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連奏恋歌〜愛惜のレクイエム〜  作者: 川島 晴斗
第四章:哀婉のセレナーデ
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閑話3:沙羅と瑞揶の交換日記

いちゃいちゃ回。


次回より、五章です。


 これはまだ瀬羅が帰ってくる前の話。

 学校が終わると、私と瑞揶は家に2人きりでまったりとお茶を飲んで過ごしたりしている。


「……しんみりするわねぇ」

「そうだねぇ……」


 いつものようにソファーに座りながら瑞揶と話し合う。

 もちろん、隣り合ってるといってもべったりとくっつきあって。

 私たちは恋人なのだ。

 お互い好きあっていて、家族で、愛し合っている。

 こういう日々が過ごせて嬉しい。


「沙羅はにゃーですね~」

「……にゃーってなんなのよ」

「……なんだろね?」


 私が聞いたのに、アホな顔して聞き返してきた。

 ……まったくもう。


「アンタねぇ……私が惚れているとはいえ、男らしいところ見せないと離れていくわよ?」

「……にゃーっ、それは重大っですねーっ」

「……呑気にしてんじゃないわよ。本当に私がどっか行ったらどうすんのよ?」

「そのときは全力で連れ戻すよ」

「…………」


 にこやかに笑って言う瑞揶。

 本気なのか嘘なのか……いや、本気よね。

 コイツが私に嘘付くこと、なかったもの。

 私は家事するって言ったのに、結局やってないって言うのに……。


「……今度からは本当に家事やるから。本当に」

「……急にどうしたの?」

「ちょっとね……」


 瑞揶が訊いてきても対応に困って目を逸らす。

 私……主婦になれるのかしら?

 いっそのこと、どこかの企業に働いた方が身のためかもしれない。

 というか50年義務教育だし、その間にやりたいこととか見つかるかも。


「……さーらっ、こっち向いてっ」

「ん……? んーっ……」


 振り向いた瞬間に唇を奪われた。

 こういうことも最近ではよくあることだ。

 考え込んでいた頭がとろけて何も考えられなくなってしまう。

 唇を離されると少し糸を引いた。

 なんだかイヤらしい……なんて思っているとおでこをコツンとぶつけられる。


「沙羅は好きなようにしてていいんだよーっ。自分勝手で強気な沙羅が、僕は大好きだもの」

「……私がしおらしかったら嫌いになる?」

「性格が少し違うぐらいじゃ嫌いになんてならないよ……。愛してるよーっ、沙羅」

「……そっ」


 愛してるという言葉に頬が緩む。

 どうしてそんなにも純粋に、愛してると言ってくれるのか。

 私は嬉しくて、彼の膝の上に座り、優しく抱きしめる。

 優しくキスを1回。

 返すように瑞揶からもう1回。

 これをもう1度繰り返し、おでこをこすり合わせる。

 こうやってキスをするのが幸せを感じられて、とても好きだった。


「ねぇ、沙羅。僕と日記を書かない?」

「日記?」


 至近距離で訊いてくる瑞揶に、私は疑問を返した。

 彼はニヤニヤと笑いながら意図を話す。


「そう、日記だよ~っ。夫婦の仲をよくする秘訣なんだって」

「ふっ……夫婦?」

「……もう夫婦みたいなものだよね。沙羅が言ったんじゃないか~」


 忘れたの~? と言って私の頬をつんつん突っつく瑞揶。

 まぁ、夫婦みたいとは言ったけど……。


「で、日記なの?」

「うん。交換日記やって、お互いに普段言えない事やお願いなんかも書くの。喧嘩したとき、謝りにくかったら日記でもいいしね~っ」


 大発見でもした科学者のように凄さを自慢してくる。

 そう言うならやらないでもないけど……。


「いいけど、飽きないでよ?」

「……僕より沙羅の方が飽き性だと思うけどなぁ。とにかく、やってみよーねっ」

「ええ……」


 こうして、私たちは交換日記を書くことになった。

 ……私って、そんなに飽き性かしら?







 ○月×日:(月):雨

 日記初日から天気が悪くて、ちょっと心がジメジメしてます。

 今日も何事もなく1日が終わりました。

 朝早起きしてご飯とお弁当を作って、洗濯もして、それから学校に行って勉強と部活。

 帰って来たら洗濯物を畳んで掃除して夕飯を作って、お風呂を沸かして……。

 こうして書いてみると、僕って結構忙しいのかもしれない。

 でも、暇があるよりは忙しい方が充実している気もするし、特に嫌でもないからこの生活スタイルは崩しません。

 その後は洗い物して、寝るまで沙羅と一緒と、やっぱりいつもと変わらない。

 あと、沙羅が夕飯で人参を残していたのが印象的だったかな。

 味付け変えたから食べてもらったけど、それでもダメだったみたいでちょっと残念。

 また調理方法を変えてみます。

 美味しく食べてくれたら嬉しいな。


 瑞揶






 ○月△日:(火):晴れ

 人参は食べれないって言ってんてしょうがっ!!!

 だから、その辺は諦めなさいっ。


 さて、私も今日これといって変わった事は起きないでのほほんと過ごしたわ。

 アレね、やっぱり変わったことが欲しいわね。

 上の方で瑞揶が忙しそうだから一緒に家事をするのもいい……というか、将来はどうせ嫁になるんだから家事とか変わってくれればいいのに、とか思ってるわよー。

 瑞揶の方がいろいろ上手だから、仕方ないんだけど……。

 瑞揶はどっちがいいと思う?

 気になるから明日返事書いといて。


 沙羅






 ○月▽日:(水):曇り

 一緒だと嬉しいというか、幸せですっ。

 それより、なんで嫁になる〜のところを何度も書き直してるのか気になります。

 書き直した跡に全部嫁って書いてあるのがわかるし、書き直す理由が謎なんだけど……。

 今日の部活では昭彦がギターを折ったのが面白かったけど、奏者として楽器は大切にして欲しいと思った。

 まぁ、レリにたくさん注意されてたし、この先は心配ないね。

 あと、スーパーで売ってたチョコケーキを見て、最近甘いもの作ってないなと思ったから明日何か作るよ〜。

 沙羅は普段からお菓子食べ過ぎだから、明日は少し控えるよーにっ。


 瑞揶






 ○月・日:(木):晴れ

 瑞揶って、私が太っても気付かないと思うんだけど。

 それはともかく、書き直した理由は黙秘します。

 少しは察しなさい、バカ。


 今日は部活もなく、早く帰れて瑞揶と一緒に家事を手伝えて良かった。

 やっぱりテレビ見てるより、瑞揶と一緒の方が幸せでいい。

 夜になって瑞揶がチョコケーキ作ってくれたから、私も明日何か作ろうと思う。

 だけど、きっと上手くできないから瑞揶、手伝ってね♪


 沙羅






 ○月*日:(金):晴れ

 えっと、怒ってないからね?

 ほんとのほんとだよ?

 その、小麦粉のボール投げつけたのは驚いたけど、滑って転んだのは仕方ないし、沙羅が悪いんじゃないからね。

 誰だって転ぶことはあるんだから、いいのっ。

 シャワー浴びるのだって気持ち良いし、むしろ1日2度入れて良かったというか、とにかく、僕はあんな些細なことで沙羅の事を嫌いになるなんてありえないから、気にしないのっ!

 明日には元気出してよね?


 それと、結局ホットケーキになっちゃったけど、美味しかったよ。

 また一緒に作ろうね。

 こんな毎日が送られて幸せです。


 瑞揶





 ○月□日:(土):曇り

 抱きつく時間を制限するのはホントにやめてよー。

 瑞揶抱きしめられなくて寂し過ぎて死んじゃうわよ?昨日の日記が嬉し過ぎたからぎゅーっ!ってしてただけなのに……。(いじいじ)

 制限解除してくれないとキスするけど良いかしら?

 というか、そろそろキスくらい良いわよね?

 フフッ、明日は覚えてなさい♪


 沙羅






 ○月▲日:(日):晴れ

 たくさん言ったけど、不意打ちのキスは禁止だからね?

 もう、次やったら泣くどころじゃ済まないよ。

 理性保てなくて沙羅にめちゃくちゃなことしても知らないからね?


 ともかく、今日は半日ぐらい僕は警視庁に行って仕事をしてて、帰って来たら不意打ちされて、沙羅とずっと一緒にいた。

 キスされるにも心の準備とか必要で、不意打ちはホントに泣く。

 急にされると、こう、いきなり感無量でダメ。

 ちゃんと確認を取らないとダメだよ?

 ……明日は手本見せるから、覚悟するよーにっ。


 瑞揶



「……なんだか、読み返してみると恥ずかしいね?」

「言わないで……」


 あれから2週間ばかり経過して、なんとも恥ずかしい文章が連ねられていたことを悟る2人なのであった。

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