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第二十九話 命の灯火が消えるその時まで

零「ん....」

僕が次に目を覚ました時はそこは知らない天井だった

零「ここは....」

僕がそう言葉を発すると....

???「....やっと起きたか」

隣から声が聞こえてきた

零「!!!」

僕は思わずそちらに視線を向けると

そこには見慣れた人物がいて....

零「ル、ルルさん...」

ルル「あぁ、そうだ」

ルル「文化祭はとりあえずいるメンバーでなんとかした、安心しろ」

零「そ、そうですか....」

ルル「あぁ....」

零「......」

ルル「......」

気まずい....

そりゃそうだろ

僕の命は本来ならあそこで潰えるはずだった

でもなぜか僕はここに存在している

もうルルさんとなんてもう話す事はないだろうと思っていたため、何を話せばいいのかわからない

零「一ついいですか?」

ルル「あぁ...なんだ?」

僕は寝たまま会話するのは失礼かと思い、痛む体を無理矢理ベッドから起こした

零「ルルさんはどこまで知っているんですか?」

ルル「.....どこまでか....」

ルル「まぁ簡単に言えばみんなと同じ所と言ったらいいか?」

ルル「体育館がやけに騒がしいから私が体育館を見に行った」

ルル「そしてそこらへんにいる生徒に状況を聞いたら」

ルル「神谷零は3人も人を殺した殺人鬼だとな」

零「......」

ルル「そりゃ私も驚いたが、このままじゃいけないと思い他の生徒会メンバーも呼びなんとかその場を沈静化させた」

ルル「生徒会が終わった後神谷一を問い詰めたら」

「言葉通りの意味ですよ」

ルル「返ってきた言葉はそれだけだった」

ルル「私も詳細な事は知らん」

ルル「だからこそ....お前から聞き出そうと思ってな」

零「.....」

零「もう一ついいですか?」

ルル「あぁ、構わない」

零「ここはどこですか?...」

ルル「ここは病院だ」

ルル「お前は昨日病院に緊急搬送されてな」

ルル「ここは一般病棟だ」

零「そうですか...」

ルル「あぁ....」

零「......」

ルル「.......」


零「もう一つだけいいですか?」

ルル「なんだ?」

零「なんで僕は助かったんですか?」

ルル「お前が昨日海に飛び込む所をたまたま目撃した人がいてな」

ルル「その人の通報によってお前は助かった」

ルル「運が良かったな」

僕はルルさんのその言葉に引っ掛かりを覚えた

零「で、でもどうやって!?」

零「あの荒れてる海ですよ!?」

零「飛び込んでから通報したって間に合うわけない!」

零「救急隊がきた時にはもう海の藻屑だ!!」

零「なんで僕は...」

零「生きているんですか...」

零「それもこんな軽傷で...」

ルル「......」

ルルさんは少し悲しそうな顔をし....

ルル「救急隊はお前を海の中で見つけたわけじゃない」

ルル「通報を受けた場所から少し離れた砂浜でお前を見つけたらしい」

ルル「お前だってもう分かってるんじゃないか?」

ルル「お前はその現実から目を逸らしたいだけだろう」

ルル「そんなわけないと思い込みたいだけだろ」

零「.....」

ルル「お前が認めないなら言ってやる」

ルル「....ネルがお前を助けたんだよ」

零「っ!!!」

あぁ、薄々気づいていた

なぜ今僕の隣にいるのがネルじゃなくてルルさんなのかずっと疑問だった

でも僕はそれを信じたくなかった

零「...ネルは....」

零「ネルは今どこにいるんですか....?」

ルル「......」

ルル「....集中治療室だ」

零「なっ!?」

ルル「そりゃそうだろう」

ルル「あの荒れてる海に飛び込んで手の感覚だけでお前を見つけ出しあの荒れ狂う波に抵抗して砂浜に戻ってきたんだ」

ルル「当たり前だがお前より重傷だよ」

ルル「.....まだ意識も戻っていない....」

零「......」

ルル「......」

ルル「お前の質問に答えてやったんだ」

ルル「私の質問にももちろん答えてくれるよな?」

零「.....なんですか?」

ルル「私はお前に二つ程質問したい」

ルル「まず一つ目」

ルル「そんなに....」

ルル「お前にとって私達生徒会はそんなに信用できなかったか?」

ルル「私達に少しでも頼ろうとは思わなかったのか?」

零「.....」

零「言えるわけ...ないじゃないですか...」

零「生徒会のみなさんが大好きだったからこそ、僕はずっとこの事実を隠すつもりだった」

ルル「....そうか」

ルル「じゃあ二つ目だ」

ルル「まぁこれは質問というか私の個人的に聞いておきたい事なんだが...」

零「大丈夫ですよ」

ルル「そうか?」

ルル「じゃあ....」

ルル「なんでお前死のうとなんてしたんだ?」

零「え...」

僕はそんな思ってもいなかった質問に素っ頓狂な声が漏れ出た

ルル「これはあくまで私が聞いておきたい事だ...」

ルル「私達はお前、ネル、一を除いた生徒会メンバーで話し合いをしたんだ」

ルル「お前を生徒会から除籍するかどうかの話し合いをな」

零「....」

ルル「そしてその結果....」

ルル「お前を生徒会に在籍させる事にした」

零「なっ!?」

零「自分が何を言ってるか分かってるんですか!?」

零「もう生徒会のイベントはない、僕はもういらないんですよ!!」

零「在籍させる意味なんてない、いやむしろ在籍させる事で生徒会のイメージダウンにしか繋がらない」

零「それが分かってるんですか!?」

僕は声を荒げて言った

しかしルルさんは声のトーンを変えずに続けた

ルル「あぁ、分かってる」

ルル「たださっきも言っただろう?」

ルル「私達はお前の断片的な情報しか知らない」

ルル「なのにお前を勝手に殺人鬼だと断定して、追放するのは違うと思ってな」

ルル「満場一致でこの結論になった」

零「......」

ルル「ただ、命は私達の許すなんて言葉で片付いていい程軽いものじゃない」

ルル「これはあくまでお前がなんでやったのか知らないから保留にしてるだけ」

ルル「いわば猶予だ」

ルルさんの声のトーンは低いものに変わり

ルル「だからな....」

ルル「私はお前の質問の答え方によってはお前を許さない」

ルル「私は死が償いだなんて思っちゃいない」

ルル「死は逃げだ」

ルル「お前が全てから逃げたかった、もう嫌だったなんて言ってみろ」

ルル「私はお前を本気で退学にまで追い込んでやるぞ...」

ルルさんは僕が今まで見た事のないような怖い顔をしていた

ルル「再度問おう、神谷零」

ルル「お前はなんで死のうとした?」

零「......僕は...」

零「自分が死ぬ事で全てが解決する、そう考えました」

ルルさんは少しホッとしたような顔をした

どうやら最悪な回答は回避したらしい

ルル「なんでそう思ったんだ?」

零「....僕は空っぽなんですよ...」

零「僕には何もなかった」

零「最初から僕に価値なんてなかったんですよ...」

零「僕が死んだら、一、学校、世界全てが喜ぶ...」

零「いやちがうよな...」

零「僕は死ぬべき存在だ」

零「今も変わらないんだ....」

零「なんなら今からでも!——」

僕がいい終わる前に.....

バチンッ!!

僕の頬にじんわりと熱を感じた

零「え」

数秒経ってから

ルルさんに頬をビンタされたのだと気づいた

ルル「.....な」

ルル「ふざけるなぁっ!!」

零「っ!!」

ルルさんは涙を流していた

僕は人生で初めてルルさんが涙を流す所をみた

ルル「お前に価値がないだって!?」

ルル「じゃあそんな価値がないお前を命を賭けてまで助けたうちの妹はなんなんだよ!!」

ルル「無駄だったね?ってか?」

ルル「ふざけるな!!」

ルル「命を軽く見るな!!」

ルル「お前は悪いと思ってるんだろう...」

ルル「じゃあ生きろ」

ルル「生きて生きて生きて」

ルル「お前の命の灯火が消えるその時まで罪と向き合い続けろ!!!」

ルル「それがお前にできる最大の償いじゃないのか!?」

ルル「分かったなら死ぬなんてもう二度と口にするなっ!!!!」

ルル「はぁ....はぁ....はぁ....」

ルルさんは本気で怒り慣れてないのか、息を切らしていた

ルルさんは居心地が悪くなったのか

ドアの方に向き直り

ルル「ネルの様子を見てくる...」

そう言って一歩また一歩と歩を進めた

ドアの手前で止まり...

ルル「神谷、これだけ約束しろ」

ルル「お前の処罰はまだ決まっていない」

ルル「だから....」

ルル「お前の体が完治し、生徒会メンバー全員が集まった時、生徒会室にこい」

ルル「そこで....」

ルル「お前の全てを話せ」

ルル「話は以上だ」

ルル「私はもうお見舞いにはこない」

ルル「じゃあな」

ルルさんはそれだけ言い残し、病室から出て行ってしまった


零「......」

零「僕の全てかぁ....」

零「言えるわけないよなぁ....」

僕はそんな事を考えていた

しかし....

「お前の命の灯火が消えるその時まで罪と向き合い続けろ、それがお前にできる最大の償い」

というルルさんの言葉が頭の中で反響した

零「.....そうだよな」

零「もう逃げるフェーズは終わったんだよ」

零「いつまでもガキのままでいるつもりだ?神谷零」

零「僕はもう逃げない」

零「僕はもう真っ向から一に向き合って」

零「そして...」

零「生きて全てを終わらせる事にする....」


第二十九話 終了

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