第二十七話 帰れない場所を想う
零「はぁ....はぁ....」
僕はただ逃げていた
体育館から逃げ
そして学校からも飛び出し
僕は行く当てもなかったが足は止めず、ただ学校から離れるためだけに足を動かしていた
零「あーついてねえな」
僕は呑気にもそんな感想を抱いていた
天気は大荒れ
ザーザーと僕の体を打ちつける雨は、着々と僕の体温と体力を奪っていた
流石にこのままでは体の方が持たないため少し休憩しないとなと思っていると...
零「.....ここにするか」
僕は休憩に最適な場所が見えてきたため、そこまでは走る事にした
その場所は普段は観光スポットとして人で賑わっているが、今日みたく天気が荒れてる日には誰も近づこうとしなかった
そう、僕が向かった場所は...
海だ
僕は砂浜に腰を下ろし、一度考え事をする事にした
零「....なんでこうなっちまったんだろうなぁ」
零「......」
零「これからどーすればいーのかなー」
零「いや!前回みたく転校するのがやっぱ最適解か!」
零「そうだよな!」
零「いやーこの学校も楽しかったけどしょうがない!」
零「離れるしかないよな!」
零「なんなら次は一が追って来れないように隣の県なんて言わずにもっと遠くでも行くか!」
零「アハッ!アハハ!アハハ!」
零「アハッ....」
僕は自分の口元を触ってみた
自分の口から出た言葉とは真逆に、僕の口元は少しも笑えていなかった
それに気づき....
零「っ!!!」
僕はどうにもならないと分かっていても怒りに任せ砂浜に何度も拳を打ちつけた
零「何をバカな事言ってんだよ...」
零「転校してまた一から人生を?この学校を離れる?」
零「それができないくらもう僕はこの学校に染まってしまっているじゃないか....」
零「なんでこんなんになるまで気づかなかったんだ...」
零「......」
零「結局また振り出し、か」
零「....あぁ、今頃みんな怒ってんのかなぁ」
零「いや、僕の本性知って嫌われてるのかもな笑」
零「....アハハ」
僕はただ呆然と空を見上げて
零「やだなぁ」
零「見たくない、認めたくないなぁ」
思わず口から出た
学校に戻りたくなかった
学校に居場所がない、みんなから白い目で見られる
それももちろん嫌だった
しかし...
僕は、あの大好きな生徒会のみんなから嫌われているのをこの目で確認するのが怖くてたまらなかった
僕はそんな時...
ネルの言葉を思い出した
「私はあなたにどんな事情があろうとも絶対に離れない」
零「!!!」
零「そうだ!ネルなら!」
零「ネルだけは僕の味方でいてくれる!」
零「世界が僕を拒絶しようが、ネルだけは隣にいてくれる!」
零「あぁ、そうだ僕には居場所がある!」
零「帰っていい居場所があるんだ」
零「行かないと...」
僕はそう思い腰をあげようとしたが...
零「あ...れ...?」
僕の腰が上がる事はなかった
体がそれを拒んだ
ただ理由なんて明白で...
零「....そうだよな...」
零「犯罪者風情が何を勝手に一人で舞い上がって居場所だ居場所だ!」
零「って...」
零「きもちわりい...」
僕が今仮に学校に戻ってネルが僕の味方になってくれたとしよう
じゃあネルはどうなる?
....犯罪者の味方としてネルにまで石を投げられる...
僕はこれ以上ネルに迷惑をかけたくなかった
零「結局僕に学校に戻るなんて選択肢なかったな笑」
僕の口からは乾いた笑みしか漏れ出なかった
零「あぁ、学校に戻れないならどーすっかな」
零「家に戻ってもいつかは学校の人間が押しかけてくるだろうな」
零「僕はこれからどうすれば....」
零「.......」
僕はその時、あるものが目に入った
零「あぁ、そうだよな」
零「まず僕がこれからの人生をどう生きるかだなんて考える事が傲慢すぎたんだ」
零「あぁなんだ笑簡単な事だったじゃないか笑」
零「ゴミはゴミ箱へ」
零「小学生でもわかる一般常識」
零「僕は誰にも必要とされてなかった」
零「最初から居場所なんてなかったんだ」
零「世界に、みんなに、迷惑をかける僕というゴミは世界から消えるべきだよな笑」
僕は先程までぴくりとも動かなかった腰が嘘かのように軽く上がった
零「...なぁ一、お前はこれで満足か?」
零「これがお前の望んだ結末か?」
僕は一歩一歩と海に近づいた
今日の海は悪天候によりとても荒れていた
例えるなら....
一度海に入ってしまえば戻ってこれないような、そんな海だった
零「僕が死ぬ事によって世界、学校、そして一」
零「全員が救われるんだ」
零「終わりにしよう」
零「.......」
零「ただ一つだけ」
零「ただ一つだけ願わくば」
零「もう一度だけあの場所に帰りたい...」
零「みんなに...あの5人に会いたかったなぁ...」
零「....僕にはもうそんな権利すらなかった」
零「さぁ、終焉の時だ」
僕は後一歩踏み出せば海に落ちるという所まで歩き..
零「....これで、全部終わる」
零「誰も傷つかないで済む...」
零「やっと...終わりだ...」
零「あぁ....」
零「さよなら、世界...」
僕は最後にそう呟き....
全身の力を抜き
前方に倒れるのだった
第二十七話 終了




