみに、


【上海】→【雛鑑定士】葵比奈

【蓬莱】→【左道使い】神楽坂照夜(カグラザカ テルヤ)

【和蘭】→【指導者】苗桐誠一

【鈴蘭】→【暗殺者】稲葉鈴千代(イナバ スズチヨ)

【仏蘭西】→【探偵】霧家響


となっています。

稲葉ちゃんと神楽坂ちゃんはいずれ活動報告のキャラ話で。

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