生徒会企画<ユートピア>
生徒会室には重々しい空気が広がっていた
ルル「.....弟?そんな話神谷から一度として聞いてこなかったが...」
一「そりゃそうでしょうね」
一「まぁ...」
一はニヤリと笑い
一「言わなかったより言えなかったの方が正しいと思うけど...」
零「!!!!!」
零「お前っ!!」
僕は席を立ち上がり一を睨みつけた
一「なんだい?兄さん?」
零「.....」
一「それにしても変わったよね...」
一「昔なら今ので殴ってたよ?笑」
零「っ!!」
僕が言い返そうとすると....
シキ「.....だまれ」
冷え切った声が生徒会室に響いた
シキ「ここは生徒会だ」
シキ「兄弟喧嘩だかなんだか知らねーけど」
シキ「ここに私情を挟むな」
シキ「分かったなら黙れ」
零「.......」
僕は黙るしかなかった...
シキ「ルル、始めてくれ」
ルル「あ、あぁ」
ルル「では会議を始める」
ルル「議題は体育祭同様、文化祭の生徒会企画を決める」
ルル「文化祭は2日間行う、1日目の生徒会企画は有志ステージで決まっているが、2日目はこっちで何をするか決めないといけない」
ルル「そこで今日はみんなに案を出してもらいたい」
ルル「誰か案があるやつはいるか?」
この空気感で案が出せる奴なんて一人もいなかった
......一人を除いて....
一「じゃあ一ついいですか?」
ルル「あぁ、構わない」
ルル「えっと....」
ルル「神谷?」
一「苗字だと分かりにくいと思うので一でいいですよ」
ルル「あぁ、分かった」
ルル「じゃあ一、案はなんだ?」
一「告白大会はどうですか?」
ルル「....と、いうと?」
一「文化祭っていうのはいつもより勇気が出るものなんですよ」
一「文化祭マジックという言葉もあるぐらいですしね」
一「そこで!」
一「有志で人を集め、ステージに上がってもらい5分間ぐらい好きな人の良いところなどを話してもらう、そして最後に好きな人を呼び告白してもらう」
一「その恋の行方を体育館にいる全員で見届ける」
一「というものです!」
一「名付けて生徒会企画<ユートピア>です!」
ルル「......おもしろい企画だとは思うが...」
ルル「人の恋を見せ物にするというのはどうなんだ?」
一「.....恋愛リアリティーショーと同じですよ」
一「こっちはあくまでも告白する場を作ったに過ぎない」
一「その大舞台で告白したいと志願したのはあくまで本人の意思です」
ルル「ふむ.....一理あるな」
ルル「だが本人の意思ならなおさら人は集まらないんじゃないか?」
ルル「どうするんだ?3人とかしか立候補者がいなくて尺も盛り上がりも全然足りなかったら」
ルル「生徒会企画は12時から1時半の間に行う」
ルル「一人10分で見積もっても9人は必要だ」
ルル「集まるのか?」
一「....ルルさんが思ってるより恋に恋する少年少女って多いですよ」
ルル「ふむ.....」
ルルさんは顎に手を置きしばし考え....
ルル「候補に入れておこう」
一「ありがとうございます!」
ルル「他に何かある奴いるか?」
.......
ルルさんの言葉に誰も返す者はいなく...
ルル「....誰もいないなら一の意見になるが...」
零「!!!」
零「はっはい!あります!!」
正直案なんてかけらも思いついちゃいなかった
でも....
もしこれが好感度を上げるための行動ではなく
何か意図があるのであれば僕は———
零「ふつかめも......」
零「2日目も有志ステージをやりましょう!」
目の前にいるルルさんの顔が歪んだのが見えた
そりゃそうだろう
自分自身ですら何を馬鹿な事を言っているんだと思った
そんな案が通る訳ない
そう分かっていたとしても....
僕は虚しい抵抗を続けた
ルル「....理由を聞いても?」
零「きっと...!きっと盛り上がります!!」
ルル「.....」
ルル「じゃあ、候補に....」
シキ「甘やかすな、ルル」
零「っ!?」
僕は思わずそちら見た
シキ「そんな意味の分かんねえクソみたいな案を候補に入れていいわけねーだろ」
シキ「それならまだ神谷弟の案を採用した方がマシだ」
シキ「私情をいれるなルル....」
シキ「生徒会長だろ」
ルル「.......」
零「っっ!!」
僕はひどく絶望した
シキさんに見放された事?
違う.....
そんなんじゃない.....
考え過ぎかもしれない
ただ....
もしも何か理由があって一がこの企画を開いたのであれば
僕はまたあの時のように———
ただ....それが恐ろしかったのだ
ルル「.....他に案がある奴はいるか?」
.......
ルル「....いないみたいだな」
ルル「じゃあ、一の案で決まりだ」
ルル「じゃあ、少し早いが今日の生徒会は終わりだ」
ルル「お疲れ様」
ルルさんがそういうと...
シキ「じゃ、おつかれー」
シキさんを始めとして続々と生徒会メンバーが帰っていた
そして生徒会室に残っているのは
僕、ルルさん、ネル、神谷一だった
そんな中....
ルル「あぁ、そうだ一」
一「どうしました?」
ルル「生徒会に新しく加入したって事で」
ルル「明日の昼休みに体育館に全校生徒集めて自己紹介とあいさつしてもらうから」
ルル「話す内容考えとけよ」
一はニヤリと笑い
一「えぇ、分かりました」
零「っっ!!!」
僕は立ち上がり生徒会室を後にした
後にしたというより逃げ去ったと表現する方が正しいかもしれない
怖いのだ....
一の行動一つ一つが
生徒会室から出て廊下を歩いていると...
一「ねぇ、兄さん」
後ろから声をかけられた
一「久しぶりに兄弟水入らずで話そうよ、」
零「.......」
第十四話 終了




