第二十八話 救いを拒んだ結末
零「......」
僕は海へ向かって倒れた
しかし....
僕の体が海に投げ出される事はなかった
なぜなら....
???「.....何してるの」
僕はある人物に後ろから抱き締められた
零「....ネル...」
ネル「......」
ネル「なんで....」
ネル「私から離れないって約束したじゃん...」
ネル「なんで守ってくれないの....」
零「.....」
僕は波がより一層荒れたらネルも危ないと思い...
零「とりあえず砂浜の方に行かないか?」
場所を移す事にした
ネル「.....うん」
僕達は砂浜にまで移動した
しかしネルは僕が逃げる事を恐れてるのか
ネルの拘束が外れる事はなかった
零「....なんで来たんだ」
ネル「....このまま追いかけなかったら零がどこかに行っちゃうと思って...」
零「!!!」
僕はネルのその言葉に...
零「お前はその言葉の意味がわかっていってるのか!?」
零「僕はもうあの場所には帰れない」
零「戻れないんだよ!!」
声を荒げて言った
零「お前は一の言葉をなんも聞いてなかったのか!?」
零「僕は犯罪者なんだよ——」
ネルは僕の言葉を遮り
僕以上に声を荒げて
ネル「そんなの分かってるに決まってるじゃんっ!!」
ネル「私が零を追っかけたら私まで危ない」
ネル「そんなの私だって分かってるよ!!!」
ネル「でもしょうがないじゃん...」
ネル「考えるより先に体が動いてんだよ」
零「....なんでお前はそこまで....」
ネル「好きなんだよ...」
ネル「零は知らないだろうけど...」
ネル「私は零がずっと前から好きだった...」
零「あぁ、知ってるよ...」
ネル「全然分かってないっ!!」
ネル「零は全然わかってない!!」
零「.....」
ネルに後ろから抱き締められているためネルの顔は見えない
しかし見ずとも分かってしまった
ネルは今にでも泣き出してしまいそうだった
しかしネルは言葉を止めず...
ネル「私は零が...」
ネル「恋愛的に大好きなんだよ!!!」
零「!?」
ネル「離れないでよ...」
ネル「私はあなたが大好きなのっ!」
ネル「あなたがいない人生なんて私は耐えられない」
ネル「あなた以外と幸せになるぐらいなら、私はあなたと地獄を見たい...」
ネル「だから...」
ネル「私といつまでも一緒にいてよ...」
ネル「あなたがあの学校に居たくないなら私はあなたとどこまでも逃げ続ける」
ネル「私はあの場所を....」
ネル「全てを捨ててもあなたを選びたい...」
ネル「だから零...」
ネル「私と....」
ネル「付き合ってよ!!!」
零「.......」
それは少女の心の底からの愛の告白だった
僕が大好きな少女の告白だった
あぁ....ネル嬉しいよ...
あぁ、嬉しくないわけがないのだ
大好きな少女からの告白
大好きな少女と両思いだった
その事実がこんな状況でも、僕の胸を踊らせた
今すぐ後ろを振り返ってネルを抱きしめ返したかった
僕も大好きだと声を大にして伝えたかった
大好きな少女との逃走劇
そんな人生も悪くないと思った
........
ただ.....
その感情が僕の弱さだと分かっていた
僕はこれ以上ネルに迷惑をかけられない
かけたくない...
だから....
零「.....ネル」
零「告白の返事だが.....」
零「答えはnoだ」
零「早く学校に戻れ」
僕はその告白を断った
ネル「っ!!!」
ネル「なんで....」
ネル「私の事嫌いになっちゃったの?」
ネル「私零のためならこの人生を投げ捨ててもいいと思ってるんだよ!!」
ネル「だから——」
胸がズキリと痛んだ
今すぐにでも嘘だと言ってやりたかった
それでも....
零「は?何言ってんのお前?笑」
僕は下卑た笑みを浮かべ
零「嫌いになった?」
零「何勘違いしてんだよ....」
零「お前の事なんて出会った時から好きじゃねーよ」
ネル「え....」
僕は罪悪感を感じながらも...
心を鬼にした
零「なんか勝手に好きになった所わりいけどさ笑」
零「あくまで俺は一から逃げるためにこの学校に来てただけなんだわ」
零「お前と接していた<神谷零>は全部演技なんだよ笑紛い物にすぎない」
零「お前が好きだった神谷零はもうどこにもいない」
零「分かったならさっさと離れろよ、不愉快だ」
ネル「な...なんで....」
ネルはそれでも僕から離れなかった
しかし抱きしめる力が弱まったため....
ネル「キャッ!」
僕は振り返ってネルを砂浜の方に向かって突き飛ばした
ネルはその場で倒れ込み
ネル「零......」
大粒の涙を流して泣き崩れていた
僕はそんなネルを見て....
満面の笑みを浮かべ
ただ一言
「——ネル....幸せになれよ!——」
僕はそうネルに向かって言ってから...
砂浜を駆け出した
ネル「ま、待って!!」
僕はネルのそんな言葉も無視して
足を止めなかった
僕は海目掛けて一直線に走り...
あぁ....
終わりか....
ただなぜだろう...
これから死ぬというのに、嘘のように心は晴れやかだった
最後にネルに会えたから?
ネルと両思いとわかったから?
いや....きっと両方なのだろう
あぁ...
出来る事なら僕がこの手で幸せにしてやりたかった
ただ....それは叶わない
僕の手はすでに汚れてしまっている
だから....
僕の事なんて忘れて幸せになってくれ!
それが僕から君にできる、最後の願いだ
........
ルルさん....
シキさん....
ひよりさん....
ユノ....
そして....
ネル
あなた達に出会えて、僕の人生は幸せでした
こんな幸せな気持ちで死ねるなんて、僕は幸せ者なのだろうな
さぁ....
今度こそお別れだ
もう悔いなんてない
今はただ、愛しき人にさよならの感謝を
あぁ....
零「さよならだっ!世界!」
僕はそう叫び...
砂浜を蹴り、大きく飛び上がった
そして僕が次に地面に足をつける事はなく
バッシャァァァン!!!!
大きな水飛沫をあげ
僕の体は深い深い闇に呑まれるのだった
第二十八話 終了




