閑話0001 野菜
「ねえ、野菜の収穫に行ってみないか?」
旅に出る前に、と読書に浸っているとノーモスさんが話しかけてきた。
「野菜?」
「ああ、裏庭で育てているんだ」
そういえば図書館の窓から畑が見えてたな。異世界の植物ってどうなってるんだろう?
テニスコートくらいの大きさの畑に着くと、そこにはカラフルな野菜が広がっていた。
「こんなにたくさん、育ててるの大変そう」
疑問を口にすると「農業用の魔法もあるからね」と答え、魔導書を片手に唱える。
「グレースレイン」
畑の範囲だけ雨のように水が落ちてくる。魔法が終わると畑の隅に小さい虹ができていた。
「じゃあ、早速収穫を始めようか」
「はい!」
ノーモスさんの呼びかけに元気よく応える。
まず収穫するのは、黄色のキャベツのような野菜。ノーモスさんに許可をもらい鑑定してみる。
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ルミキャベラ:
淡い光を宿す葉野菜。
食べると少量魔力を回復する。
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葉っぱについた水滴も相まってとても新鮮に見えるルミキャベラを、ノーモスさんが用意してくれたカゴに入れる。
その後も何種類か野菜を収穫していたら、いつの間にか空は赤く染まっていた。
「お疲れ様。手伝ってくれたお礼に料理を作ってあげようか」
「私って料理を食べれるんですか?」
異世界に来てから、何も食べていないし、空腹も感じていない。魔法とか新しいことがいっぱいで疑問にすら思わなかったのかも。
「ああ、魔物は食べることでも魔力を回復するからね。本でも読んで、待っておいてくれないかな」
「お待たせ、料理が出来上がったよ」
今日見せてもらった魔法を写していると、ノーモスさんが呼びかけてきた。
食卓に行き、椅子に座ると、パンと共に今日採った野菜がたくさん入ったポトフのようなスープが湯気を立てていた。
「いただきます!」
まずはスプーンでスープをひと口。舌に触れた瞬間、野菜の旨みが詰まった優しい味が口中に広がる。
次に口にしたのはルミキャベラだ。シャキシャキとした食感と強い旨み、見た目はキャベツそっくりだがまるで別物だ。
気がつくとお皿の中からスープがなくなっていた。前世ぶりの温かい料理だったからかもしれない。
胸の奥が、少しだけ、じんわりと温かい。
…食べ終わるとなんだか眠くなってきた。
明日はいよいよ旅立ちの日。ノーモスさんにも言われたので「おやすみ」を言い、分体を解除して、早めに本棚で休むことにした。
お久しぶりです。
小休止を挟みましたが、明日より第2章本編の投稿を再開します。
それと同時に、今日、明日、明後日の三日間連続投稿をします。
引き続き、無理のないペースで更新していきますので、これからもお付き合いいただければ幸いです。
よろしくお願いします。




