1クラス、異世界に呼ばれる
「おぉ、勇者達よ!!」
朝のHRが始まり、そして気付いたら目の前におとぎ話にでてくるような、中年でどこかコミカルなテンプレチックな王様のような人がいた。
辺りを見渡せば、僕――黒金剣太――以外にもクラスメイト及び担任がパッと見、全員いる。
クラスの中心とも言えるイケメンキャラの織斑一誠やその取り巻きたち。
その織斑の幼馴染みで、それなりに僕と仲良くさせてもらっている美少女の高町なずなさんに、
もう一人の幼馴染みにして女帝と言われるほど孤高の存在で憧れの的でもある雪風野分さん。
あとオタトークのできる親友にして悪友にして盟友の球磨川四万十と前田慶一。
パッと見ただけでも良くも悪くも目につくクラスメイトは確認できた。
次に今いる場所の確認をしてみる。
石造りの柱や床から見て、まるで中世のお城 ―某ハリポタの学校を彷彿とさせる― の内部のような、いかにもファンタジー世界のようなところだ。
周囲には槍や剣を持った、これまた今の時代では見かけない前時代な風貌をした兵士が何人かいるし、
王様みたいな人の少し後ろには金髪ストレートロングで、ピ○チ姫みたいな衣装を着たお姫様っぽい感じの美少女がいるし、
なんというか、こう、まるで異世界召喚されたテンプレみたいな状況だ。
うーむ。まだ朝のHRが終わったばかりだし、流石に寝落ちしたとは考えにくいが、なんだ、この状況?
「あー、どなた様でしょうか?」
今いる僕がわかる人の中で最年長になる担任の岩野緑郎先生が状況がわからず困惑しざわつくクラスの中、話しかけてきた王様のような人に尋ねる。
その問いに王様みたいな人は、おほん、と咳払いをしてから、柔和な笑みを浮かべ、
「私はベビルベリー王国第28代目国王、ヘンリー8世だ、異世界より呼び寄せた勇者達よ。貴殿らの力をお借りしたい」
と答えてきた。
その解答にクラスは「何?何かのドッキリ?」「勇者とかwww」「お、おう?」「うん、夢だな」などとよりざわつきが大きくなり、質問した緑郎先生は面食らったように呆然としている。
……どうやら、異世界召喚されたテンプレだと思っていたら、マジで異世界召喚されていたようだ。