0003 分体
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ノーモス 種族:人類/人間 年齢:18 性別:男
役職:司書 レベル:32
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この人、誰だろう?
あ、でも名前出てる。ノーモスさんだ。
そんなこと思ってたら、私を本棚にしまって、そのまま次の本棚へ…待って、行っちゃダメ!
表紙パタパタで気づかせるしかない!
パタパタパタ
おっ、気づいた。気づいて、多分私を隣の部屋へ運んでる。書斎かな?
そして、私に何か話しかけて…聞き取れない!
なんか、メモ機能的なので会話できないかな…
(スキル【索知】を発動しました)
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メモ:
1120ページ以降は誰でも閲覧、書き込みが可能。
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おっ、メモ機能がある。そのページを開いてみよう。
パラパラパラ
ノーモスさんもそのことに気付いたみたいで、ペンを取りに行ってる。
今のうちに、私もここに何か書けないか試してみる。
よし、ここはこれを…
『de quodam lexicone fabula』
書けた!どうやら、ペンがなくても書けるみたい。ちなみに意味は、「ある辞書についての物語」。
あ、戻ってきた。何から聞こうかな…
お、先に書いてくれるみたいだ。
『私の名前はノーモス。この図書館の司書だ』
『初めまして、レクシアです』
ちゃんと会話できた!ちなみに、会話は翻訳されるさしい。会話できないとかじゃなくて良かった。
それじゃあ、重要なことを聞かなきゃな。
『この図書館には、何冊くらい本があるんですか?』
『だいたい1000万冊かな』
わああああああ!
『でも、そのうち半分は閲覧禁止なんだけどね』
ぎゃあああああ!
あの後、気を失っていたらしい。
MP切れではない、ショックだ。
急に返事が返って来なくなったわけだから、少し申し訳ないけど、それでも500万冊が読めないというのは、世界的な損失だと思う。
それはそうとして、この本の姿のままだと確かに嬉しいけど、不便だ。
そこでノーモスさんに聞いてみることにした。
『文字を見るための目とページをめくるための指と本を探すための足をください』
少し望みすぎだろうか、いやそんなことはないだろう、きっと。
『そうか、それならちょうどいい本があるよ』
あ、あるんだ。
その後、「分体生成について」という本を持ってきてくれた。
書き写した方がいいかと聞かれたが、手間を取ると申し訳ないから索知で読むことにした。わざわざ聞いてくれるなんて、優しい人だ。
MPを気にしながらだから時間がかかったけど、なんとか読み終わった。
内容をまとめると、分体スキルは、自身の分身のようなものを作れるらしい。
ただし、意識は本体と同一のもの。二つの思考ができるとかではない。そっちは「分身」だそうだ。
そして何より、読み終わったら【分体】を獲得できた。何故かは分からないけど、習得できたならいいや。
早速試してみよう。
【分体】発動!
…ページの最後の方が増えていっている感覚がする。増えたページは私の元を離れて人の形になっていく。きっと、他の人が見たらある種神秘的に見えていただろう。
風になびく髪の感触、窓から聞こえてくる鳥のさえずり。懐かしく感じる本の匂い。その全てが戻ってくる。
「やあ、出来たみたいだね」
紺色の髪に、灰色の優しげな目。司書の服装が似合っている。ノーモスさんだ。
「はい、ありがとうございました。あの、この本の返却は……」
読み終わったらすぐ返す。気をつけないと、延滞してしまう。延滞は良くない。
「返却は、そこのカウンターにお願い。他に借りたい本はあるかな?」
「特にないので、おすすめの本を教えてください」
「そうか、それなら…「初級魔法大全」とかどうだろうか?」
そう言って、私の隣にあった本を取り出して、渡してくれた。




