曇る空、揺れる心
ひより「文化祭2日目も楽しんでいけますかー!?」
全校生徒「おー!!」
ひより「え?昨日より声ちっちゃくないかー??」
ひより「2日目楽しんでますかー!?」
全校生徒「おーー!!!!!!!」
ひより「うむ、やる気に満ち溢れてるね!」
ひより「今日はきのう以上に楽しむぞー!!」
全校生徒「おー!!」
昨日と同様ひよりさんの煽りから文化祭はスタートした
零「とうとう始まったな2日目」
零「今日は頑張んないとな」
ネル「うん...」
覇気がない返事が聞こえてきたネルの方を見ると、ネルは暗い顔をしていた
零「どうした?そんな暗い顔して?なんかあったか?」
ネル「ほら....天気...」
零「あぁ、荒れてるもんな」
今日の天気は大荒れだった、雨が強く暴風注意報なども出ていたため中止になるんじゃないかという噂がたつ程だった
零「まぁ...天気に文句言ってもしょうがないだろ?」
ネル「そうだけどさー」
ネル「天気が曇るとなんか心も曇っちゃうんだよー」
零「なんだそれ笑」
零「まぁ外に出る事ないからいいじゃん?」
零「ほらっ早速これから演劇の発表あるからな」
零「今日は仕事するぞ!」
ネルの顔も少しだけ明るくなり
ネル「うん!」
と、だけ返してくれた
そして時は経ち昼時....
ネル「つ、疲れたぁ」
零「マジでな....」
あまりにもステージが忙しく僕達は生徒会席に座り休憩していた
ネル「お姉ちゃんこれ昨日一人でやってたの??」
零「....あの人厳しいけど腕は間違いないんだよな...」
ネル「はぁ....」
僕達はお互いに息を切らしながら話をしていた
零「まぁ、次は生徒会企画だ」
零「僕達の番じゃない」
ネル「やっと休めるー!!」
僕達が二人、そんな会話をしていると...
コツコツと音を立てながらステージ上に上がり、そいつは話始めた
一「さぁさぁ、みなさんお待ちかね、生徒会企画<ユートピア>のお時間です!!」
観客「いえーーーい!!!!」
一「この企画はこちら側で募ったメンバーにステージ上に上がってもらい話をしてもらう」
一「話の内容は馴れ初め、好きな所、愛の大きさ、なんでも構いません!」
一「5分程話してもらった後に好きな人をステージ上に呼び出し告白をしてもらう!」
一「そしてその恋の行方を会場にいるみんなで見届けるというものです!!」
一「いええーーい!!!」
一「映えある一人目はこの方!」
一「3年2組の宮坂さん!ステージに上がってください!」
一がそう言うと、観客の中から一人の女子生徒が出てきてステージに上がった
宮坂「私には好きな人がいまーーす!!!」
会場「だーれー?」
その女子生徒は緊張しているからかマイク越しでもわかるぐらい呼吸が荒くなっていた
しかし決意を固めたのか...
宮坂「3年4組の....」
宮坂「シキ君です!!」
会場「いえーーい!!!!!」
宮坂「私がシキ君を好きになったのは———」
零「やっぱシキさんってモテるんだな」
ネルと二人で生徒会企画を見ていた僕はそう言葉を溢した
ネル「そりゃあねー」
ネル「私絶対誰かしらはこの生徒会企画で告白すると思ってたもん」
零「ハハッ、予想的中じゃん」
零「でもさ...」
ネル「?」
零「シキさんここにいると思う?」
ネル「......」
零「僕絶対こういう色恋沙汰シキさん興味ないと思うんだが....」
ネル「.......」
零「シキさん見にきてなかったらどうするつもりなんだろうな」
ネル「.....まぁ、一君がなんとかしてくれるでしょ」
ネル「多分....」
零「多分かよ....」
僕達はただその告白の結末を見届けるしかなかった
坂宮「———と、いうわけで!」
坂宮「私はシキ君の事が好きになりました!」
会場「ふぅーー!!!」
その女子生徒は語り終え...
一「坂宮さん、熱いスピーチをありがとうございました!」
一「では、これよりショータイムといきましょう!」
一「告白タイムです!!」
一「坂宮さん!お願いします!」
一から合図を受け取った女子生徒は...
一「シキ君ーー!!!!」
そう叫んだが....
.......
その呼びかけに反応するものは誰もいなかった
坂宮「.....あの...生徒会役員さん?」
坂宮「この場合はどうしたら....」
一「....少し待ってもらっていいですか?」
一はポケットからスマホを取り出して、どこかに電話をかけた
その人物は意外とすぐに電話に出てくれ....
一「あ!シキさん?もしもし、僕です一です」
一「実は今生徒会企画の最中なんですけど、シキさんに告白したいという方がいまして....」
一「.......」
一「え?いや、めんどくさいってのはわかるんですけど....」
一「シキさんがいないと始まらないんですよ!お願いします!」
一「........」
一「!!!!いいんですか!ありがとうございます!」
一「はい!3分ぐらいですね!」
一「待ってます!」
一は電話を切りスマホをポケットにしまい、会場側に顔を向けて...
一「3分程でこちらに着くらしいので、もう少々お待ちください!」
坂宮「.....はい」
一「......」
坂宮「.......」
いやなんだよこの時間!!気まずすぎるだろ!!
そうして数分が経ち....
その人物は体育館に姿を現した
一「!!シキさん!」
シキ「うぃーお疲れー」
一「じゃあ、一旦ステージ上がってもらっていいですか?」
シキ「......」
シキさんは渋々ステージ上に上がり...
一「では!いよいよ告白タイムです!」
一「坂宮さん!お願いします!」
坂宮「あっあの!....」
シキ「.......」
女子生徒は顔を赤らめ、逆にシキさんはすまし顔をしていた
シキさんは身長が高く、女子生徒がシキさんを見上げ、シキさんは見下ろす形で告白が行わられていた
坂宮「じっ、実は!」
坂宮「ずっと前からシキ君の事が好きでした!」
坂宮「付き合ってください!!」
シキ「.......」
シキさんは表情をぴくりとも動かさず...
シキ「悪いな、気持ちは嬉しいが、お前のその気持ちには答えられない」
坂宮「ど、どうして...」
女子生徒は少し涙目になっており...
坂宮「りゆうを...理由を教えてください!」
シキ「.......」
シキさんは少し遠くを見つめて、全てを諦めているかのような寂しげな笑みを浮かべ
シキ「俺とお前とじゃ、立ってるステージが土俵が...」
シキ「住む世界がちげーんだよ」
シキ「だから俺はお前に恋愛感情を抱く事はない」
シキ「今日もこれからもな」
シキ「だから俺の事なんか忘れて幸せになってくれ」
シキさんはそれだけ言い残して、体育館から去って行ってしまった
一「...やらない後悔よりやって後悔」
一「坂宮さんの勇気ある行動にみなさん拍手をお願いします!」
一のその発言により、体育館は暖かい拍手で包まれた
一「では続いてエントリNo.2」
一「2人目はこの人だ!———」
零「なぁ、ネル?」
ネル「なぁに?」
零「これ、本当におもしろいか?」
ネル「おもしろいんじゃない?」
零「7人目まで告白して7人全員好きな人がシキさんのこの企画がか?」
ネル「.....面白いんじゃない?」
零「面白いわけないだろ!!!!」
零「シキさん3人目ぐらいから次も俺なんだろうなって察して体育館から出なくなったし!!」
もはや生徒会企画の趣旨を告白大会じゃなくて、シキさんと付き合える女性は誰か!?に変えたほうがいいレベルである
ネル「あ!でも8人目の人は男の人だよ!!」
ネル「シキさんじゃないよ!」
ステージ上には確かに男子生徒が立っていた
零「大丈夫かよ...」
シキさんの事だから男の人すらもガチ恋させてる可能性が捨てきれないのが怖い所である
中村「みなさんこんにちは!1年2組の中村翔太って言います!」
中村「突然ですが僕には好きな人がいます!!」
会場「だーれ!?」
中村「僕が好きなのは...」
中村「同じクラスの白石凛さんです!」
会場「いえーーい!!!」
中村「白石さんの好きな所は———」
中村「———という点にベタ惚れしてしまいました!」
会場「いえーーい!!!」
一「では!イッツショータイムといきましょう!」
一「中村さん!お願いします!」
中村「白石凛さーん!ステージに来てください!」
数秒の静寂の後...
女子生徒がステージに一人上がった
中村「あの....実は!」
中村「ずっと前から白石さんの事が好きでした!」
中村「付き合ってください!!」
白石「えっあ....」
白石さんはどう返せばいいのか分からなかったのか、少しおどおどとして...
白石「お願いします....」
そう言って男子生徒にハグをした
会場「キャーーー!!!!!」
生徒会企画ユートピア初めてのカップル誕生だ
零「そうそう!これがこの企画の醍醐味だよ!」
会場がお祝いムードでどんちゃん騒ぎしている中少し離れた場所で僕はそんな発言をしていた
ネル「何醍醐味って?さっきの女子達も本気だったんだけど?」
零「いやまぁそうだけどさ....」
ネルが少しムッとした顔したので僕は少し気まずさを感じつつ言葉を止めなかった
零「でもやっぱりこの企画は成功した方が盛り上がるよ」
ネル「まぁ、そーなんだけどねー」
僕達がそんな会話をしていると....
9人目の生徒がステージに上がった
.....ん?
しかし僕はその9人目の男子生徒に何か違和感を感じていた
なんだ...こいつ?なんか胸がモヤモヤするような....
そんな事を考えていると....
一「では9人目の方を紹介します!」
一の司会が始まった
一「9人目はこの方です!!」
その男子生徒はマイクを持って自己紹介をし始めた
桐谷「みなさんこんにちは!桐谷隼人って言います!」
桐谷「俺には大好きな人がいます!」
桐谷「しかしその好きな人に前告白したところ振られてしまいました....」
桐谷「そのため今回はリベンジです!」
桐谷「絶対に今回は付き合ってみせます!」
桐谷「俺がその人を好きになった訳は———」
零「あ.....」
そこまで言われて僕はようやくその違和感に気づいた
こいつ....
この前ネルに告白してた奴だ....
僕はネルの方に視線を向けると....
ネル「.......」
ネルは黙ってステージ側を見ていた
桐谷「——という訳で僕はその人の事を好きになりました!」
一「なるほど、そのお方は誰なんですか?」
桐谷「2年4組の一条ネルさんです!!」
一「ハハッおもしろいですね」
一「シキさんに続いてまたもや生徒会メンバーですか」
一「では!告白タイムと行きましょう!」
桐谷「ネルさーーん!!ステージ上に来てください!!」
桐谷がそう言うと...
ネル「.......」
ネルは一歩また一歩とステージに向かって歩き出した
そんなネルに...
ネル「?」
僕は思わず腕を掴んで引き留めていた
ネルはフッと笑みを浮かべ...
ネル「大丈夫、すぐに帰ってくるからさ笑」
そう言ってステージ上に行ってしまった
僕は...
零「ネル.....」
無力にも、そんな言葉を呟く事しかできないのであった...
第二十五話 終了




