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錬金術師(アルケミスト)の世界革命  作者: 悠々自適
プロローグ いざ、異世界に
35/92

迷い人、光線と交戦する


非常に面倒くさいことになった。


「どこに行くつもりだい、球磨川君?」


アホ勇者・織斑一誠が雪風と待ち合わせてた裏庭に現れやがった。

他にも姦しい女連中もいやがる。っち。ハーレムパとかもげろ。


「どこに行くも何も、俺が裏庭にいたらダメなのか、織斑?

お前はいつからそんなに偉い立場になったんだ、えぇ?」


俺は極めて冷静に、中学時代の頃のようにメンチをきる。

こういうのは向こうを折れさせるのが一番楽だ。


「とぼけるな!!野分を連れて何かをしようとしているんだろ!!」


「おいおい、待て待て。なんでそこで女帝の名前が出てくるんだ?俺はあいつと仲良くなんかねーよ」


「いや、今日の昼に君と野分が一緒にいるところを俺は見た。

俺だけじゃなく、ここにいるみんなも見たよ。」


そう言って織斑の後ろにいる女共を見ると頷いていた。

めんどくせぇ……見られてたのかよ、昼間、雪風と一緒に前田んとこ行くの。


シラを切ろうにも目撃者多数なら誤魔化せないし……めんどくせぇ。


「あら?誰が言い争っているかと思えば、脳無し玉無し意気地無しの3無し王子様と女子のグループじゃない。

どうかしたのかしら?球磨川君がそちらの女性陣の誰かにセクハラしたというのなら、今すぐ氷漬けにして制裁できるように準備するわよ?」


少し遅れてやってきた雪風に、ひどい濡れ衣を着せられた。


「野分!!なんで君はそういうことを言うのかな……俺は君がこの男に騙されていないかと心配しているのに。」


「はっ?あなたが私を心配する?思い上がりも甚だしいわね、勘違い男。

私がいつあなたに心配される必要があるというのかしら?そもそもあなたが何故私に口出しができると思っているのかしら?

あなたはなにも考えず、ただなんとなく表面上の正義を取り繕うためだけのくせに、よくもぬけぬけとそんなことが言えるわね。吐き気がするわ。」


「雪風、あんたちょっと言いすぎっしょ!?織斑君がせっかく心配してくれてるのにそういう態度ってどうなの?」


「じゃあ、あなたは勝手に相手の気持ちを決めつけて、全く検討違いなことを押し付けてくるような奴を喜んで受け入れ感謝するマゾなのかしら、光浦さん?」


うわぁ……絶好調だな、雪風。

言い返された光浦とか他の女子共、超震えてるじゃねーかよ。


「何こんなときまで言ってるんだよ、野分!!

その男に君は騙されているんじゃないのか!!」


「おいコラ、織斑。

誰が誰を騙しているだって?お前は雪風の何もわかっちゃいねーな」


「癪だけど、球磨川君が言う通り、何も知らないくせによくもまぁまだそんな妄言を吐けるわね。

私は自分の意思で球磨川君と一緒にいるのよ?」


「バカな!!そんなこと野分がするわけがない!!

俺がなずなにばかり構うから、意地を張ってるんだろ?」


その瞬間、雪風からの殺気がヤバいレベルにまで上昇した。

具体的に言えば、なんか周辺が氷始めたんだが………


「誰がなずなに嫉妬すると言うのかしら、自意識過剰のロクデナシ。

まさか私があなたに対して与えている罵詈雑言がなずなへの嫉妬から来ているだなんて勘違い甚だしいことをのたまうつもりじゃないでしょうね?

私がいつ、誰よりも憎い、畜生にも劣るあなたなんかに好意を抱いたのかしら?

あなたのようなお気楽極楽ノーテンキ脳無しに惚れる女子なんて、ただのアホかよっぽどの変態よ。」


「ゆ、雪風、落ち着け!!

凍ってる!周りから氷の柱とかでき始めてる!!」


これは本格的にまずい。

よくもまぁ、織斑は的確に雪風の地雷を踏み抜けるな、おい。おかげで周囲に大迷惑発生してるじゃねーか。


「野分…なんで……そうか。お前が…お前が野分を洗脳したんだな、球磨川!!」


ちょっと待て!?なんでそうなる!?

とんでもない濡れ衣がきたぞ、おい!?


突然、矛先を向けられて動揺してしまった俺に織斑が剣を向けてきた瞬間、何かが飛んできた。

が、視認するよりも早く俺に直撃し、後ろの城壁が崩れた。

……なんか直撃したが、なんともないな。何された?


「な、な、な…」


「嘘でしょ…」


「球磨川君!?」


……なんかよくわからんが、女子共も織斑も雪風も信じられないものを見る目でこっちを見ている。

女子共に至っては少し怯えていやがる。

いや、マジで何が起こったんだ?


「な、なんで平然としているんだ、球磨川!!」


「むしろ俺が聞きたいわ!!何したんだよ、お前!?」


俺の言葉に、「そんな…通じていないのか」と驚愕の声が送られる。


「おい、雪風。何が起こったんだ?」


「……そうね。簡単に言えばあなたにビームが照射された、ってところかしら。

当たれば死ぬのがわかるぐらいの一撃には見えたわよ。」


雪風の説明に俺は納得した。

なるほど、ビームか。光みたいなもんだから視認する前に当たるわな、そりゃ。

ま、そうとわかりゃ煽って逃げに回るに限る。


「なんだ。光線をぶつけてきたわけか。回避余裕の技だったからわからなかったわー」


「白々しいまでの嘘ね……」


雪風がボソッと呟いたが無視する。


「さぁて、弱っちい攻撃しかできない勇者様よぉ〜もう手がないなら、俺は行かせてもらうぜ?」


「ふざけるな!!何をしたかは知らないけど、君みたいな危険人物を放置するわけにはいかない!!

みんな、力を貸して!!」


そういうと少し怯えながらも女子共がそれぞれ詠唱を始めたり、武器を抜いて迫ってきたりし始めた。

まぁ、中学ん時、ちょーとお灸を据えに50人の不良を叩きのめしたときに比べれば怖くはないが、武器だけじゃなく役職や異能にも気を付けなくちゃならんから面倒くさいなぁ、おい。


「あなた、何者なのよ、球磨川君……まぁいいわ。だったら私が彼女達全員を相手してあげるわ。」


雪風の心強い言葉のあとに吹雪と鋭利な氷の刃が女子を襲う。

容赦ねーな、おい。流石だわ。


「さて、織斑。俺は真正面からお前から逃げさせてもらうぜ?」


「そうはさせない!!野分の洗脳は解除してもらうぞ!!」


そう言って俺に近付き剣を振るうが、はっきり言って型がなってねぇ。

いや、実戦の動きではあるがド素人な動きだ。

お袋に体術での対武器戦闘をしこたま仕込まれた俺からすれば、赤子も同然だ。

当然、回避した攻撃は空を切り、その隙に織斑の持ち手を叩いて武器を取り落とさせる。


「くっ。君はろくに戦えないはずだろ!!

なんで俺より強いんだよ!!」


「バカか、お前。

てめーはただ伝説の勇者と同じ役職ってだけで、最強とは言われてねーだろうがよ。

そもそも俺は剣道・柔道・合気道・空手・カポエラ・その他諸々を両親から仕込まれてんだ。1ヶ月程度しか鍛えてない素人なんざに遅れはとらねーよ。」


現役の警官の親父と、元陸上自衛隊のお袋に感謝だな、うん。


「なっ!!だったらどうしてその強さでみんなのために戦おうとしないんだ!!」


「みんなのため?アホらしい。

俺は昔から自分のためにしか戦ってないし、中学ん時からは自分や黒金、前田達のためにしか戦うつもりはねーよ。

俺にとってのみんなはそいつらだけだ。」


まぁ、正確にはかつての俺は自己満足のためだけに戦っていたんだけどな。


「そんなのおかしいだろ!!俺達はクラスメイトなのに!!」


……ダメだ、こいつ。

自分の価値観は他人も同じだと思ってやがるせいで、話を聞きやしねぇ。


「お前の価値観を押し付けるな。よくまぁ、今までそんなんで生きてこれたな、お前。」


「押し付けてない!!俺は正しいことを主張しているだけだ!!」


織斑は蹴りを放つが、【迷い人】の力で避けるまでもなく回避する。


「てめーの正しさは誰が保証してくれてんだよ!!」


そのまま空手の要領で蹴りを打ち込むと織斑は突き飛ばされた。

とはいえ、あまり手応え、いや足応えがないところからして、強化魔法なりなんか使ってるな、ありゃ。

織斑が蹴り飛ばされて女子共から悲鳴に近い声が上がるが、そこに容赦なく雪風の氷の魔術が飛んでくるため、どうしようもない。


「俺の…俺の正しさはみんなが保証してくれている!!」


「はっ!!笑わせる。

大衆の掲げる正義なんざ変わりやすく、綺麗事でしかねーよ。

てめーのは正義でもなんでもなくただの自己満足だろ。」


………とまぁ、口ではこう言うが、ある意味、自虐だよなぁ…中学ん時の俺とかまさにこれなんだよな。黒歴史が目の前にいる感じで、とにかくつらいわ……


「君に何がわかる!!」


そう言って再び俺にビームを放ってきた。

さっきは不意討ちで気付かなかったが、撃つ瞬間、光がでるんだな。

で、それを認識したとほぼ同時に直撃か……俺じゃなかったら死んでるな、こりゃ。

にしたって、こんな目立つ大きさのビーム撃たなくてもよくねぇか?もしかして威力=太さ×溜め時間か?


「くそっ!!なんで当たらないんだ!!」


「なぁ、織斑。

お前のそのビーム、ある程度の太さと溜め時間ないと威力ないだろ?」


「!?何を!?」


ビンゴ。どうも当たりみたいだな。

つーか、言われて簡単に反応するとか、戦いに向いてねぇな、うん。

喧嘩にせよ何にせよ手がバレたら危ないっつーのにな。


「もうお前は脅威じゃねーわ、織斑。

ネタがバレた手品は面白味がないぜ?」


「何を言って…」


「何って、手品の心得とか、喧嘩に対する心構え?」


【迷い人】の力で後ろをとりながら話しかける。

ここで攻撃を加えないのは、いつでも後ろをとれるというプレッシャーと警戒心を与えるためだ。


「ふざけるな!!俺の“光の導き(ライトヒーロー)”が手品だって!?」


「“チョロい英雄(ライトヒーロー)”か。いい名前の異能だな、織斑。」


笑みを浮かべて煽れば、青筋たてて織斑はビームを撃ちながら落とされた剣を拾って再びこっちに構えてくる。



「あら?球磨川君。まだ終わっていないの?」


そこに死屍累々という形で7人いた女子を倒し、雪風がきた。


「俺はお前みたいに戦闘訓練受けてないからな」


「あら?警察官のお父様や元陸上自衛隊のお母様から仕込まれたんじゃないのかしら?」


「……読めるのかよ、交渉してないのに。」


雪風に嘘とか誤魔化しができない気がしてきたぜ……


「野分!!」


「安心しなさい。峰打ちで気絶させただけよ。」


「いや、峰打ちってなんだよ……」


まぁ、流石に巻き込まれただけで殺されなかったんだから、彼女達は運がよかったんだろうな。


とそこに、


「火事だぁ!!」


「裏庭から爆発音がしたぞ!!」


「魔族が攻めてきたぞ!!」


という声とともに足音が聞こえてきた。


めんどくせぇ。

大勢に見られる前にどっかに転移して逃げるとするか。


そう思って、雪風に声をかけようとした時、体全体が痺れたように動かなくなった。


「へへっ……捕まえた!!」

雪風が倒した7人のうち、リーダー格の1人、九十九里浜浦風が杖を構えていた。

俺を拘束したってことは魔術師か!!

記憶だと九十九里浜は【左道使い】っつー魔法使いだったはずなんだが、偽装か?そんな頭回るようなキャラじゃないと思うんだが……


「落ち着きなさい、球磨川君。

逃げるんでしょ。おそらく硬直の呪いだから、ちょっとすれば解けるわ。」


硬直の呪い……なるほど。呪いは魔術に分類されているわけか。


「絶対にクマーは行かせない!!」


九十九里浜は杖を構えて呪文を唱え始める。

つーか、なんで『行かせない』なんだ?『逃がさない』じゃないのか?

あと、クマーって誰だよ。俺か。


そうこうしている間に、雪風は特大の猛吹雪を一帯に起こし、俺達を覆うことで援軍を妨げた。

……ん?吹雪だからめっちゃ気温下がって、織斑とかは震えてるのに、なんで俺は寒くないんだ?

雪風のやつ、俺にだけ温度操作の異能で……ないな。雪風が俺にするわけがない。

………まさか、そういうことか?


ある仮説を思い浮かべながら、動かない体を動かそうとしてみた。


「さて、何もできない貧弱男、それからまさか私の一撃を耐えて不意討ちの一発をかましてくれた九十九里浜さん。

悪いけど、私は目的のためにここから出たいの。だからこれ以上足止めするというなら………殺すわよ?」


殺気が倍増しやがった、雪風のやつ……

寒さも加わって真っ青な顔ながら、それでも負けないような意思を浮かべた表情をして九十九里浜は言い返す。


「ゆ、雪風さんはズルい!!

クマーと仲良くなって、一緒に駆け落ちしようなんて!!」


あぁん!?何言ってんだ、あいつ!?


「なっ!?駆け落ち!?何を言っているのかしら、九十九里浜さん。

なんで私がなずなを尋問するような、この世の悪とも言える男と駆け落ちすることになっているのかしら!?」


雪風の声が動揺のあまり、上擦った。

つーか、高町に質問しただけで尋問とか言われるような脅しチックなことはしてねーよ。


「なずなに尋問!?」


「「役立たず(織斑君)は黙って!!」」


「アッ、ハイ」


……なーんか、変な方向に話進んでないか?

織斑のやつ、完全に寒さで震えながらその場から動けなくなってるじゃねーか。寒さだけが原因じゃねーだろうけど。


「だいたい、雪風さんがクマーを罵倒するとき、無表情とか嫌悪感向けてるつもりだろうけど、目が笑ってたり、口元緩んでたりするし!!」


「言いがかりはやめてちょうだい。

そもそも、私が球磨川君と話したのは今日が初めてなのよ?」


「………気付いてないんだ…へぇ。なんだ。まだ勝ち目あるんだ。」


「勝ち目?気付いていない?あなた何を「雪風!!今のうちに逃げるぞ!!」っち。なんであなたはこのタイミングで動けるようになるのかしら?」


雪風はめちゃくちゃ睨んできたが、いや、それ、俺は悪くないだろ。

まぁ、俺もなんか気になる話ではあるが、そういうこと言ってる場合じゃねーし。


そうしているうちに雪風が俺の近くに来たので、腕をつかんで一緒に転移しようとした時だった。


「行かせるか!!」


「逃がすか!!」


一瞬で俺のそばに九十九里浜が来たと思ったと同時に、呆けていた織斑が再起動してビームを放ってきた。


「おいっ!?」


九十九里浜の不意討ち出現抱き付きと織斑からのビーム回避ということを意識した結果、俺は‘転移先を思い浮かべずに’転移をしてしまった。





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