1クラス、異世界の説明を受ける
国王 ―ヘンリー8世― は僕達の召喚について話始めた。
「まずは私達の願いで貴殿らを呼び出し、来てくださったことを大天使様に感謝を捧げよう。
私達の世界は恐らく勇者の貴殿らとは大きく違う世界だと認識している。
というのも、500年前にもまた、我がベビルベリー王国は35人の勇者達を召喚し、その時の伝承が色々と残っておるからな。」
500年前にも僕たちみたいに召喚された人がいたのか……テンプレだわぁ……
「さて。本題に戻るが貴殿らを召喚した理由は貴殿らの持つ力で我ら人間種を救っていただきたいのだ。
今、この世界には人間種に仇なす存在が多数おる。
それは魔族や魔獣人共だが、その辺りは追々説明を受けるであろう
500年前より人間種に仇なす連中はここ百数年で数は減ったものの、我らを襲い、そして滅ぼそうとしておる。」
……人間に害なす存在がいて困っているとか、なんというテンプレな現状だ。
クラスメイトの多くはまだ理解しきれていないのか呆然と聞いているが、
僕の親友にして(ry)の球磨川の、常日頃から死んだ魚の目のように生気のない目がさらに死んでいる。
前田も同様にあまりにもテンプレ過ぎて苦笑いしている。
そんなことに気づくことなくヘンリー8世は話を続ける。
「我々も抗ってはいるが、魔獣人共も魔族も並みの相手では話にならないほど強く、太刀打ちができない。
しかし、貴殿ら勇者はこの世界に呼ばれると、【役職】だけでなく“異能”をも持つ、並みではない存在になるのだ。
その力を持ってして、我ら人間種を助けるために力を貸していただきたい。」
ヘンリー8世の発言を聞き、またクラスメイトはざわつき始めた。
それもそうだ。役職というのはよくわからないが、異能力を持っていることがわかり、そして自分たちが頼られる存在であると言われれば自然と高揚する。
僕だって現状の理解は今一つだが、自分にラノベの主人公のような力があると思うと興奮を抑えられない。
そんな中、まず真っ先に1人の男子、織斑が発言し始める。
「お話はわかりました。僕たちに助けを求めているのでしたら、喜んで力になろうと思います」
ふぁい!?何か勝手にクラス全員が協力することが決まった!?
僕が驚いているのと同様に球磨川は苦虫を潰したような渋い顔を、前田は真顔で引いていた。
しかし、織斑を慕う取り巻きやクラスメイト達は動揺しているものの、「織斑が言うのなら」と賛同し始めている。
確かに異世界だから勝手がわからないし、協力を求められるならそれに従った方が安全かもしれないが、自分以外まで決めないでほしい。
案の定、彼の発言で喜色の顔になっているこの世界の人々に1人の女子が発言する。
「そこの愚者は協力すると勝手に決めつけてきましたが、私は反対を、とまでは申し上げませんが、少し意見を述べさせていただきます」
女帝・雪風野分である。