古びた 石 地 蔵
誰からも忘れられた石地蔵さまです
あの静かな町の曲がり角
誰からも忘れられたまま
道端にちょこんと立っている
背の低い古びた石のお地蔵さま
雨の日も風の日も真夏日も
どうか無事故で元気でねと
道行く人を毎日見守ります
冬の冷たく寒い日お空から
白い白い雪がさらさらと
雪雲が年末のご褒美に
お地蔵さまに白い雪帽子を贈ります
お地蔵さまがありがとうと微笑むと
雪雲が良い御年をと言って去りました
翌朝、お日さまが御覧になって
あらあら一晩中、寒かったでしょうと
白い雪帽子を溶かしぬがしていくと
寒くても心は温かいのですと
お地蔵さまが微笑み
凍えた身体を温めてもらい
お日さまありがとうと微笑みました
春がきてお地蔵さまのまわりに
タンポポの花があたり一面に咲き
蝶々が舞い、つくしも沢山伸びました
小鳥が来ておしゃべりしていきます
お地蔵さまも楽しく微笑んでいます
ある日カラスがやってきて
一人ボッチで淋しくないのと聞くと
大空も太陽も月も雲も星も雨も風も
雑草も虫も小鳥もいるから
一人ボッチじゃないと言います
周りはやさしい愛がいっぱいだからって
もう何百年も前からここにいて
雨風台風にさらされすり減って
苔に覆われただの古い石像なのに
お顔はほんのり微笑んで見えるのです
秋の夕暮れカラスがやってきて
オレンジ色の甘柿を一玉置いていきました




