優しい嘘と私の我儘
時は流れ後日
僕は生徒会室に来ていた
一から逃げるよりもあいつを側で監視した方がいいと思ったからだ
ただ....
めちゃくちゃ気まずい....
幸いにも生徒会には一の発言について問い詰めてくる人はいなかった
今生徒会は案が決まったため役職ごとに2・2・1で動いている
広報は別枠なため1人で仕事をしていた
のだが....
いかんせんネルに露骨に避けられている
零「....なぁネルここの形式なんだが....」
ネル「あ!お姉ちゃんそういえばあの件はどうなったの!」
零「......」
これである
ただでさえ一の発言でクラスで孤立しているのに、ネルからも避けられて流石に不登校になりそうだった
ルル「........」
ルル「あぁ、その件はな———」
そうして生徒会が終わり僕は帰路についた
もちろん帰る時も一人だ
そうして私は帰路につき家に着くと...
ルル「ネル、落ち着いたら私の部屋にこい」
一緒に帰っていたお姉ちゃんが家に着くや否やそんな事を言って自分の部屋に去っていった
ネル「?」
私はご飯やお風呂、課題など全てやる事を終わらせ、お姉ちゃんの部屋に向かった
ガチャリ
ルル「......来たか」
ネル「どうしたの?急に呼び出したりして」
ルル「少し話がしたくてな」
ネル「話?」
ルル「あぁ」
ルル「まあ、立ち話のなんだし座れ」
そう言ってお姉ちゃんは自分が座っているベッドの隣をぽんぽんと叩いてき...
私はお姉ちゃんの隣に腰をかけるのだった
そしてお姉ちゃんは大きく息をつき話し始めた
ルル「神谷と喧嘩でもしたのか?」
ネル「!?」
ルル「.....やっぱりか..」
ルル「で?喧嘩の原因はなんだ?」
ネル「....なんでお姉ちゃんにそんな事言わないといけないの....」
ルル「あのなぁ」
ルル「後2ヶ月で生徒会は終わる」
ルル「生徒会が終わったらお前達はクラスメイトって関係しか残らない」
ネル「っ!!」
ルル「このままギスギスして生徒会が終わったら確実に疎遠になって、関わりがなくなるだろうな」
ルル「それでもいいのか?」
ネル「....いやだ..」
ルル「だから第三者である私が聞いて解決方法を考えた方がいいだろ」
ルル「どっちも素直じゃないんだからな...」
ネル「......」
ネル「神谷一君っているじゃん?」
お姉ちゃんはニコッと笑い、頷いてくれた
ルル「あぁ」
正直話すのは嫌だった...
でも...
このまま関係が終わるのはもっと嫌だった
ネル「お姉ちゃんも察しているだろうけど...」
ネル「神谷家の事情は複雑なんだよ...」
ルル「あぁ、そうだろうな」
ルル「一の発言で過去に何かがあったのは感じたよ」
ネル「あれはまだ一学期の時、一君が来る前にさ、私零の過去を聞いたんだよ」
ネル「.....って言っても、今回の一君の発言が理解できないあたり本当に一部しか話されてないんだろうけど.....」
ネル「それでも私は話してくれて嬉しかったし」
ネル「壮絶な過去だったから、これからは頼って欲しかった」
ルル「......」
お姉ちゃんは無言で話を聞いてくれた
ネル「零ってさ一君が来てから明らかに元気がなかったじゃん??」
ルル「あぁ、そうだな」
ネル「だから私は聞いたんだよ」
ネル「大丈夫?って」
ネル「そしたら零は笑って誤魔化した...」
ネル「零の事情だし私が首を突っ込むのも違うと思ったからさ私は頷く事しかできなかった」
ネル「そして先日」
ネル「一君の生徒会あいさつがあったよね?」
ルル「あったな」
ネル「あそこで一君は本来原稿に書いていない意味深な発言をした」
ネル「クラス同じだから分かるんだけどさ...」
ネル「あの後、零クラスから孤立してるんだよ」
ネル「何したんだよ...みたいな感じでさ」
ネル「一君に攻撃された上に、クラスからも攻撃された」
ネル「そして零は生徒会に来なかった...」
ネル「だからさお姉ちゃんに許可もらって生徒会抜けて零探しにいったじゃん?」
ルル「あぁ、真剣に頼み込んで来るもんだからな」
ルル「許可出さずにはいられないだろ」
ネル「私校舎中探し回ったんだよ」
ネル「でも...零はどこにもいなかった」
ネル「そして私はいる訳ないと思いつつ...」
ネル「ラスト探してなかった場所に向かった」
ネル「でも....」
ネル「現実はむなしくそこにはいた」
ネル「何かを思い詰めた様にベンチに腰をかけて、ただ茫然と一点を見つめる零が...」
ルル「屋上?でもあそこは...」
ネル「うん、立ち入り禁止エリア」
ネル「立ち入り禁止エリアでただ茫然と一点を見つめて座り込んでる人」
ネル「そんな人が平気な訳ないじゃん」
ネル「だから私は駆け寄って声をかけた」
ネル「頼ってくれないの?って」
ネル「そうしたら零はここまできてなお笑って誤魔化したの」
ネル「私それに怒っちゃってさ笑」
ルル「......」
ネル「別に言いたくないなら言わないで良かった...」
ネル「事情は話せなくてもただ頼って欲しかった...」
ネル「不安なら側にいたし、安心させたかった」
ネル「ただ....甘えて、頼ってほしかった...」
ネル「それでも零は頼るどころか最初から困ってないーって言ってきてさ」
ネル「....悲しかった」
ネル「嘘つかれて、誤魔化されて」
ネル「零にとって私ってそんな程度なんだって」
ネル「信頼にすら足らない存在なんだって突きつけられて...悲しくて怒っちゃった...」
ネル「それが喧嘩の原因...」
ルル「....なるほどなぁ」
ルル「ただ一つ謎なんだが....」
ネル「?」
ルル「なんでお前はそんなに神谷に固執するんだ?」
ネル「!?」
ルル「普通に考えてただの友達に嘘をつかれたからってそんなに気にするか?」
ルル「何にそんな怒ってるんだ??」
ネル「そんなの...そんなの....」
私は逃げる様にベッドに上がり...
ネル「好きだからに決まってるじゃん!!!」
ルル「!?」
お姉ちゃんは目を見開き、私を見てきた
ネル「なっなに!?悪い!?」
あんなに優しくされて、好きになるなと言う方が無理があるのだ
ルル「ハハッ!そうか...」
ルル「やっと自分の気持ちに正直になったか....」
ネル「......」
ルル「なら!」
ルル「もう取る行動は決まっているな?」
お姉ちゃんはバッとベッドから立ち上がり私を見つめてきた
ルル「謝罪だよ」
ルル「謝罪」
ルル「今の話聞いて正直私は神谷は悪くないと思ったぞ?」
ルル「今回ばかりはお前のわがままだ、ネル」
ネル「な、なんでそうなるの!?」
ネル「だってあっちは私に嘘をついて———」
ルル「ならお前はその恋心を神谷に打ち明けられるのか?」
ネル「きゅ、急に何?」
ネル「無理に決まってるじゃん...」
ルル「ならお互い様だとは思わないか?」
ルル「確かに神谷はお前に隠し事をしている」
ルル「でも、お前だって神谷にその恋心を隠してるじゃないか」
ネル「で!でも!」
ネル「私のこれは言ったら関係が終わっちゃうかもしれない、言えなくてもしょうがないじゃん!!」
ルル「もしあっちもそうだとしたら?」
ルル「もしも、神谷がお前にその事情とやらを話したら離れられると思っていたら?」
ネル「.......」
ルル「結局どっちもどっちなんだよ」
ルル「それともなんだ?」
ルル「お前は自分はいいけど相手はダメだなんてそんなジャイアン思考なのか?」
ネル「.....違うけど」
ルル「なら神谷に謝れ」
ルル「世の中には優しい嘘ってもんがあるんだよ」
ルル「それを理解しないで怒ったお前が幼かった」
ルル「以上」
ネル「む、むぅ〜〜〜」
ルル「やる事は決まっただろ?」
ルル「後はお前次第だ」
ルル「頑張れよ」
ルル「さぁ、話は以上だ」
ルル「出てった出てった」
ネル「.....自分から呼んだくせに」
そう呟き私はベッドから立ち上がり
お姉ちゃんの部屋を出るのだった
第十六話 終了




