第三十一話 学校裁判
零「な...なんで...」
僕から出てきた言葉は率直な疑問だった
ネル「担当医にお願いして、外出を許可してもらったの」
よく見ると、ネルの体にはあちこちに包帯が巻かれていたりボロボロだった
ネルはおぼつかない足取りでこちらに歩みよってきた
ネル「ねぇ零...」
ネル「なんで離れようとするの?」
ネルは一歩また一歩とこちらに歩み寄ってきて
零「や..やめろ...」
僕は一歩また一歩と後ろに後ずさった
零「僕は人殺しなんだ...」
零「ここにいちゃいけない存在なんだ....」
零「じゃないとみんなにも迷惑がかかる...」
零「だから....」
ドンッ!
その瞬間僕の胸に衝撃が走った
ネルが僕の胸に向かって飛び込んできたのだ
ネル「私はそれでもいいって言ってるのっ!」
ネル「言ったじゃん...私はあなた以外と幸せになるぐらいならあなたと地獄をみたい....」
ネル「私はあなたから離れない!!」
ネル「離れたくないっ!」
ネル「クラスが学校が社会があなたを拒絶しても...」
ネル「私だけはあなたの隣にいる!!」
ネル「自主退学なんて許さない!!」
ネル「絶対に!!」
零「.......」
僕はネルのその言葉を聞いて....
零「悪いな....ネル」
ネル「ど...うして...」
僕はネルを拒絶した
僕は抵抗できないネルをイスに丁寧に座らせ...
ドアの方に向き直った
零「無理なんだよ....」
零「おかしいだろ....」
零「お前は何もしてないのに、僕のせいでお前まで後ろ指指される」
零「僕はそんなの...耐えられない....」
零「もう十分だネル」
零「お前の気持ちは伝わった」
零「お前はもう、僕のために傷つかなくていいんだ」
零「今までありがとう」
零「じゃあな」
僕がそう言って、生徒会室の扉を開けた時...
一「あぁもう!クソッ!」
一「おい!待てよクソ兄貴!」
後ろから一に声をかけられた
僕は振り返って
零「?」
一「俺はお前から全てを奪ってやりたかった」
一「でも....お前から居場所は奪えなかった...」
一「お前の事を好いてくれる人がいる」
一「地位や名誉は奪えても、居場所だけは奪えなかった」
零「......何が言いたいんだよ?」
一「だからな....」
一「俺はお前からもう何も奪わないって事だ」
零「.....は?」
零「何言って....」
一「俺達は周りを巻き込みすぎた」
一「もう俺達兄弟だけの問題じゃないんだよ」
一「だから俺はもうお前から何も奪わない」
一「ただ勘違いすんな」
一「俺はお前を許したわけじゃない」
一「俺は一生お前を許さない」
一「ただな...」
一は7年ぶりに僕に笑みを浮かべ
一「長かった兄弟喧嘩も今日で終わりだ」
一「後は好きに生きろよ」
一はそれだけ言い残し、僕の隣を通り抜け生徒会室から出て行った
生徒会室は一瞬静まった
しかし少女がある事に気づき..
ネル「聞いたでしょ!?」
ネル「もう零は自由に生きていいんだよ!!」
ネル「自主退学する必要なんてないんだよ!!」
ネル「ねぇ零....」
ネル「もういいんだよ...」
ネル「ここにいてよ....」
零「......」
僕はネルにそう言われた
しかし....
零「違う....」
僕はそれすらも否定した
零「僕が人を殺したという事実は変わらない」
零「一が僕を許そうが一の発言がなかった事になるわけじゃない」
零「一が僕を許そうが、社会が僕を許さないんだ」
零「僕はこれからも白い目で見られ続ける」
零「ネルとはどう足掻いても一緒に居れないんだよ」
零「その未来は変えられない」
ネル「.....」
僕はそれだけ言い残し、生徒会室を出ようとした
だが....
ルル「じゃあ社会的に許されればいいんだな?」
ルル「じゃあ....」
ルル「裁判するか?」
後ろからそんな楽観的な提案がされた
僕はこの人は何を言っているだと思い、思わず
零「は?」
そう返してしまった
零「何言ってるんですか?」
零「小さい頃にそれができなかったから今こうなってるんでしょうが...」
ルル「お前は別に公的に捌かれる必要なんてない、あくまでお前の過去を知ってるのはこの学校だけだ」
ルル「だから、この学校から許されればいいんだ」
零「でも...そんな事できるわけ...」
ルル「ここに宣言しよう」
ルル「私、一条ルルは....」
ルル「明日生徒総会を開く!!」
すごい気迫に僕はこの人は適当にこれを提案したわけじゃない事を感じた
ルル「議題は今話題の神谷零を在学させていいか否か」
ルル「この生徒総会で賛成票が多かった場合神谷零の在学を認める」
ルル「ただ、反対票の方が多かった場合はお前はこの学校を去れ」
ルル「いわば...」
ルル「学校裁判だ」
零「.......」
僕はルルさんのそんな提案に呆気にとられ....
零「好きにしてください....」
零「やったとしても結果なんて変わりませんよ?」
零「僕の退学を1日伸ばす、それがルルさんのやりたかった事なんですか?」
零「それでもいいってなら勝手にやってください」
零「じゃあ、もういいですか?」
シキ「.....なぁ、神谷」
それまで黙っていたシキさんが声をあげた
シキ「案外未来ってもんは...」
シキ「信じてればなんとかなるもんだぞ?」
合理性からかけはなれたその発言に....
零「.....シキさんらしくない発言ですね」
僕はそう言い残し
今度こそ生徒会室を後にするのだった
第三十一話 終了
次回、最終話




