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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
プロローグ いざ、異世界に
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辻斬り、シャバに出る


俺、日村刀士郎は今、久しぶりの感覚に心踊っていた。


殺伐とした命のやり取りをするこの空気。

手に持つ刀の重量。

初めてあのクソッタレな天使共を切り裂けるという歓喜。

あぁ。懐かしい。この斬りたくて仕方がないテンションは!!


歓喜にうちひしがれながら、俺は今の肉体――黒金剣太の体をほぐしながらチビい天使に対して構えた。



――――――――――――


今の僕の状態を説明しよう。

今、僕、黒金剣太の肉体には日村刀士郎さんが憑依している。


この刀の術式、‘役職解放’は、刀に封印されている人の役職を自在に使える。

しかし、1人の人間にある魂を受け入れる器の要領では封印されている人物の力を万全に使うには足りず、つまり異能までは使えなかった。



しかし、僕だからこそできる手段があった。

そう。魂を受け入れる器の要領がないなら、作ればいいじゃない、というわけだ。



簡単に言ったが、実際はかなり複雑であり、そもそも目に見えないものを作らないといけないわけだから、大変なのだ。


が、白鬼院小梅さんの事前の説明で、僕の魂が入っている器をイメージでき、それを増やす感じでイメージした結果、あっさり作れてしまったのである。


そして、その器に刀を経由して魂をいれる、つまり肉体に憑依させているのだ。


これにより、役職だけでなく異能もまた使えるようになったのだ。

まぁ、まだ改善点は多く、特に体の主導権が奪われてしまっているのは明らかに問題だ。

まぁ、その辺は追々調節していく方向で、僕は日村刀士郎さんの戦いを見ることにした。


――――――――――――


「何をした?先程より魂の輝きがより増したぞ?」


腐っても女神様に仕えていた天使っつーわけか。

こっちが変わったことになんとなくだが気付いているみたいだな。



改めて交戦する前に体を確認するとしよう。


噛み千切られた左腕は綺麗に普通の腕と見た目は一緒の義腕をつけているが、なんか色々仕込まれているな。俺は使わないから知らん。


で、あっちで鍛え上げたおかげでデブかった体が細マッチョっつーの?しなやかに鍛えられた体に変貌している。結果にコミットってやつか。


で、目だが魔素の流れが見える。これは地味にありがたい。勘で斬らなくて済むから楽だ。


あとは練習の時同様異能は…OK。俺の異能は使えるみたいだな。



それじゃあ始めるとするか。


「さぁな、魂なんざ俺には見えないからわからねーよ」


小柄な天使の問いにそう答えて、俺は奴との距離を斬った。


「なっ―――」


眼前に突然現れ、刀を振りかぶった俺を見て慌てて奴は防御術式を張るが、俺の前では防御は無意味だ。



俺の異能“一人太刀(オーバーキル)”は一言で説明するなら、「なんでも斬れるし、なんででも斬れる」だ。


そこら辺の木の枝も、俺が振れば、甲冑纏った騎士でも一刀両断できる刃となる。


魔導だろうが距離だろうが光だろうが闇だろうが視認できるものならば、斬ろうと思えばすべて斬れる。


本来は目に見えない魔力の流れとか時間とか音とかも勘で斬れる。確実には斬れないが。


徒手空拳でも俺の拳はなんでも斬るし、蹴りだってなんでも斬る。


そして、どれだけ強固な防御術式を張られようと俺なら指1本、いや爪だけで叩き斬れる。


要するに俺の攻撃から逃れたきゃ、防御じゃなく、回避が正解だということだ。



俺はそのまま愚かにも防御に頼ったチビい天使に兜割りを打ち込み、術式ごと天使をまっぷったつに切り裂いた。

チビいのは、信じられない、という表情を浮かべたまま絶命し、落下していき始めた。


そして、切り裂いた死体と共に上から落下する俺はある感情しかなかった。



弱ぇぇぇぇぇ!!

もう終わりかよ、おい!!

弱過ぎだろ、おい!!ざっけんな!!もっと斬らせやがれ!!



安全に着地するために地面までの距離を斬って着地した俺は、今の一瞬の決着に硬直しているもう1人の天使と、そいつを倒すことなく足止めしつつ呆れた眼差しを向けてくる嘉納に声をかける。


「おい、嘉納!!

そいつも俺に斬らせろ。」


「日村君。これは黒金様が吹っ切れるためにちょうどいい試練ですよ?

それを既に吹っ切れているどころか、重要な線まで斬れてる貴方がやってどうするんですか?」


「知らん。とりあえず剣太は俺を使った。

なら、使われる身としては答えるまでだ。」


嘉納は、やれやれ、とため息をつき、「今回だけですよ、黒金様」と言って引き下がってくれた。


というわけでもう1人の天使を前にして再び俺は斬る体勢に入る。


「貴様は、さっきまでの人間とは違うな。

狂気を宿し濁った、それでいて清らかな矛盾した魂など感じたことがないぞ!!」


「そいつぁ、どうも。

じゃあ冥土の土産に名乗るか。俺は日村刀士郎。

500年前に召喚された、通りすがりの切り裂き魔だ。」


その言葉に奴は動揺の表情を浮かべる。

俺のこと知ってるのか?天使と斬りあったのは、殺されたときだけだぜ?

まぁいい。


「さぁ、その首、おいてけよぉ?」


そして再びさっきのチビいのにやったの同様、距離を斬ってから袈裟懸けをする。

が、寸でのところで避けられた。っち。


「日村刀士郎……貴様がベビルベリーの切り裂き魔だというのか!?」


「ああん?俺のこと知ってんのか?」


ベビルベリーの切り裂き魔の名前こそ知られているが、それが誰かまでは知られていないはずなんだが……?「知らぬはずがない!!

我が主、ウリエル様が片腕と引き換えに殺した狂気に落ちた元勇者の殺人鬼なのだぞ!!」


なるほど。

俺を殺したあのクソ強かったわりに頭弱い天使野郎が覚えてやがったうえ、伝えやがってたのか。

ただ、まぁ違うよな、うん。


「悪いが狂気に落ちちゃいねーよ。

俺は昔から色々な中身がどうなっているか見たいアクティブ研究肌でな。

で、環境が、自重せず人の中身を見てもいいようになっただけで狂気なんてまったく片鱗もないぞ?」


「ものすごく頭がおかしいことを貴方は言っているのですけどね。」


なんか嘉納の奴にめっちゃ呆れられた言葉をぶつけられた。


まぁ、普通は見てみたいとは思わないだろうな。そこはわかる。


だが、考えてみろ。

生物の体の構造が教科書通りかなんて見たこともないのに言えるか?

車や携帯とかが動いているのは本当に内部にある機械によるものなのか?


そういったことを知りたい俺の探求心を狂気扱いされるのは大変心外だ。


「この狂人が!!」


「だから人の探求心を狂気扱いすんな!!」


飛ばされてきた光の矢を斬り落とし、相手に向かって駆ける。

そして、


「六道輪廻滅多斬り!!」


輪廻転生が不可となるほどまで魂も肉体も細切れにする居合いもどきを放ち、天使はなすすべもなく、魂ごとこの世から消滅した。





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