閑話 王国のとある一室にて
連続投稿2話目
《よろしかったのですか?わざわざ幼馴染みの彼が誘ってくださったのに行かなくて?》
「私はもうすでにあの男とは関係をなかったことにしてますから。
むしろわざわざ私を誘ったのか理解できませんね。」
《…貴方も大概意地っ張りですわね。
あまり意地を張ると大切なものをいざというときに失いますわよ?》
「大丈夫ですよ。
今ある情報と私の予知によれば、5ヵ月後に再会できますから。」
《本当に意地っ張りですわねぇ。
これが私ではなく、2番目の妹でしたら、愛だ恋だ、と騒がしくしていそうですわね。》
「余計なお世話ですね、それは。
私は恋愛なんて数学で解けないものに興味はないですから。」
《やれやれ……いつまでも意地やプライドを持ったままですと、大切なときに捨てられずに後悔しますわよ》
「……それは実体験ですか?」
《………そうですわね、えぇ。実体験ですわね。
もっと私がしっかりしていれば、あの時もっと早く異変に気付いていれば、あの子達をあんな目にあわせなくて済みましたもの。》
「…そうですか。
まぁ私から言えるのは、後悔するのは自由ですが、いつまでも引っ張るのは愚かですよ。」
《あらあら♪
それは実体験ですか?》
「………………ノーコメントで。」
《キヒヒ。そうですか。
それにしても感傷的になっていたとはいえ、この私を言い負かそうだなんてまだまだ甘いですわよぉ。》
「くっ……本当に性格が悪いですね。
本当に言われているように悪神じゃないんですか?」
《キヒヒ。それは今の私には誉め言葉ですわ。
妹達が皆から好かれるためでしたら、憎まれ役敵役は全て私が担うのが姉としての勤めですわよ。
私にとって、あの子達が私を慕ってくれていればそれ以上の喜びはないですわ。》
「わかりませんね。
私、兄弟姉妹がいませんので。」
《いずれ貴方もわかるときが来ますわ。大切な人達のためならば何をしても、されても構わないという心構えを。
あら?そういえば、そろそろ来るんじゃないですか、彼女達が。》
「……そうですね。
まだ言いたいことはありますが、時間がありませんね。
では、また今度お話いたしましょう、キョーザ様。」




